この症例のポイント
- 相談時の状況:骨転移・リンパ節転移・膀胱浸潤を伴う前立腺がんステージⅣと診断され、手術の適応がないと判断された70代の男性です。十分な説明を受けたうえで抗がん剤は希望されず、ホルモン治療を始めました。
- 検討した課題:ホルモン治療でPSAは300台から2まで下がりましたが、約1年半後に5台まで再上昇しました。ホルモン治療を土台にして、何を足せるかを検討しました。
- 行った治療と経過:PSA再上昇の2か月後に樹状細胞ワクチン療法を追加し、ホルモン治療と併用しました。PSAは1〜2台まで下がり、診断から4年の時点で膀胱内の病変が消失し、80代となった現在も診断から8年間、進行なく経過しています。
前立腺がんで、ホルモン治療中にPSAが上がってきた方へ。
ホルモン治療は続けたまま、ご相談いただけます。
ホルモン治療に何を組み合わせられるかを、一緒に考えませんか。
まずは、これまでの治療と現在の状況をお聞かせください。
初診では、医師が資料を確認したうえで、選択肢・当院での治療の適否・費用とリスクをご説明します。
ご相談と初診は無料です(2回目以降の診察は有料です)。
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Case Report ─ 当院で治療を行った前立腺がんの症例
重要症例
前立腺がん
80代
男性
ステージ4
骨転移・リンパ節転移
膀胱浸潤
樹状細胞ワクチン療法
診断から8年 進行なし
膀胱内病変が消失
前立腺がんのPSA再上昇 ― ホルモン治療を続けながら免疫療法を足すという考え方
ホルモン治療中にPSAが再上昇し、抗がん剤を希望されずに樹状細胞ワクチン療法を追加した患者さまの経過をご紹介します。前立腺がんステージⅣとPSA再上昇の解説は、症例のあとにまとめています。
患者情報
| 項目 |
内容 |
| 診断名 |
前立腺がん(ステージ4)、骨転移、リンパ節転移、膀胱浸潤 |
| 年齢・性別 |
80代 男性(診断時70代) |
| 治療法 |
ホルモン治療(内分泌療法)+樹状細胞ワクチン療法 |
治療経過
| 時期 |
内容 |
| 20XX年7月(診断時・70代) |
前立腺がん、腰骨への転移、リンパ節転移、膀胱浸潤と診断。手術の適応なしと判断される。生活の質の低下を考え、十分な説明を受けたうえで抗がん剤は希望されず、ホルモン治療を開始。PSAは300台から2まで低下。 |
| 20XX+2年1月 |
PSAが5台まで再上昇。主治医から抗がん剤を勧められるが、ご本人は同意されず。 |
| 20XX+2年3月 |
樹状細胞ワクチン療法を追加し、ホルモン治療と併用。PSAは1〜2台まで低下。 |
| 20XX+4年 |
膀胱内病変が消失。 |
| 20XX+8年(現在・80代) |
がんの進行なし。PSAは1〜2台を維持し、ホルモン治療と免疫療法を継続しながら経過観察中。 |
治療経過タイムライン。ホルモン治療でPSAは300台から2まで低下しましたが、20XX+2年1月に5台へ再上昇。その2か月後に樹状細胞ワクチン療法を追加し、PSAは1〜2台まで低下して現在まで維持されています。20XX+4年には膀胱内病変が消失しました。
治療の考え方(SynerTri®)
当グループでは、標準治療(抗がん剤)を土台としつつ、プラスアルファで免疫の働きで後押ししていきます。進行がんでも免疫の働きを強化するために、患者さまの状況に応じて複合的に免疫を改善させる独自のプロトコルSynerTri®(シナトリ/学術名 iCCI)で個別に免疫治療を設計します。
本症例では、手術の適応がない前立腺がんステージ4に対し、標準治療としてのホルモン治療(内分泌療法)を土台に置き、PSA再上昇をきっかけとして、免疫を活性化する〈アクセル〉である樹状細胞ワクチン療法を組み合わせました。ご本人が生活の質を大切にされ抗がん剤を希望されなかったという意向をふまえた設計です。その結果、PSAは1〜2台まで低下して維持され、膀胱内病変の消失を経て、診断から8年間進行なく経過しています。
治療期間・回数/費用
樹状細胞ワクチン療法は、1セット(7回)を1つのクール(治療単位)として実施します。本療法は、最初のクールを終えたあとも治療を継続される方が多くいらっしゃいます。
当院の治療はすべて自費診療(保険適用外)です。費用は改定される場合があるため、最新の金額は料金表をご確認ください。なお、クール終了後に治療を継続される場合は、別途費用がかかります。
副作用・リスク
樹状細胞ワクチン療法の副作用は基本的にほとんど認められませんが、以下の可能性があります。なお、ホルモン治療を併用する場合は、ホルモン治療に伴う副作用(ほてり・倦怠感・骨密度の低下等)も生じ得ます。
- 成分採血時:口の周り・手足のしびれ、倦怠感、吐き気(迷走神経反射)等
- 細胞培養時:細菌等による培養汚染リスク
- ワクチン接種時:注射部位の発赤・皮疹・発熱
治療効果には個人差があります。同様の効果を保証するものではありません。
院長から
いまの治療をやめるのではなく、ホルモン治療を土台に免疫療法を重ねるのが、私たちの基本の考え方です。この方は、PSAが再上昇した2か月後に樹状細胞ワクチン療法を追加し、ホルモン治療との併用を続けています。PSAが上がり始めた早い時期に免疫療法を重ねたことが、診断から8年間進行がない経過に寄与できた可能性があると考えています。
ご自身の場合に何ができるかは、
資料を見てからお答えします。
PSAの推移と画像を見ないと、はっきりしたことはお答えできません。まずは今の状況をお聞かせください。
【ご相談の流れ】
① お電話(医師または看護師が対応)またはフォームで、現在の状況をうかがいます
② 初診で、医師が検査結果などの資料を確認し、標準治療を含む選択肢と当院での治療の適否をご説明します
③ 費用とリスクをご説明します
ご相談と初診は無料です。2回目以降の診察は有料です。
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前立腺がんステージ4(骨転移・リンパ節転移・膀胱浸潤)とは
前立腺がんは進行が比較的ゆるやかながんとされますが、発見時にすでに骨やリンパ節へ転移していたり、隣接する膀胱へ広がっている(膀胱浸潤)場合はステージ4に分類されます。この段階では前立腺を摘出する手術の適応にならないことが多く、治療の中心はホルモン治療(内分泌療法)をはじめとする全身療法になります。
前立腺がんは男性ホルモンを栄養にして増殖する性質があるため、ホルモン治療によって多くの場合PSA値が大きく低下します。本症例でも、開始後にPSAは300台から2まで低下しました。
ホルモン治療中のPSA再上昇が意味すること
ホルモン治療は高い効果が期待できる一方、続けているうちに効きが弱まり、PSA再上昇が見られることがあります。一般に、ホルモン治療を継続しているにもかかわらずPSAが上がってくる状態は去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)と呼ばれ、この段階では治療方針の見直しが検討されます。標準治療としては新規ホルモン薬の追加や抗がん剤の導入などが選択肢になります。
本症例でも、ホルモン治療でいったん2まで下がったPSAが、約1年半後に5台まで再上昇しました。この時点が、治療の組み立てを見直す転機になっています。
抗がん剤を希望されない場合の治療の組み立て
抗がん剤は効果が期待できる治療である一方、生活の質への影響を心配され、慎重に考えられる方もいらっしゃいます。本症例のご本人は、標準治療について十分な説明を受けたうえで、生活の質の低下を理由に抗がん剤を希望されませんでした。PSA再上昇時にあらためて主治医から抗がん剤を勧められた際も、その意思は変わりませんでした。
当グループでは、こうしたご本人の意向と現在の治療をふまえたうえで、標準治療を土台に、免疫を活性化する樹状細胞ワクチン療法(SynerTri®のアクセル)を組み合わせる設計を検討することがあります。本症例では、PSA再上昇の2か月後に樹状細胞ワクチン療法が追加され、ホルモン治療との併用が続けられました。
| SynerTri®の役割 |
本症例での対応 |
| 標準治療(ホルモン治療) |
手術の適応がなく、診断時よりホルモン治療(内分泌療法)を開始し、現在まで継続 |
| アクセル(免疫活性化) |
PSA再上昇をきっかけに樹状細胞ワクチン療法を追加し、がん特異的免疫を誘導 |
よくある質問(FAQ)
| Q. ホルモン治療中にPSAが再上昇してきました。どういう状態ですか? |
| ホルモン治療を続けているにもかかわらずPSAが再び上昇してくる場合、一般にホルモン治療の効きが弱まってきたサインと考えられ、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)と呼ばれる状態に移行していることがあります。この段階では治療方針の見直しが検討されます。本症例では、PSAが2から5台へ再上昇した時点で樹状細胞ワクチン療法を追加し、その後PSAは1〜2台まで低下しました。治療効果には個人差があります。 |
| Q. 高齢で抗がん剤を希望しない場合、ほかに治療の選択肢はありますか? |
| 抗がん剤には効果が期待できる一方で、生活の質への影響を心配される方もいらっしゃいます。本症例のご本人も、標準治療について十分な説明を受けたうえで抗がん剤を希望されず、ホルモン治療を継続する方針を選ばれました。当グループでは、そうしたご本人の意向をふまえたうえで、免疫を活性化する樹状細胞ワクチン療法を組み合わせる設計を検討することがあります。治療方針は主治医とよくご相談ください。 |
| Q. 骨転移やリンパ節転移、膀胱浸潤がある前立腺がんでも免疫療法を受けられますか? |
| 本症例では、骨転移・リンパ節転移・膀胱浸潤を伴い手術の適応がない状態で、ホルモン治療に樹状細胞ワクチン療法を組み合わせています。転移の有無や部位だけで一律に判断するのではなく、治療歴・全身状態・年齢・現在の治療との組み合わせをふまえて個別に設計します。 |
| Q. 80歳を超えていても免疫療法は受けられますか? |
| 年齢のみで一律に判断することはありません。本症例では、70代で前立腺がんと診断された方が2年後から樹状細胞ワクチン療法を開始し、80代の現在まで治療を継続されています。全身状態や併存疾患、ご本人の希望をふまえて個別に判断します。 |
ご紹介したのは、一人の患者さまの経過です。
そこから先は、診察でお話ししましょう。
診断名や現在の治療が曖昧でも構いません。まずは現在の状況をお聞かせください。
初診では、医師が資料を確認したうえで、選択肢・当院での治療の適否・費用とリスクをご説明します。(2回目以降の診察は有料です)
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監修:矢﨑 雄一郎 医師
プレシジョンクリニック 東京院長 / 医療法人社団プレシジョンメディカルケア理事長
東海大学医学部を卒業後、消化器外科医として医療機関に従事したのち、東京大学医科学研究所で免疫療法(樹状細胞ワクチン療法)の開発に従事。現在はプレシジョンメディカルケア理事長として活躍中。専門分野は免疫療法及び消化器外科。約6,000症例の免疫療法を主導し、進行がんにおける個別化免疫治療(SynerTri®)プロトコルを確立。著書『免疫力をあなどるな!』をはじめ、医学書の執筆も手がけ、医療知識の普及にも貢献。免疫療法(樹状細胞ワクチン)の開発企業であるテラ株式会社の創業者。