ゲムシタビン・ナブパクリタキセル併用療法、通称「ジェムザール+アブラキサン療法」は、主に膵臓がんの治療に用いられる化学療法の一種です。この治療は、ゲムシタビン(ジェムザール)とナブパクリタキセル(アブラキサン)の2つの薬剤を組み合わせて使用するもので、進行膵臓がんや転移性膵臓がんに対する効果が認められています。
1. 薬剤の作用機序
- ゲムシタビン:核酸合成を妨害することで、がん細胞の増殖を抑える抗がん剤です。DNAの複製過程でがん細胞に取り込まれ、細胞分裂を阻止してがん細胞を死滅させます。
- ナブパクリタキセル:パクリタキセルをアルブミンというたんぱく質に結合させた薬剤で、がん細胞の微小管に作用し、細胞分裂を妨げます。従来のパクリタキセルに比べて、副作用が少ないとされています。
2. 治療効果
ジェムザール+アブラキサン療法は、進行膵臓がんにおいてがんの増殖を抑制し、延命効果が期待される治療法です。特に、FOLFIRINOX療法(フォルフィリノックス療法)に比べると副作用が少ないため、体力が低下している患者にも適用しやすい利点があります。臨床試験では、ジェムザール単剤に比べて併用療法は生存期間の延長が確認されています。
3. 副作用
- 一般的な副作用:骨髄抑制(白血球や血小板の減少)、貧血、吐き気、倦怠感、脱毛など。
- 重大な副作用:重度の感染症リスクが増加しやすいため、治療中の体調管理が重要です。また、神経障害(手足のしびれ)も発生することがあります。
4. 治療スケジュール
ジェムザール+アブラキサン療法は、通常3週を1サイクルとして行われます。具体的には、1・8・15日目に点滴を行い、22日目に休薬を取る形が一般的です。
この治療法は、効果が認められている一方で副作用も伴うため、医師とよく相談しながら進めることが推奨されます。また、効果や副作用の管理には定期的な検査や体調のチェックが欠かせません。