がんに集まる分子(リガンド)に放射性物質を結合させ、体の内側からがんを狙って照射する治療です。
治療(Therapy)と画像診断(Diagnostics)を組み合わせた医療メソッドで、プレシジョンメディシンの一つです。がんに集まる分子(リガンド)に放射性物質を結合させ、がんの位置を画像で特定しながら、その部位に放射性薬剤をピンポイントで届けます。当院が中心に据えるのは、膵臓がんをはじめ多くの固形がんで“がんの足場”に現れるタンパク質「FAP」を標的にする治療。去勢抵抗性前立腺がんに対するPSMAを標的にする治療もご案内します。治療コンセプトを見る →
がんに集まる分子(リガンド)に放射性物質を結合させた薬剤を、点滴で投与します。薬剤はがんの目印に結合し、体の内側から放射線を当てます。診断用には画像で捉えやすい放射性物質を、治療用には細胞を傷害する放射性物質を、同じ分子に結合させるため、治療前の検査で「薬が集まるがんかどうか」を確かめてから治療に進めます。
FAP(線維芽細胞活性化タンパク質)は、がん細胞そのものではなく、がんを支える「がん関連線維芽細胞」の表面に現れるタンパク質です。正常な組織にはほとんど存在せず、膵臓がん・胃がん・大腸がん・乳がん・肺がん・肉腫など多くの固形がんで、がんの周囲(間質)に豊富に見られます。
FAP放射性リガンド療法(FAP-RLT。RLT=Radioligand Therapy)では、FAPに結合する分子(FAP阻害剤=FAPI)に放射性物質を結合させ、がんの“足場”ごと体の内側から照射します。がん細胞の種類を問わず、FAPが豊富にあるがんが対象になりうるのが特徴です。間質が厚く、薬が届きにくいとされる膵臓がんは、研究が進んでいるがん種の一つです。
FAP放射性リガンド療法は世界的にまだ臨床研究の段階にあり、日本を含めて承認された国はありません。海外の研究機関では第1相の臨床試験が行われ、安全性と薬剤の体内分布が報告されています。現在はドイツの医療機関などで自費診療として行われています。当院では、FAP PET/CT検査でFAPの発現を確認したうえで治療をご案内します(受診先は下の「治療を受ける場所について」をご覧ください)。
FAPは、がんの周囲で「がんを育てる土台」をつくる線維芽細胞に現れる酵素です。がんの進行や薬の届きにくさに関わると考えられており、この土台ごと狙うことで、がん細胞の性質が異なる患者さまにも同じ仕組みで治療を設計できます。PET検査用の薬剤(ガリウム-68 FAPI)と治療用の薬剤(ルテチウム-177 FAPI など)は同じ分子を使うため、「写して、治す」が一体になっています。
前立腺がん細胞に特徴的なタンパク質「PSMA」を標的にする放射性リガンド療法で、海外では「Lu-PSMA療法」とも呼ばれます。PSMAを狙った放射性薬剤(ルテチウム-177)を点滴し、前立腺がんの部位に高い線量の放射線を届けます。標準治療に反応しにくい「去勢抵抗性前立腺がん」が主な対象で、海外では承認されている治療法です。日本では放射性物質の取り扱いに関する法的な制限があり、まだ未承認です。オーストラリアの医療機関で、PSMA PET/CT検査でPSMAの発現を確認したうえで治療を行います。
FAP放射性リガンド療法は、膵臓がんをはじめとする固形がんで標準治療が難しくなった方のうち、FAP PET/CT検査でFAPの発現が確認された方が対象です。PSMA放射性リガンド療法は、標準的な治療が難しい去勢抵抗性前立腺がんの方が主な対象です。いずれも、全身に転移したがんへ体の内側から放射線を届け、薬の分布を画像で確認しながら進められるのが特徴です。
日本国内では行えないPET検査(FAP PET/CT・PSMA PET/CT)は、治療を行う海外の医療機関で実施されます。渡航スケジュールの調整、現地での宿泊手配、検査・治療の日程管理まで、当院のスタッフがサポートします。さらに、患者さまの状態に応じて免疫環境療法や免疫療法など併用する治療も揃えており、より高い治療効果を目指した併用プランをご提案します。
放射性リガンド療法は日本国内では受けられないため、海外の医療機関で行います。FAP放射性リガンド療法はドイツ、PSMA放射性リガンド療法はオーストラリアの医療機関で、いずれも本治療に携わる当院の非常勤医師を通じてご案内します。当院が海外の医療機関と直接提携しているものではなく、非常勤医師が窓口となって、適応のご相談から現地での検査・治療の調整までを行います。
当院の治療は、SynerTri Immunotherapy®の考え方に基づき、免疫を高める〈アクセル〉としての樹状細胞ワクチン療法、免疫の〈ブレーキ解除〉としての免疫チェックポイント阻害薬、局所療法という〈スイッチ〉を組み合わせて設計します。放射性リガンド療法は、体の内側からがんを照射する治療として、免疫療法との併用をご相談のうえ設計します。SynerTri Immunotherapy®について詳しく →
渡航準備から治療、帰国後のフォローアップまで包括的にサポートします。
まず当院の専門医と相談し、FAP放射性リガンド療法・PSMA放射性リガンド療法の適応を確認します。適応が確認されれば、フライト・宿泊・現地移動など渡航先(FAP放射性リガンド療法はドイツ、PSMA放射性リガンド療法はオーストラリア)への渡航準備をサポートします(本治療に携わる当院の非常勤医師が窓口です)。現地到着後、翌日に適応検査を受けます。
治療前日にFAP PET/CT検査またはPSMA PET/CT検査(日本国内では行えない特殊なPET検査)を受け、標的の発現を確認します。発現が確認されれば治療に進みます。確認されなかった場合は治療を行いません(PSMA放射性リガンド療法では検査費用を差し引いた治療費を返金します)。
検査結果をもとに治療計画を最終確認し、点滴による放射性薬剤の投与を行います。治療自体は1時間程度で終了。治療後は経過観察のため短期間入院し、安全性を確認します(期間は治療先により異なります)。
病状に問題がなければ退院し、治療証明書を受け取って帰国します。帰国後も当院の医師によるフォローアップを継続し、治療効果の確認や必要に応じた追加治療のご提案を行います。
FAP放射性リガンド療法では、海外の臨床試験で一時的な血球減少(白血球・血小板・赤血球)、倦怠感、吐き気などが報告されています。FAPは傷の治癒など一部の正常な組織にもわずかに現れるため、長期的な安全性は現在も検証が続いています。
PSMA放射性リガンド療法の副作用として唾液腺障害があります。これはPSMAを標的とする薬剤が前立腺だけでなく唾液腺にも集積する性質があるためです。副作用の度合いには個人差がありますが、日常生活に支障をきたすことは少ないとされています。
※書類・資料がなくても、医療相談は受けられます。
費用には、適応判定のための診断料、渡航先での検査・治療費(FAP放射性リガンド療法はドイツでの自費診療)、渡航に関わるコーディネート費用などが含まれます。使用する核種などにより費用は異なります。当院の治療は自由診療です。項目ごとの目安金額は料金表をご確認ください。初回相談は無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。
※治療効果には個人差があり、すべての患者さまに同様の結果が得られるとは限りません。当院の治療には、国内の保険適応や大規模臨床試験で標準治療として確立されていないものも含まれます。実際の治療は、リスクとベネフィットを評価し、ご本人の同意のもとで設計します。
ステージ4と告げられた方も、治療の選択肢を失った方も。
ご家族だけで相談に来られる方も歓迎しています。
診療情報提供書がなくとも、無料でご相談を承ります。