2024.4.12
PSMA標的治療とは、前立腺がんに特化した新しい放射線療法の一つです。前立腺がんのなかでも、すでに転移をしており、標準的な治療では進行を制御できなくなった「去勢抵抗性前立腺がん」に、大きな効果が期待できます。PSMA(Prostate Specific Membrane Antigen)は、「前立腺特異的膜抗原」と言う意味で、前立腺がん細胞の表面に存在しているタンパク質です。前立腺がんの悪性度が高かったり進行すると、数十~百倍も強く認めるようになります。PMSA標的治療では、このPSMAにくっつく物質にさらに放射性同位元素(177-ルテチウム)つけたものを点滴します。体内でPSMAにくっついた物質から放射線が放出されることによって、前立腺がんだけを狙い撃ちして、細胞レベルの放射線療法を行うのがPSMA治療の基本的な原理となります。がん細胞だけを選択的に攻撃するため、正常な臓器への影響が少ないという点がPSMA標的治療の大きなメリットになります。
PSMA治療は現在、欧米を中心に行われていますが、今のところ日本では受けることができません。
その効果は2017年から主要な国際学会で軒並み発表され、世界中で大変な注目を集めています。
しかし日本では、放射性物質の取り扱いに関する法的な制限があり、国内で検査や治療を受けられるようになるまで数年はかかるといわれています。