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TOP コラム 脳腫瘍の手術方法は?治療とリハビリで改善を目指す

投稿日:2026.1.23/更新日:2026.1.23

脳腫瘍の手術方法は?治療とリハビリで改善を目指す

脳腫瘍は、突然の頭痛やめまい、手足のしびれなどの症状があらわれる病気です。怖い病気というイメージを持たれる方も多いかもしれませんが、医療技術の進歩により、早期発見と適切な治療で、通常の生活に戻れる可能性が高まっています。

脳腫瘍は良性から悪性までさまざまな種類があり、それぞれ治療法や予後が異なります。手術方法も従来の開頭術に加えて、体への負担が少ない内視鏡手術や、脳の機能を守りながら腫瘍を取り除く覚醒下手術など、患者さまの状態に合わせて選べるほどに選択肢が広がっています。

本記事では、脳腫瘍の初期症状や手術方法、術後のリハビリテーションなどについて詳しく解説します。
加えて、手術だけで取り切れない場合や再発した場合に用いられる最新の放射線・薬物療法についても触れます。

脳腫瘍の概要と初期症状

脳腫瘍は頭蓋骨の中にできる腫瘍の総称です。まずは、脳腫瘍の基本的な概要と初期症状について解説します。

脳腫瘍とは何か

脳腫瘍とは、頭蓋骨の下にある髄膜で覆われた部分に発生した腫瘍をすべて含んだ総称です。
脳腫瘍は大きく、脳そのもの・髄膜・脳神経などから発生する「原発性脳腫瘍」と、肺がん・乳がん・腎がんなど他臓器のがんが脳に飛んできた「転移性脳腫瘍」に分けられます。成人では原発性がやや多いものの、臨床現場では転移性脳腫瘍もしばしば経験します。

原発性脳腫瘍の8割と転移性脳腫瘍の2割に分けられます。原発性脳腫瘍は脳や髄膜、脳神経などから直接発生するもので、転移性脳腫瘍は肺がんや乳がんなど他の臓器から転移したものです。

脳は全身の機能を司る重要な器官であるため、たとえ良性の腫瘍であっても、発生した場所によっては日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。頭蓋骨という限られた空間の中で腫瘍が大きくなると、正常な脳が圧迫されてさまざまな症状があらわれるのです。

脳腫瘍の分類(良性と悪性)

脳腫瘍は悪性度によってグレード1から4までに分類されます。グレード1は良性腫瘍で、外科的手術で全摘出できれば治癒が可能です。一方、グレード2から4は悪性腫瘍とされ、数字が大きくなるほど悪性度が高くなります。良性脳腫瘍の代表的なものには、脳を包んでいる髄膜に発生する髄膜腫があり、40〜50歳の成人に多く、女性の発症率は男性の2倍です。悪性脳腫瘍では、神経膠細胞ががん化する神経膠腫(グリオーマ)が代表的で、脳腫瘍全体の約4分の1を占めます。

とくにグレード4に分類される膠芽腫(glioblastoma,GBM)は浸潤性が高く、手術単独での根治が難しいため、放射線と化学療法を組み合わせた集学的治療が標準とされています。

良性と悪性の大きな違いは、腫瘍の増殖速度と周囲の組織への広がり方です。良性は比較的ゆっくりと成長し境界がはっきりしていますが、悪性は急速に増殖し周囲の正常な脳組織にしみ込むように広がっていきます。

初期症状や発見のきっかけ

脳腫瘍の症状には「頭蓋内圧亢進症状」「脳局所症状」「痙攣発作」の3つがあります。頭蓋内圧亢進症状の3徴候として、頭痛、吐き気・嘔吐、うっ血乳頭があり、特に朝に症状が強く出ることが特徴です。

脳局所症状は腫瘍ができた場所によって異なります。運動麻痺、感覚異常、視野障害、構音障害、小脳失調、失語などの言語症状、複視などが代表的な症状です。例えば、手足に力が入りにくくなったり、しびれを感じたり、ろれつが回らなくなったりすることがあります。最近では脳ドックなどの検査で偶然発見されるケースも増えています。軽い症状の場合は見逃してしまいがちですが、思い当たる症状がある場合はすぐに脳神経外科や脳神経内科で検査を受けることが推奨されます。

脳腫瘍の手術方法

脳腫瘍の治療において重要なことは、腫瘍の病理診断を行うことと、脳の機能を温存しながらできるだけ腫瘍を取り除くことです。現在ではさまざまな手術方法があり、患者さまの状態に合わせて最適な方法を採用していきます。ここからは、代表的な手術方法についてご紹介します。

一般的な手術方法(開頭術・内視鏡手術)

開頭術とは、頭蓋骨にドリルなどで穴をあけ、その穴をつなぐように切って頭蓋骨を外し、脳を露出して行う手術のことです。腫瘍がある程度大きくて周囲の正常な脳が圧迫されている場合に適しています。開頭術では腫瘍の周りにある血管や神経と腫瘍の境界を直接見て切り取ることができます。

一方、内視鏡手術は低侵襲な方法です。穿頭術では頭蓋骨にドリルで穴をあけ、そこから細い管や神経内視鏡を入れます。また、経鼻的手術では鼻から神経内視鏡を入れ、鼻の奥の副鼻腔と脳の境にある頭蓋底の骨を外して腫瘍に到達します。この方法は下垂体腺腫や髄膜腫など、脳の真ん中に位置する腫瘍に対して行われます。

近年は、術中ナビゲーションや術中MRIを併用することで、より安全に摘出範囲を最大化する手術も行われています。

覚醒下手術とは?(メリットと適応例)

覚醒下腫瘍摘出術とは、脳機能を温存しながら脳腫瘍を摘出することを目的とした手術方法で、手術中に麻酔から覚醒させ、機能を実際に確認しながら腫瘍摘出を進めます。脳自体には痛みを感じる神経がないため、患者さまは痛みを感じずに手術を受けられます。覚醒下手術は高い腫瘍摘出率と術後の良好な脳機能の両方を同時に期待できるとされています。それは、全身麻酔では画像上の病変しか摘出できませんが、覚醒下手術では病変の周りに脳機能が存在しなければ大きく摘出できるため、再発しにくくなるからです。特に言語機能の温存には覚醒下手術が有効です。

腫瘍が言葉や手足の動きなどを担当する脳の大切な場所に発生しているときは、手術の途中で患者さまを覚醒させておしゃべりをしたり、手足を動かしながら腫瘍を切り取る覚醒下手術という方法で行ったりすることもあります。

定位放射線治療(ガンマナイフ・サイバーナイフ)という選択肢

脳腫瘍のなかには、手術での摘出が難しい場所にあるものや、数が多い転移性脳腫瘍のように開頭手術が負担になるものもあります。そうした場合に用いられるのが定位放射線治療(stereotactic radiosurgery:SRS)で、代表的な装置にガンマナイフとサイバーナイフがあります。
ガンマナイフは頭部の小型〜中型病変に対して極めて高精度に照射でき、聴神経腫瘍・髄膜腫・脳動静脈奇形・小さな転移性脳腫瘍などで多くの実績があります。一方でサイバーナイフはロボットアームで多方向から照射するため、頭蓋内でもやや不整形な病変や複数病変にも対応しやすく、体幹部腫瘍にも応用できるのが特徴です。脳腫瘍では病変の位置や大きさで両者を使い分けることが多く、どちらか一方しか使わない、というわけではありません。

手術のリスクと合併症

脳腫瘍の摘出手術によって起こる恐れのある合併症には、脳梗塞、脳出血、脳浮腫、脳神経障害、感染症、髄液漏、肺炎や心筋梗塞などの全身合併症があります。これらの合併症が発症すると、運動麻痺、感覚障害、言語障害、視覚障害、嚥下障害などの症状が現れることがあります。症状の重症度によって、短期間のリハビリテーションで回復するものから、治療やリハビリを行ってもなかなか改善しないものまでさまざまです。

手術後の治療とリハビリテーション

脳腫瘍の手術後は、腫瘍の種類や状態に応じて追加の治療が必要になることがあります。悪性の脳腫瘍の多くでは手術の後で放射線治療を行うことでその後の経過が改善されることが分かっています。また、失われた機能の回復を目指してリハビリテーションも大きな役割を果たします。ここからは、手術後の治療とケアについてご紹介します。

術後の放射線治療と薬物療法

悪性腫瘍では、腫瘍の悪性度の高さや種類に応じて、手術や放射線、薬物療法による治療を行います。手術後2から4週間程度経過した時点で治療を開始できるように準備を始めます。

放射線治療は、腫瘍細胞にダメージを与えて破壊する方法です。悪性腫瘍では一週間に数回、何週間かにわたって、腫瘍を中心に、正常な脳の一部も含めて放射線をあて、腫瘍を破壊します。良性腫瘍の場合は、正常な脳組織に放射線をあてず腫瘍だけをピンポイントに照射する定位放射線治療が可能な場合があります。

さらに、再発した悪性神経膠腫など一部では、腫瘍細胞にだけ取り込ませたホウ素に中性子を当てて細胞内で反応を起こさせるBNCT(Boron Neutron Capture Therapy:ホウ素中性子捕捉療法)が国内でも行われており、再発膠芽腫や難治性髄膜腫で有効性があるとされています。BNCTは腫瘍選択性が高く、従来照射済みの症例にも追加しやすいのが特徴です。

薬物療法としては、テモダールという内服薬が初発悪性グリオーマに対する世界的な標準治療薬として使用され、放射線治療期間中に患者さまは毎日内服します。治療終了後は一旦休止し、副作用の程度を確認しながら外来で継続投与を行っていきます。

加えて、再発膠芽腫では血管新生阻害薬ベバシズマブ(アバスチン)が用いられ、浮腫の軽減や無増悪生存期間(PFS)の延長が報告されています。全生存期間の延長は限定的とされるものの、症状緩和やステロイド減量に有用なケースが多く、日本でも再発膠芽腫に対して保険適用があります。

さらに、近年は遺伝子パネル検査(がんゲノムプロファイリング)でBRAF V600E変異、NTRK融合、ALK/ROS1融合などが見つかった脳腫瘍・中枢神経系腫瘍に対して、全身がんで実績のある分子標的薬を脳腫瘍にも適用する“組織横断的治療”が国際的に行われています。適応や投与可否は症例ごとに判断しますが、こうした分子標的薬は従来の治療が難しい患者さまに新しい選択肢をもたらします。

リハビリで身体機能・言語機能の回復を目指す

脳腫瘍では、腫瘍や治療の影響で運動や認知の機能に色々な障害が生じる可能性があります。良性・悪性や転移の有無に関わらず、運動障害が残った場合にリハビリが有効であることが示されており、実施が推奨されています。

理学療法では主として基本的動作能力の回復を図るために運動療法や歩行練習を実施し、機能回復や社会復帰を目標にします。作業療法では応用的動作能力の回復を図るため日常生活動作の練習を実施し、必要であれば福祉用具の選定や住宅改修のアドバイスも行います。言語聴覚療法では脳腫瘍によるコミュニケーション障害に対して練習を実施します。

リハビリテーションは治療後だけでなく、治療と並行して行うこともあります。個々の患者さまの状況に応じて計画が立てられ、理学療法、作業療法、言語療法などを組み合わせた包括的なアプローチが効果的とされています。

海外のリハビリテーション研究でも、脳腫瘍患者に対する早期リハビリはADLの改善と在宅復帰率向上に有効とされています。

心理的サポートと緩和ケア

脳腫瘍の治療は身体面だけでなく、精神面にも大きな影響を与えることがあります。緩和ケアは、がんに伴う心と体、社会的なつらさを和らげたり、がんそのものによる症状やがんの治療に伴う副作用・合併症・後遺症を軽くしたりするために行われる予防、治療およびケアです。

緩和ケアは決して終末期だけのものではなく、がんと診断されたときから始まります。つらさを感じる時には、がんの治療とともに、いつでも受けることができます。

合併症予防と術後ケアのポイント

手術後に一時的に生じる脳浮腫により症状が悪化したり、てんかんを起こしたりすることもあります。こうした合併症を予防し、早期に対処することが術後ケアの重要なポイントです。

運動機能障害や高次脳機能障害は患者さま個々の状況によってさまざまで、入院中には分からなくても、退院後の日常生活に戻った時に、以前できていたことが同じようにできないなど障害にそこで初めて気付くこともあります。日常生活の中で困ったことや気付いたことは、早めに担当医やリハビリのスタッフに相談しましょう。

退院後の生活と定期的なフォローアップ

治療を行った後の体調や再発の有無を確認するために定期的に通院し、脳腫瘍では定期的にMRIやCTによる頭部の画像診断を行っていきます。再発の危険性が高いほど、頻繁に通院することになります。

規則正しい生活を送ることで体調の維持や回復を図ることができ、禁煙すること、飲酒をひかえること、バランスの良い食事をとること、適度に運動することなどを日常的に心がけることが大切です。
近年は、術後の画像だけでなくリキッドバイオプシーによる分子学的フォローを併用して、再発をより早期に捉えようとする試みも報告されています。

脳腫瘍にはさまざまな種類があり、治療もさまざまです。また、症状や状態も一人ひとり異なり、悪性脳腫瘍であっても治療をしながらこれまで通りに仕事をしている人も多数います。

当グループの脳腫瘍への取り組み

当グループでは、脳腫瘍の術後再発予防に特に力を入れており、免疫療法や栄養療法で”再発しにくい身体づくり”を目指しています。また、主治医の先生方と密に連携し、手術に加えて放射線治療(ガンマナイフ/サイバーナイフ)、さらに一部症例ではBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)などの高精度な放射線治療を組み合わせ、最適な治療プランをご提案しています。

術後の課題は、腫瘍が肉眼的に取り切れない場合だけでなく、見えない腫瘍細胞(微小残存病変)による再発の可能性です。当グループではこの点に対応するため、術後再発の抑制を目的とした免疫療法を実施しています。樹状細胞による免疫は一度スイッチが入ると効果が長期にわたり持続しやすく、再発防止の観点から極めて重要な治療と考えています。

「手術は終わったけれど、この先の再発が不安」——
そうした患者さまの声に応えるために、当グループは脳腫瘍について積極的かつ長期的な治療とサポートを実践しています。