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TOP コラム 抗がん剤 膵臓癌の標準治療とは?各種治療法・抗がん剤の種類・副作用を解説

抗がん剤

投稿日:2022.12.1/更新日:2025.12.28

膵臓癌の標準治療とは?各種治療法・抗がん剤の種類・副作用を解説

膵臓癌は、治療が難しい癌の一つとして知られています。しかし、治療内容を知って自分に合った治療方法を選ぶことで、改善への一歩につながります。本記事では、膵臓癌の治療方法の一つである標準治療について、特徴や効果、副作用などを解説します。

膵臓癌の標準治療とは

膵臓癌の標準治療は、病期や患者さまの体力に応じて選ばれる治療法で、主に手術、抗がん剤治療、放射線治療(粒子線治療)があります。なかでも、ステージ4といった進行例では手術が適応外となる場合が多く、抗がん剤治療が主流な選択肢となります。

膵臓癌治療における手術

膵臓癌の手術は、根治を目指せる治療手段です。ただし、すべての患者さまが手術を受けられるわけではなく、癌の広がりや血管への影響、全身状態などを総合的に判断して進め方を決めていきます。

手術の対象となるのは、以下の状態です。

・ステージ1や2の比較的早期の癌

・化学療法によって腫瘍が縮小し切除可能と判断されたステージ3の癌

膵臓癌の手術は、癌のある部位によって膵頭十二指腸切除術や膵体尾部切除術などが選択されます。いずれも高度な技術を要する手術です。

一方、診断時に切除不能と判断された場合でも、化学療法や化学放射線療法によって癌が縮小し、新たに手術が可能になるケースがあります。これを「コンバージョン手術」と呼びます。

当初は手術できない状態だった患者さまが、治療によって腫瘍が小さくなったり、血管への浸潤が軽減したりすることで、根治を目指した手術に挑戦できるようになる選択肢です。コンバージョン手術が実施される機会は決して多くはありませんが、長期生存につながる可能性があるため、治療経過の中で慎重に検討していきます。

ステージ4のように遠隔転移がある場合には、残念ながら手術での根治は困難です。このような状況では、化学療法を中心とした治療で病勢をコントロールし、生活の質を保ちながら延命を図ることが現実的な目標となります。

膵臓癌の手術は、体への負担が大きく、術後の回復にも時間がかかりますが、根治の可能性を得られる貴重な機会です。主治医とよく相談しながら、ご自身の状態に最も適した治療方針を選んでいくことが大切です。

標準治療における抗がん剤

ステージ4の膵臓癌患者さまに対する標準治療は、主に抗がん剤治療です。使用される抗がん剤は、大きく二つの種類に分けることができます。一つは癌細胞を直接する殺細胞性抗がん剤で、もう一つは癌細胞の特定の遺伝子に働きかける「分子標的薬」です。

①殺細胞性抗がん剤

殺細胞性抗がん剤は、癌細胞をはじめとして増殖する細胞を、正常な細胞を含めて攻撃するため、副作用が強く現れる傾向があります。多くの方がイメージされる抗がん剤は、この殺細胞性抗がん剤です。

現在、膵臓癌の標準治療として承認されている抗がん剤のほとんどが殺細胞性抗がん剤に当たるため、副作用が強く出る傾向にあります。また、副作用は治療期間が長くなるにつれて蓄積する場合もあるため、治療効果を確認しながら、将来の影響も見越して慎重に治療を進める必要があります。

②分子標的薬

分子標的薬は、癌細胞の遺伝子変異を攻撃するため、正常細胞への影響が少なく、副作用は比較的軽減される傾向にあります。具体的な分子標的薬の副作用は、種類にもよりますが、殺細胞性抗がん剤の副作用の1/10〜3/10程度とされます。

標準抗がん剤治療法の副作用

薬剤は癌細胞を攻撃する一方で、正常細胞も傷つけるため、副作用が強く出やすい特徴があります。主な副作用として、吐き気や嘔吐、骨髄抑制による貧血や感染症のリスク、食欲不振、脱毛、倦怠感などが挙げられます。患者さまのQOLを維持するため、副作用対策が重要となります。

膵臓癌の標準抗がん剤治療法の種類

膵臓癌の標準的な抗がん剤治療法として8つの方法を解説します。

フォルフィリノックス(FOLFIRINOX、FFX)療法

5-FU・イリノテカン・オキサリプラチンの3種類の抗がん剤に、5-FUの増強剤であるレボホリナートを加えた多剤併用の治療法です。2週間ごとに繰り返す治療ですが、1回あたり2日間かかるため、外来・在宅で治療を行うために、皮下に埋め込み型のポートを造設する小手術を行う必要があります。最も推奨度の高い治療のひとつですが、副作用(感染症・下痢・しびれ、など)の頻度も高く、十分な体力があり、全身状態が良好な方が対象になります。副作用を低減するために、量の修正を加えた投与法(modified FOLFIRINOX)も行われています。

ゲムシタビン・ナブパクリタキセル療法(Gem/nab-PTX療法, GnP療法)

1回60-90分の点滴を、週1回で3週連続行い4週目を休む、4週間1コースのスケジュールで繰り返す治療法です。FOLFIRINOX療法と並んで、最も推奨度の高い治療法のひとつですが、副作用(感染症・しびれ、脱毛など)の頻度も高く、やはり、ある程度の体力があり、全身状態が良好な方が対象になります。

ゲムシタビン・S-1療法(GS療法)

術前化学療法として本邦の多施設共同研究で有用性が報告されている治療法です。主として切除可能膵癌に対し、術前に本治療を2コース行っています。

リポソーマルイリノテカン・5FU/LV療法(Nal-IRI/FL療法)

2020年6月に保険承認された治療法(nal-IRI、商品名オニバイド®)で、先述のFFX療法からオキサリプラチンを外し、イリノテカンをリポソーム型イリノテカンに組み替えた、二次治療用※の併用療法です。FFXと同様に2週間ごとに繰り返す治療で、1回あたり2日間かかるため、皮下に埋め込み型のポートを造設する小手術を行う必要があります。イリノテカンをリポソームのナノ粒子に封入したのがリポソーム型イリノテカンで、抗がん剤をナノ粒子に封入することにより、抗がん剤を癌細胞が存在する組織により選択的に届けられるようにすることで、イリノテカンの副作用を軽減すると考えられています。

※二次治療について:FFX療法とGnP療法は一次治療として確立した治療法ですが、二次治療に関しては、安全性と有効性が科学的に証明されないまま、十分な体力がありそうな患者さまに対して、みなし標準的に使われてきました。Nal-IRI/FL療法はゲムシタビンベースの一次治療後の二次治療として、FL療法と比して有効性が証明された治療法ですが、FFX療法と比較しているわけではないため、FFX療法との優劣はまだよく分かっていません。FFX療法と比べ、体力的な面で対象患者さまのすそ野が広がるものと期待されますが、FFX療法が十分できそうな患者さまに対してどちらを用いるかに関しては、今後の臨床データの蓄積が必要です。

ゲムシタビン療法

長年、進行膵臓癌に対する標準治療とされていた治療法で、1回30-60分の点滴を、週1回で3週連続行い4週目を休む、4週間1コースのスケジュールで繰り返します。副作用が少ないため、高齢者や体力がやや低下している方でも比較的安全に治療が行えます。

S1療法

ゲムシタビン療法と同程度の効果が示されている、飲み薬による治療法です。1日2回の服薬を4週継続した後、2週休薬するという6週間1コースの治療を繰り返します。最近は、手術後の補助化学療法(再発予防目的)や、Gem/nab-PTX療法が無効になったあとの二次治療として用いられています。

オラパリブ療法

BRCA遺伝子変異陽性の治癒切除不能な膵癌において、白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法後の維持療法として承認された、膵癌初の分子標的薬です。白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法で疾患進行が認められていない状況下で、1日2回服薬を行います。BRCA変異は膵癌全体の約5%前後と限られてはいるものの、使用条件を満たす場合には、7.4ヵ月の無増悪生存期間(投与開始~画像で腫瘍増大が確認されるまたは死亡までの期間)が得られたと臨床試験で報告されています。

膵臓癌に対する標準放射線治療(粒子線治療)

膵臓癌の治療において、放射線治療は手術や化学療法と組み合わせて用いられる方法です。特に、手術が難しい局所進行癌や、手術後の再発予防を目的とした場合に検討します。

従来の放射線治療では、膵臓の周囲にある胃や十二指腸、小腸といった正常な臓器にも放射線が当たってしまうため、照射できる線量に限界がありました。しかし近年、より精密に照射できる技術が進歩し、治療の選択肢が広がっています。

その中でも注目されているのが、陽子線治療や重粒子線治療などの「粒子線治療」です。粒子線治療は、従来のX線とは異なる性質を持つ放射線を使い、癌病巣に集中的にエネルギーを届けることができます。特に重粒子線は、癌細胞を破壊する力が強く、周囲の正常組織へのダメージを抑えながら、より高い線量を照射できるのが利点です。

膵臓癌に対する粒子線治療は、主に局所進行癌で手術ができない患者さまや、化学療法と組み合わせることで腫瘍の制御を目指す場合に用いられます。また、化学療法後に腫瘍が縮小した段階で粒子線治療を追加することで、さらなる効果が期待できるケースもあります。

ただし、粒子線治療は限られた施設でしか受けられず、すべての患者さまに適応があるわけではありません。遠隔転移がある場合や、腫瘍が消化管に広く接している場合には、治療が難しいこともあります。また、保険適用の範囲も限定的であるため、治療費の面でも事前の確認が必要です。

放射線治療、特に粒子線治療は、膵臓癌の局所制御において有望な手段ですが、患者さま一人ひとりの病状や治療歴に応じて、適切な時期や方法を慎重に検討することが大切です。主治医とよく相談し、ご自身にとって最善の治療計画を立てていきましょう。

膵臓癌に対する抗がん剤治療法の海外動向

ナリリフォックス療法(NALIRIFOX療法)
ナリリフォックス療法は、リポソーマルイリノテカンとオキサリプラチン、5-FU、そして5-FUの効果を高めるレボホリナートを組み合わせた治療法です。

投与スケジュールは2週間を1サイクルとして繰り返していきます。1日目に点滴を行い、その後5-FUを約46時間かけて持続投与する方法をとるため、外来や在宅で治療を受ける場合には皮下埋め込み型ポートを造設することが一般的です。

海外の臨床試験(NAPOLI-3試験)では、初回治療として使用した際、ゲムシタビン・ナブパクリタキセル併用療法と比較して生存期間と病勢制御期間の両方で改善が認められました。全生存期間の中央値は11.1か月対9.2か月(ハザード比0.84)という結果でした。この成績を踏まえて、2024年2月にアメリカFDAが一次治療での使用を承認しています。

治療に伴う主な副作用として、下痢、好中球減少、吐き気、手足のしびれなどが報告されており、症状に応じて投与量の調整や対症療法が必要になることがあります。

日本国内での現状(2025年現在)

現在、日本ではオニバイド®と5-FU/LVの併用療法が、ゲムシタビン系治療を行った後の治療選択肢として承認されています。

一方、ナリリフォックス療法を初回治療から使用することについては、まだ国内承認されていません。ただし、日本人の未治療患者さまを対象にした臨床試験が実施されているところで、安全性と有効性の確認が進んでいます。将来的には日本でも初回治療の選択肢の一つになる可能性が考えられます。

膵臓癌治療をリードする世界の「ハイボリュームセンター」について

膵臓癌の治療において「ハイボリュームセンター」とは、年間の手術件数や治療件数が多い医療機関のことを指します。ハイボリュームセンターは、膵臓癌の診断や治療において非常に豊富な経験を持つため、通常の医療機関に比べて治療成績が良好であることが知られています。特に膵臓癌のように難治性の癌においては、専門的なチームや最新の医療技術、複雑な手術が可能な施設があることが重要です。

▼ハイボリュームセンターの特徴

・年間の治療件数が多い

・経験豊富な医療チームが在籍

・ガイドラインに基づく標準治療の実施

・臨床試験や新治療法へのアクセスが可能

世界的に評価の高いハイボリュームセンター

膵臓癌治療で世界的に評価の高いハイボリュームセンターの一例として、以下のような病院が挙げられます。

メイヨー・クリニック(Mayo Clinic)

アメリカメイヨー・クリニックは、膵臓癌の手術、化学療法、放射線療法、そして臨床試験の実施において世界トップレベルの施設です。特に複雑な膵頭十二指腸切除術(Whipple手術)で知られています。膵臓癌治療の新しい技術や治療法に積極的に取り組んでおり、個別化医療も導入しています。

MDアンダーソンがんセンター(MD Anderson Cancer Center)

アメリカ膵臓癌の治療におけるハイボリュームセンターであり、手術だけでなく、精密放射線治療や免疫療法、分子標的薬の使用にも力を入れています。また、多くの臨床試験が行われているため、新しい治療法へのアクセスも可能です。

メモリアル・スローン・ケタリングがんセンター(Memorial Sloan Kettering Cancer Center) 

アメリカ手術、化学療法、免疫療法、放射線治療の全領域において卓越した治療を提供しています。膵臓癌治療に関する最新の研究が行われており、長年にわたって高い治療成績を挙げています。

チャリティ病院(Charité University Hospital)

ドイツ欧州でもトップクラスの膵臓癌治療施設として知られています。高度な手術技術に加え、先進的な放射線治療や化学療法を提供しており、ヨーロッパにおける膵臓癌治療のハブとなっています。

世界的に評価の高いハイボリュームセンターでは、通常、膵臓癌の診断から治療、術後のケアまで、専門的なチームアプローチが採用されており、個々の患者さまに合わせた最適な治療プランを提供します。また、臨床試験への参加機会や最新の治療法が利用できる点も特徴です。

日本では、国立がん研究センター東病院や慶應義塾大学病院などが膵臓癌の治療においてハイボリュームセンターとされています。これらの施設では、手術や化学療法、放射線療法だけでなく、精密な診断と個別化治療が行われています。

 ▼日本と海外のハイボリュームセンターの違い

・海外のハイボリュームセンター

個別化医療の導入や新薬の開発が活発で、臨床試験への参加機会が多い。

特に複雑な手術や先進的な治療技術において国際的な評価を受けている。

・日本のハイボリュームセンター

精密な診断技術や患者さまの状態に応じた細やかな対応が得意。

また、日本国内で承認されている治療法を迅速に実施できる体制が整っている。

膵臓癌治療でお悩みの方はプレジョンクリニックにご相談ください!

膵臓癌治療では、標準治療の適切な選択と経験豊富な医療機関での治療が、患者さまのQOLや治療成績を大きく左右します。

プレシジョンクリニックでは、癌と診断され、治療法に迷われている方やお困りのご家族さまへ向けて、初回無料の医療相談を実施しています。来院が難しい場合でもオンラインでの対応が可能ですので、どんな些細なことでも気軽にご相談ください。

専門医療機関として、患者さまに寄り添い、最善の治療とケアをご提案いたします。

監修医師

矢﨑 雄一郎医師

免疫療法・研究開発

東海大学医学部を卒業後、消化器外科医として医療機関に従事したのち、東京大学医科学研究所で免疫療法(樹状細胞ワクチン療法)の開発に従事。現在はプレシジョンメディカルケア理事長として活躍中。専門分野は免疫療法及び消化器外科。著書『免疫力をあなどるな!』をはじめ、医学書の執筆も手がけ、医療知識の普及にも貢献。免疫療法の開発企業であるテラ株式会社の創業者。

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