投稿日:2023.6.30/更新日:2026.3.19
近年、がん治療における新たなアプローチとして腸内細菌の重要性が注目を集めています。腸内細菌は免疫系と密接に関わり、体内の免疫バランスを調整する役割を果たしています。この特性を活かし、腸内環境を改善することで抗がん剤治療や免疫療法の効果を高める研究が進んでいます。
抗がん剤治療や免疫療法は、がん治療の主流として多くの患者に希望を与えています。がん治療の最前線では、腸内細菌の活用が注目を集めています。免疫療法や抗がん剤治療に対する反応は個人差が大きく、その要因の一つとして腸内細菌叢(マイクロバイオーム)の状態が関連していると考えられています。最新の研究では、特定の腸内細菌が治療効果を高める可能性を示し、新たな治療戦略として取り入れられています。
本記事では、特に2023年のASCO Annual Meetingで発表された転移性腎細胞がんに対する腸内細菌補充療法に関する最新知見を解説します。
転移性腎細胞癌の治療では、免疫チェックポイント阻害薬であるニボルマブ(Nivolumab)とイピリムマブ(Ipilimumab)の併用療法が有望とされています。この治療法は患者の免疫系を活性化し、がん細胞を効果的に攻撃することを目的としています。今回の研究では、さらに「腸内細菌補充療法」を加えることで、治療効果を最適化する可能性が探られました。
腸内細菌は、免疫系の調節や炎症反応の抑制など、多くの生理的プロセスに関与しています。特に注目されたのが、プロバイオティクスとして知られるCBM588という菌株です。この菌株は、腸内環境を整えるだけでなく、免疫療法の効果を高める可能性があるとされています。研究者たちは、CBM588が腸内の多様性を改善し、免疫系をさらに活性化させることで、抗がん剤治療や免疫療法の効果を増幅させると期待しています。
最新の研究結果では、CBM588を用いた患者群において次のような成果が確認されました。
これらの結果は、腸内細菌を補充することで免疫療法の効果が高まることを裏付けるものとなっています。当グループでは、酪酸菌(CBM588)をはじめとして免疫(療法)との相性がいいことが科学的に明らかになっている腸内細菌を組み合わせています。
当クリニックでは、酪酸菌(CBM588)をはじめとする科学的に裏付けられた腸内細菌を活用し、免疫療法や抗がん剤治療との相乗効果を最大化する治療法を提供しています。
具体的には、以下のアプローチを導入しています。
私たちは今後も、最新のエビデンスに基づいた治療法を積極的に取り入れ、患者様のQOL(生活の質)向上を目指します。
最新の研究では、腸内細菌補充療法が免疫療法の効果を高めることが示されました。特に酪酸菌(CBM588)は、腸内環境を整えることで治療効果の向上と副作用の軽減に寄与する可能性があります。当クリニックグループでは、こうした科学的根拠に基づいた治療法を取り入れ、患者様にとって最適なケアを提供していきます。

監修医師
矢﨑 雄一郎医師
免疫療法・研究開発
東海大学医学部を卒業後、消化器外科医として医療機関に従事したのち、東京大学医科学研究所で免疫療法(樹状細胞ワクチン療法)の開発に従事。現在はプレシジョンメディカルケア理事長として活躍中。専門分野は免疫療法及び消化器外科。著書『免疫力をあなどるな!』をはじめ、医学書の執筆も手がけ、医療知識の普及にも貢献。免疫療法の開発企業であるテラ株式会社の創業者。