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TOP コラム 膵臓がんの対策は年1回の超音波内視鏡検査+MRCP検査がおすすめ!

投稿日:2022.9.20/更新日:2026.9.10

膵臓がんの対策は年1回の超音波内視鏡検査+MRCP検査がおすすめ!

この記事でわかること

  • 膵臓がんのリスク要因(膵炎、肥満、赤身肉・加工肉、喫煙)を日本人の大規模研究の数字で整理します。
  • 日頃の対策:運動、禁煙(男性は禁煙5年でリスクが非喫煙者並みに)、果物の摂取。
  • 年1回の超音波内視鏡検査(EUS)とMRCPで、症状が出る前に膵臓の異常を見つける考え方。
  • 家族歴・新規の糖尿病・IPMN や膵囊胞を指摘された方が検査を検討すべき理由と、当院の膵臓がんステージ2で5年寛解が続く実例。

膵臓がんは、悪性度が高く死亡率が高いガンの一つです。

この病気は早期には症状が出にくいため、発見が遅れることが多いのが大きな問題です。

しかし、年1回の超音波内視鏡検査やMRCP(磁気共鳴胆管膵管造影)を行うことで、膵臓がんを早期に発見し、治癒に近づける可能性が高まります。

膵臓がんの原因

膵臓がんは日本においても死亡率が高い疾患ですが、明確な原因はまだ解明されていません。

しかし発症リスクを高める要因が、いくつか明らかになっています。

慢性膵炎・急性膵炎

繰り返し膵臓に炎症が起こることで、膵臓がんのリスクが高まります。

肥満

近年、日本人を対象にした大規模な研究で、肥満と膵臓がんの関係が詳しく調べられました。

全国9つのコホート研究から集めた34万人以上のデータをもとに分析した結果、男性では、BMIが30以上の肥満に該当する人で膵臓がんのリスクが明らかに高いことがわかりました。

さらに、若い頃(20歳時点)に太っていた人も、将来膵臓がんになるリスクが高くなる傾向が見られました。

女性では、統計的に有意とまでは言えないものの、BMIが高くなるにつれてリスクも少しずつ上がる傾向があることが確認されました。

つまり、女性にとっても、日ごろの体重管理は無関係ではないと言えるでしょう。

また、20歳の頃はやせ型で、その後に体重が増えて適正体重に近づいた男性では、むしろリスクが低くなる傾向も見られました。

ただし、この傾向についてはまだ検討の余地があり、今後の研究が待たれます。

肉食傾向

お肉はたんぱく質が豊富で、大切な栄養源ですが、食べ方や種類によっては注意が必要です。

特に、牛肉や豚肉などの赤身肉、ソーセージやベーコンといった加工肉をよく食べる人は、膵臓がんのリスクが高まる可能性があるといわれています。

これらの食品には、飽和脂肪酸や硝酸塩といった成分が含まれており、調理の過程で発がん性物質ができることもあります。

まだ病気を発症していない人であっても、将来のリスクを減らすためには、こうした肉類の摂りすぎには注意したいところです。

喫煙

たばこを吸うことが、膵臓がんのリスクを高めるという事実は、これまでの多くの研究で明らかにされています。

最近では、日本人を対象にした大規模な調査でも、この関連性が改めて確認されました。

全国10のコホート研究から35万人以上のデータを集めて行われた解析では、現在たばこを吸っている人は、吸ったことのない人に比べて、膵臓がんになるリスクが明らかに高いことがわかりました。

男性では1.6倍、女性では1.8倍と、男女ともにリスクが上がっていたのです。

また、たばこを吸う量が多いほどリスクも高くなる傾向があり、たばこをやめてからの年数も重要なポイントでした。

特に男性では、禁煙して5年ほど経つと、吸わない人とほぼ同じくらいまでリスクが下がっていたという結果も出ています。

女性では、禁煙によるリスクの低下がはっきりと見られなかったものの、これは喫煙経験のある女性が少なかったことなども影響している可能性があり、今後のさらなる研究が待たれます。

日頃からできる膵臓がんの対策方法

膵臓がんの予防には、生活習慣の改善が不可欠です。具体的な取り組みを以下に詳しく解説します。

適度な運動

毎日の生活の中で体を動かすことは、膵臓がんだけでなく他のがんの予防になり、健康を守るための大切な習慣です。

研究では、身体をよく動かす人ほど、がんや心臓病などの病気にかかるリスクが低くなることがわかっています。

特別な運動でなくても、通勤時の歩行や掃除、買い物など、日常の中でこまめに体を動かすことでも効果は期待できます。

厚生労働省では、18歳〜64歳の方に「1日60分の歩行や同等の活動」、さらに「週に60分ほど息がはずむ運動」をすすめています。

65歳以上の方には、「毎日40分程度、強度にこだわらず体を動かすこと」が推奨されています。

体を動かすことで、がんだけでなく心と体のバランスも整い、毎日の元気につながっていきます。

無理なく続けられる運動習慣を、自分らしく見つけてみることが、健康づくりの第一歩になるかもしれません。

喫煙を避ける

前述のとおり、たばこを吸うことが膵臓がんのリスクを高めるということは、今でははっきりとわかっています。

でも、「なかなかやめられない」と感じている方も多いのではないでしょうか。

実は、禁煙を始めてから時間が経つほど、膵臓がんのリスクは下がっていくことがわかっています。

特に男性では、禁煙から5年ほどで、リスクが非喫煙者と同程度にまで下がるという研究結果も出ています。

すぐに完全にやめるのが難しくても、「1本減らす」「吸わない日を作る」といった小さな一歩が、体にとっては大きな変化になります。

大切なのは、自分のペースで、少しずつでも喫煙と距離をとっていくことが大切です。

果物の摂取

毎日の食事は、体をつくるだけでなく、病気を予防する大切な役割も担っています。

最近の日本人を対象とした大規模な研究では、果物を多く食べる人は、膵臓がんのリスクが低いという結果が示されました。

特に柑橘類などに含まれるビタミンや抗酸化成分が、膵臓を守る働きをしている可能性があると考えられています。

食事で大切なのはバランスです。果物や野菜、魚や豆類など、さまざまな食材を無理なく取り入れて、続けられる食生活を目指すことが、膵臓がんを含めた病気の予防につながります。

年1回の超音波内視鏡検査+MRCP検査で膵臓がんを早期発見

さらに、定期的な検診を受けることが最も有効な早期発見の手段となります。

年1回の超音波内視鏡検査やMRCP(磁気共鳴胆管膵管造影)検査は、膵臓がんを早期に発見するための非常に有効な方法です。

これらの検査は、膵臓に病変が発生していても症状が現れる前にその兆候を見つけることが可能です。

これらの日常生活での対策と定期検診を組み合わせることで、膵臓がんの発症リスクを大幅に軽減することが期待できます。

予防は自分の健康を守る第一歩です。

研究で示された検査の重要性

京都大学名誉教授 西川伸一先生が主催されておられるNPO aasj『論文ウオッチ』コーナーに興味深い論文の解説がupされました。

(内容)
ジョンズホプキンス大学を中心とした多施設共同研究で、遺伝的ハイリスクグループでも、1年に1回の検診で進行前の膵臓ガンを見つけられることを明らかにした論文です。
ご興味を持たれた方は、原論文は下記で、 調べてみてください。

内容は驚くべきもので、
一般に膵臓ガンは、診断時85%がステージⅣで、生存期間は平均1.5年ですが、
今回の定期検診で見つかった膵臓ガンの57%がステージⅠで、平均生存期間は9.8年と素晴らしい結果でした。
一方手術をして悪性所見がなかったケースは13例ありましたが、基本的に全員生存しておられます。
内視鏡超音波かMRCPによる検査は、間違いなく膵臓ガンの早期発見を保証することが示されています。
少なくとも遺伝リスクのある人は、年1回の超音波内視鏡検査+MRCP検査を考慮されてはいかがでしょうか?

2022年6月15日 Journal of Clinical Oncology 掲載:「The Multicenter Cancer of Pancreas Screening Study: Impact on Stage and Survival(膵臓ガン早期発見のための多施設研究;定期検診のステージと生存に対するインパクト)」

(詳細下記参照ください)

7月15日 定期検診で膵臓ガンを早期発見できるか(6月15日 Journal of Clinical Oncology オンライン掲載論文)

当院の実例

腹部の違和感を契機に膵臓がんステージⅡで見つかり、陽子線治療・抗がん剤・樹状細胞ワクチン療法で腫瘍マーカーが正常化し、診断から5年寛解が続いている77歳女性

腹部膨満感と下腹部の違和感から膵尾部がんが見つかった方です。遠隔転移のないステージⅡで、ご本人の希望により陽子線治療(兵庫県立粒子線医療センター)を選択しました。陽子線治療の前に樹状細胞ワクチン療法の準備(採血・細胞培養)を行い、抗がん剤(ジェムザール)を開始。陽子線治療後も樹状細胞ワクチン療法とジェムザールを継続しました。腫瘍マーカーCA19-9は359から正常値まで回復し、抗がん剤も予定どおり終了、診断から5年、寛解が続いています。早い段階で見つかると、手術以外の局所療法も含めて選択肢が広がります。

症例の詳細を見る →

※個別の症例であり、治療効果には個人差があります。早期発見が治療の選択肢を広げた一例であり、同じ結果をお約束するものではありません。

膵臓がん検診でお悩みの方は、プレシジョンクリニックにご相談ください。

膵臓がんに対しては、国が推奨する対策型検診がまだ存在しないため、人間ドックや専門検査が重要な役割を果たします。

特に以下に当てはまる方は、定期的な検査を検討してください。

近親者に膵臓がん患者がいる
糖尿病を新たに発症した、または悪化した
膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)や膵嚢胞を指摘された

膵臓がんのリスクを抱える方は、適切な検査を受けることで早期発見につながります。

当クリニックでは、専門的な検査やご相談を随時受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。

よくある質問

血液検査(CA19-9などの腫瘍マーカー)だけで膵臓がんは早期発見できますか?

できません。CA19-9は早期の膵臓がんでは正常のことが多く、逆に膵炎や胆道の病気でも上がります。腫瘍マーカーは「経過を追う」道具であり、「見つける」道具ではありません。早期発見には、膵臓を直接見る超音波内視鏡(EUS)や、膵管の形を見るMRCPが必要です。

家族に膵臓がんの人がいる場合、何歳から検査を始めればよいですか?

第一度近親者(親・兄弟姉妹・子)に膵臓がんの方が1人いる場合はリスクが約2倍、2人以上なら家族性膵がんとして更に高くなります。一般に50歳、または家族が発症した年齢の10年前のどちらか早い方から、年1回のEUSまたはMRCPを勧める考え方が主流です。新たに糖尿病を発症した、IPMNや膵囊胞を指摘された方も同様です(膵臓がんのステージ分類)。

検査で膵臓がんが見つかったら、まず何をすればよいですか?

まずステージ(広がり)と、手術ができるかどうかを確定します。切除できる場合は手術と術前後の抗がん剤、できない場合は抗がん剤や放射線・粒子線治療が中心になります(膵臓癌の標準治療)。当院では、標準治療に免疫療法を組み合わせる設計を、診断直後の段階からご相談いただけます(膵臓がんの方へ)。

膵臓がんの検診・早期発見が気になる方へ
検査の受け方を、当院に相談してみませんか?

超音波内視鏡(EUS)やMRCPは、受けられる施設と頻度に差があります。
リスクが高い方には、血液検査やリキッドバイオプシーを組み合わせる方法もあります。
ご家族歴や現在の状況をうかがったうえで、ひとつずつご説明します。ご相談は無料です。

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    監修医師:岡崎 能久医師

    監修医師

    岡崎 能久医師

    内視鏡診断/治療・研究開発

    大阪大学医学部を卒業後、同大学院の修士課程を終了したのち、関西地方を中心に医療に従事、現在はプレシジョンクリニック名古屋院長として活躍中。専門は内視鏡診断および治療・研究開発。日本内科学会認定医や日本消化器病学会専門医、日本医師会認定産業医などの認定医を保有。