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TOP コラム 抗がん剤 膵臓がん(膵がん)の標準治療

抗がん剤

投稿日:2022.12.1/更新日:2024.10.22

膵臓がん(膵がん)の標準治療

ステージ4の膵臓がんの皆さんが受けられている標準治療は基本的に抗がん剤治療です。

使用される抗がん剤は、大きく二つに分けることが出来ます。一つは殺細胞性抗がん剤で、もう一つは分子標的薬です。

殺細胞性抗がん剤は、がん細胞を始めとして増殖する細胞を、正常な細胞を含めて攻撃するため、副作用は強く出る傾向にあります。皆さんの多くがイメージされる抗がん剤はこちらになります。

一方、分子標的薬はがん細胞の遺伝子変異の部分に的を絞って攻撃するため、副作用は比較的少なくなります。分子標的薬の種類にもよりますが、殺細胞性抗がん剤の副作用の1/10~3/10ぐらいといっても過言ではありません。

現在、膵臓がんの標準治療として承認されている抗がん剤はほぼすべて殺細胞性抗がん剤に当たるため、副作用は強く出る傾向にあります。また副作用は蓄積されるものもあるため、治療効果をみながら、先々の影響も見越して考えていく必要があります。

患者さまの多くが経験される脱毛、吐き気、血球減少(貧血、白血球減少による感染、血小板減少)、下痢、手足のしびれ、冷たいものに触れたときの痛み(寒冷刺激)。プレシジョンクリニックグループでは、このような副作用と治療効果とのバランスを考え、副作用によって患者さまの活力や「日常をエンジョイしながら、長く生きる」ことが脅かされないように注意しながら治療の相談に乗っています。

私たちは、主治医と密に連絡を取り、患者さまの要望を踏まえた治療の連携を心がけております。

プレシジョンクリニックグループ
医師 矢﨑

~膵臓がんの標準抗がん剤治療~

フォルフィリノックス(FOLFIRINOX、FFX)療法:5-FU・イリノテカン・オキサリプラチンの3種類の抗がん剤に、5-FUの増強剤であるレボホリナートを加えた多剤併用の治療法です。2週間ごとに繰り返す治療ですが、1回あたり2日間かかるため、外来・在宅で治療を行うために、皮下に埋め込み型のポートを造設する小手術を行う必要があります。最も推奨度の高い治療のひとつですが、副作用(感染症・下痢・しびれ、など)の頻度も高く、十分な体力があり、全身状態が良好な方が対象になります。副作用を低減するために、量の修正を加えた投与法(modified FOLFIRINOX)も行われています。

ゲムシタビン・ナブパクリタキセル療法(Gem/nab-PTX療法, GnP療法): 1回60-90分の点滴を、週1回で3週連続行い4週目を休む、4週間1コースのスケジュールで繰り返す治療法です。FOLFIRINOX療法と並んで、最も推奨度の高い治療法のひとつですが、副作用(感染症・しびれ、脱毛など)の頻度も高く、やはり、ある程度の体力があり、全身状態が良好な方が対象になります。

ゲムシタビン・S-1療法(GS療法):術前化学療法として本邦の多施設共同研究で有用性が報告されている治療法です。主として切除可能膵がんに対し、術前に本治療を2コース行っています。

リポソーマルイリノテカン・5FU/LV療法(Nal-IRI/FL療法):2020年6月に保険承認された治療法で、先述のFFX療法からオキサリプラチンを外し、イリノテカンをリポソーム型イリノテカンに組み替えた、二次治療用*の併用療法です。FFXと同様に2週間ごとに繰り返す治療で、1回あたり2日間かかるため、皮下に埋め込み型のポートを造設する小手術を行う必要があります。イリノテカンをリポソームのナノ粒子に封入したのがリポソーム型イリノテカンで、抗がん剤をナノ粒子に封入することにより、抗がん剤をがん細胞が存在する組織により選択的に届けられるようにすることで、イリノテカンの副作用を軽減すると考えられています。

*二次治療について:FFX療法とGnP療法は一次治療として確立した治療法ですが、二次治療に関しては、安全性と有効性が科学的に証明されないまま、十分な体力がありそうな患者さんに対して、みなし標準的に使われてきました。Nal-IRI/FL療法はゲムシタビンベースの一次治療後の二次治療として、FL療法と比して有効性が証明された治療法ですが、FFX療法と比較しているわけではないため、FFX療法との優劣はまだよく分かっていません。FFX療法と比べ、体力的な面で対象患者さんのすそ野が広がるものと期待されますが、FFX療法が十分できそうな患者さんに対してどちらを用いるかに関しては、今後の臨床データの蓄積が必要です。

ゲムシタビン療法:長年、進行膵臓がんに対する標準治療とされていた治療法で、1回30-60分の点滴を、週1回で3週連続行い4週目を休む、4週間1コースのスケジュールで繰り返します。副作用が少ないため、高齢者や体力がやや低下している方でも比較的安全に治療が行えます。

S1療法:ゲムシタビン療法と同程度の効果が示されている、飲み薬による治療法です。1日2回の服薬を4週継続した後、2週休薬するという6週間1コースの治療を繰り返します。最近は、手術後の補助化学療法(再発予防目的)や、Gem/nab-PTX療法が無効になったあとの二次治療として用いられています。

オラパリブ療法:BRCA遺伝子変異陽性の治癒切除不能な膵がんにおいて、白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法後の維持療法として承認された、膵がん初の分子標的薬です。白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法で疾患進行が認められていない状況下で、1日2回服薬を行います。BRCA変異は膵がん全体の約5%前後と限られてはいるものの、使用条件を満たす場合には、7.4ヵ月の無増悪生存期間(投与開始~画像で腫瘍増大が確認されるまたは死亡までの期間)が得られたと臨床試験で報告されています。

引用:がん研有明病院(https://www.jfcr.or.jp/hospital/cancer/type/pancreas/006.html)

【監修者】矢﨑 雄一郎

東海大学医学部を卒業後、消化器外科医として医療機関に従事したのち、現在はプレシジョンクリニック神戸院長として活躍中。専門分野は一般外科及び消化器外科。著書『免疫力をあなどるな!』をはじめ、医学書の執筆も手がけ、医療知識の普及にも貢献。免疫療法の開発企業であるテラ株式会社の創業者。

略歴:

1996/3

東海大学医学部卒業

1996/4

東海大学附属病院消化器外科勤務

2000/11

遺伝子解析企業ヒュービットジェノミクス株式会社入社

2003/4

東京大学医科学研究所 細胞プロセッシング寄附研究部門研究員

2004/6

テラ株式会社設立 代表取締役社長

2010/1

株式会社アドバンスト・メディカル・ケア 取締役

2012/3

テラ株式会社代表取締役社長 社長執行役員

2013/3

テラ株式会社代表取締役社長

2013/5

タイタン株式会社 取締役(現任)

2014/1

テラファーマ株式会社 代表取締役社長

2014/2

株式会社オールジーン 代表取締役社長

2014/8

テラ少額短期保険株式会社 取締役会長

2015/12

株式会社オールジーン 取締役

2016/6

株式会社オールジーン 代表取締役社長

2016/10

テラファーマ株式会社 代表取締役会長

2017/3

テラ株式会社代表取締役社長CEO

2019/4

医療法人社団プレシジョンメディカルケア理事

2019/10

プレシジョンクリニック神戸院長

専門分野:
一般外科・消化器外科

著書:
著書『免疫力をあなどるな!』

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