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TOP コラム 膵臓がんの末期症状は?検査・治療方法を解説

投稿日:2026.1.23/更新日:2026.1.23

膵臓がんの末期症状は?検査・治療方法を解説

膵臓がんは、初期段階では自覚症状がほとんどなく、発見が遅れやすいという特徴があります。しかし、早期に発見できれば治療の選択肢が広がり、治る可能性も高まります。

本記事では、膵臓がんの末期症状や検査・治療方法について解説します。

膵臓がんとは

膵臓がんは、お腹の奥深く、胃の裏側にある膵臓という臓器にできる悪性腫瘍です。膵臓は細長い形をしており、食べ物の消化を助ける膵液を作ったり、血糖値をコントロールするインスリンというホルモンを分泌したりする、大切な働きをしています。右側は十二指腸に、左側は脾臓に接していて、膵管という細い管が臓器全体を通っています。この膵臓の細胞が何らかの原因でがん化したものが膵臓がんです。

膵臓がんの症状

膵臓がんは進行度によって現れる症状が異なります。初期の段階ではほとんど自覚症状がないため、発見が遅れやすいという特徴があります。ここでは、ステージごとにどのような症状が現れるのかを詳しく解説します。

ステージ0

ステージ0は、膵臓がんの最も早い段階です。がん細胞は膵管の内側だけに留まっていて、周りの組織には広がっていません。この時期は自覚症状がほとんどなく、健康診断や別の病気の検査で偶然見つかることがほとんどです。

がんがまだ小さいため、手術でしっかり取り除くことができれば治る可能性が高い段階です。膵臓の一部を切除する手術が行われ、術後は再発を防ぐための追加治療が検討されることもあります。

ステージ1

ステージ1は、がんが膵臓の中に留まっている初期段階です。腫瘍の大きさによってⅠA期(2cm以下)とⅠB期(2cm超)に分けられますが、どちらもリンパ節や他の臓器への転移はありません。この段階でも自覚症状はほぼなく、検診などで偶然発見されるケースが大半です。治療は手術でがんを完全に取り除くことを目指します。腫瘍の場所によって手術方法が選ばれ、術後は再発予防のために抗がん剤治療が行われることもあります。

ステージ2

ステージ2になると、がんが膵臓の外へ少し広がり始めますが、まだ遠くの臓器への転移はありません。膵臓周辺の組織や近くのリンパ節にがんが及んでいることがあり、腫瘍も2cmより大きくなっていることがほとんどです。この段階では、お腹や背中の痛み、消化不良といった症状が出ることがありますが、軽いため見逃されてしまうことがあります。治療は手術でがんを取り除くことが基本ですが、リンパ節に広がっている場合は再発リスクが高いため、術後に抗がん剤治療を行うのが一般的です。

ステージ3

ステージ3では、がんが膵臓の外に広がり、重要な血管や神経、周りのリンパ節にまで及んでいます。腫瘍が大きく血管を巻き込んでいるため、手術で完全に取り除くのが難しくなります。お腹や背中の痛みが強くなり、体重が減ったり、皮膚や目が黄色くなる黄疸が現れたりすることもあります。治療では、まず抗がん剤や放射線でがんを小さくしてから手術をしていきます。手術が難しい場合でも、これらの治療でがんの進行を抑え、症状を和らげることを目指します。

ステージ4

ステージ4は、がんが肝臓や肺、腹膜など遠くの臓器にまで転移している最も進んだ段階です。強いお腹や背中の痛み、黄疸、体重の大幅な減少、全身の疲れなどが顕著に現れ、日常生活に大きな影響が出ることがあります。この段階での治療は、がんの進行を遅らせることと、症状を和らげることが中心になります。抗がん剤治療や痛みを取る緩和ケアが主に行われ、最近では免疫療法や分子標的治療といった新しい治療法が選択肢になることもあります。

膵臓がんのステージ4は「末期」なのか

「ステージ」と「末期」は別の概念です。ステージはがんの進行度を表し、腫瘍の大きさやリンパ節転移、遠隔転移の有無で分類していきます。いわゆる「病期分類」です。

例えば、、ステージ4は「遠隔転移がある」状態を指しますが、まだ治療の選択肢が残されていることも多く、必ずしも「余命が限られた末期」とイコールではありません。

一方で、末期とは、医学的には「治癒や長期延命を期待できる治療手段がなく、症状を和らげるケアが中心となる段階」を指します。つまり、治すのではなくいかに残りの人生の時間の質を上げていくかが大切になります。患者さまの全身状態(PS、臓器機能、治療への耐性)がどうかによって決まるもので、病期分類とは考え方が異なります。

末期の臨床的な定義の目安

  • 治癒や延命を目的とした治療の効果が期待できないため、積極的な治療よりも緩和ケアが中心になる段階
  • 余命が6ヶ月前後と予測される状態(WHO・ホスピス基準)
  • がんの進行で全身状態が悪化し、日常生活に大きな支障が出る(ECOG PS 3〜4程度)

ステージ4が末期と誤解が生じやすいのはなぜ?

大きな原因は、ステージ4と告げられた患者さまやご家族が「もう末期だ」と受け止めてしまうからです。しかし現在では、ステージ4でも分子標的薬・免疫療法・臨床試験などで長期間病状をコントロールできる方もいらっしゃるため、末期ではなくステージ4の場合は諦めずに治療方針を決定していきましょう。

膵臓がん末期に急変することも

膵臓がんが末期になると、体の状態が急に悪くなることがあります。それまでお腹や背中の痛み、皮膚や目が黄色くなる症状、体重の減少、食欲がなくなる、疲れやすい、お腹に水が溜まるといった症状が続き、徐々に強くなっていきます。最期が近づくにつれて、体力が大きく落ち、息苦しさを感じたり、意識がはっきりしなくなったり、混乱状態になったりすることがあります。こうした変化は急速に進むこともあるため、ご本人もご家族も心の準備と適切なケアが大切になります。

膵臓がんの検査方法

膵臓がんの診断には、さまざまな検査が組み合わせて行われます。血液検査から画像検査、細胞を直接調べる検査まで、それぞれに役割があります。ここでは、どんな検査があるのか、何を調べるのかを解説します。

血液検査

血液中の膵臓で作られる酵素の量を調べる検査です。膵臓にがんがあると、これらの酵素が血液中に漏れ出して数値が上がることがあります。ただし、がんがあっても数値が正常なこともあれば、膵臓がん以外の病気で高くなることもあるため、この検査だけでは診断が確定できません。

腫瘍マーカー検査

がん細胞が作り出す特定の物質を血液中から測定する検査です。がんの診断を助けたり、治療後の経過を見守ったりする目的で行われます。しかし、この数値だけではがんの有無を確定することはできず、がんがあっても数値が上がらないケースもあります。他の検査結果と合わせて総合的に判断します。

▼膵臓がんで用いられる主な腫瘍マーカー

CA19-9(カットオフ:37 U/mL)

がんで最も一般的。病勢や治療効果の推移を追うのに有用。

注意:閉塞性黄疸や胆管炎で偽高値になりやすい/Lewis抗原陰性(約5〜10%)の人では上がらない。

CEA(カットオフ:5 ng/mL)

単独感度は高くないが、CA19-9と併用して経過観察の参考にする。

DUPAN-2(カットオフ:150 U/mL)

糖鎖抗原。CA19-9が上がりにくい症例やLewis陰性例で補助的に有用。

SPan-1(カットオフ:30 U/mL)

糖鎖関連抗原。DUPAN-2同様に補助マーカーとして使用。CA19-9非上昇例のフォローに役立つことがある。

CA125(カットオフ:35 U/mL)

本来は卵巣がんのマーカーだが、膵がん進行例で上昇することがあり、補助的に用いられる。

Elastase-1(便中・血中)

膵外分泌機能の指標。腫瘍マーカーではないが、膵機能低下の評価として併記されることがある。

超音波(エコー)検査

お腹の表面に機器を当てて、体の中に超音波を送り、反射してくる音波から画像を作る検査です。痛みはなく、その場ですぐに結果を確認できます。がんの位置や大きさ、臓器の状態などを調べられます。ただし、CTやMRIなど他の詳しい検査が予定されている場合は、この検査を省略することもあります。

CT・MRI検査

CTはX線を使って体の断面を撮影する検査で、MRIは強力な磁石と電波を使って体の内部を映し出す検査です。どちらもがんの有無や広がり、他の臓器への転移を詳しく調べることができます。より鮮明な画像を得るために、造影剤という薬を使うことがあります。

超音波内視鏡検査

先端に超音波の機器がついた内視鏡を口から入れ、胃や十二指腸から膵臓を近い距離で観察する検査です。体の外からよりもずっと詳細な画像が得られます。必要に応じて、細い針を刺して組織を採取し、がん細胞があるかどうかを調べることもあります。

内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP: endoscopic retrograde cholangiopancreatography)

内視鏡を口から十二指腸まで進め、膵管や胆管の出口から造影剤を注入してX線撮影する検査です。膵管の様子を詳しく調べることができ、同時に膵液を採取して細胞を調べることもあります。他の検査で診断がつかない時に行われる大切な検査ですが、急性膵炎などの合併症が起こる可能性があります。

磁気共鳴胆膵管撮影(MRCP: magnetic resonance cholangiopancreatography)

MRIを用いて、膵管や胆管を非侵襲的に描出する検査です。造影剤を使わずに行えるため、体への負担が少なく、胆管や膵管の狭窄や拡張の有無を詳しく調べることができます。ERCPのように直接処置はできませんが、膵炎や胆石などの診断に役立ち、合併症の心配がほとんどない安全性の高い検査です。

病理診断

採取した組織や細胞を顕微鏡で詳しく調べ、がんかどうか、どんな種類のがんかを確定する検査です。超音波内視鏡検査や膵管造影検査で採取したサンプルを使って行われます。最終的な診断を下すための最も確実な方法です。

PET検査

特殊なブドウ糖を注射し、細胞分裂が活発な部位に集まる様子を画像化する検査です。膵臓がんかどうかを調べる最初の検査としては推奨されていませんが、膵臓がんと診断された後、他の臓器への転移の有無を確認する目的で行われることがあります。

審査腹腔鏡

肝臓への転移やお腹の中へのがんの広がりが疑われる場合に、正確な進行度を確認するために行われる検査です。全身麻酔をしてお腹に小さな穴を開け、細い内視鏡を入れてお腹の中を直接観察します。

膵臓がんの治療方法

膵臓がんの治療には、手術、放射線治療、薬物療法など複数の選択肢があります。がんの進行度や患者さまの体の状態に合わせて、最適な治療法が選ばれます。ここでは、それぞれの治療方法について詳しく解説します。

手術(外科治療)

手術でがんを完全に取り除ける可能性がある場合は、できる限り手術を行います。膵臓のどの部分にがんがあるかによって手術方法が変わり、膵頭部の手術は腸との接続が複雑なため回復に時間がかかります。切除する範囲によっては、糖尿病や消化機能の問題が起こることもあります。がんが血管に近く手術が難しいケースでは、まず薬物治療を行ってがんを小さくしてから、手術の可能性を再検討します。

放射線治療(粒子線治療)

膵臓がんの放射線治療には、抗がん剤と組み合わせて効果を高める方法と、痛みを和らげる目的の治療があります。がんが重要な血管を巻き込んでいて手術できない場合、抗がん剤と併用することで標準的な治療として行われます。また、骨への転移による痛みを軽くする治療としても用いられます。施設は限られますが、粒子線治療が受けられる場合もあります。

薬物療法

膵臓がんの治療では、細胞の増殖を抑える抗がん剤が中心になります。ただ、遺伝子検査の結果次第では、がん細胞だけを狙う分子標的薬や、体の免疫力を活かす免疫チェックポイント阻害薬を使うこともあります。

どの薬にするかは、がんの状態や患者さまの体力、副作用などを踏まえて、医師と相談しながら決めていきます。

標準的な化学療法としては、次の2つの療法がよく使われます。

  • FOLFIRINOX療法(フルオロウラシル+イリノテカン+オキサリプラチン+レボホリナート)
  • ゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法

体力的に厳しい方や合併症がある方には、ゲムシタビン単剤やS-1単剤など、体への負担が比較的軽い治療を選ぶケースもあります。

手術が難しいとされていた進行がんでも、術前に化学療法を行うことで腫瘍が縮小し、手術(コンバージョン手術)ができるようになる場合があります。ただし、専門医の判断が必要です。

遺伝子検査でBRCA1/2変異が見つかれば、オラパリブ(PARP阻害薬)を維持療法として使うことがあります。また、がん組織に高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)や高腫瘍変異負荷(TMB)がある場合は、免疫チェックポイント阻害薬(ペムブロリズマブなど)が選ばれることもあります。

膵臓がんの薬物療法は、患者さま一人ひとりの状態に合わせて組み立てていきます。根治を目指すのか、延命を図るのか、症状を和らげるのかといった目的に応じて調整します。

合併症の治療

膵頭部のがんが胆管を塞ぐと、胆汁が流れなくなって黄疸や胆管炎が起こることがあります。この場合、胆管にステントという管を入れて胆汁の流れを確保する処置を行います。また、がんで胃や十二指腸が塞がれた場合は、ステントを入れたり、バイパス手術で食べ物の通り道を新しく作ったりします。これらは症状を改善し、生活の質を保つための大切な治療です。

支持療法(緩和ケア)

支持療法とは、がんと診断されたときから始まる、体と心の両方のつらさを和らげるケアです。末期だけのものではなく、治療中のいつでも受けられます。痛みには鎮痛薬が使われ、神経ブロックという注射による治療や、骨転移の痛みには放射線治療も効果的です。仕事や将来への不安など、どんなつらさも遠慮なく医療者に伝えることが大切です。

リハビリテーション

がんや治療の影響で低下した体の機能を回復・維持するために行われます。治療中や治療後は体を動かす機会が減りがちですが、医師の指導のもとで筋力トレーニングや有酸素運動を取り入れることが大切です。日常生活でできる運動について、医師に相談してみましょう。心と体のつらさに対処する緩和ケアの一部としても重要な役割を果たします。