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TOP コラム 難治性脳腫瘍(膠芽腫・グリオブラストーマ)に対する免疫細胞療法(CAR-T療法)②

2024.10.1

難治性脳腫瘍(膠芽腫・グリオブラストーマ)に対する免疫細胞療法(CAR-T療法)②

以前も取り上げましたが、もう一報、再発脳腫瘍、具体的には再発膠芽腫(グリオブラストーマ:rGBM)に対する免疫(遺伝子)細胞療法の治験論文をご紹介いたします。

この論文はIL-13Rα2だけ(前回の論文はIL-13Rα2に加えてEGFRも標的としていました)を標的とした免疫(遺伝子)細胞療法(CAR-T療法)です。

『Locoregional delivery of IL-13Rα2-targeting CAR-T cells in recurrent high-grade glioma: a phase 1 trial』
Nature Medicine 07 March 2024

このCAR-T療法は、現治療法に対して反応が悪かった悪性グリオーマ(高悪性度グリオーマ)の再発治療成績を改善すると期待されています。

今回、高悪性度グリオーマ患者65人を対象としたIL-13Rα2標的CAR-T療法の第I相試験の結果を報告します。

患者の大部分は再発膠芽腫・グリオブラストーマ(rGBM)でした。

主要目標は安全性と実行可能性、最大耐容量/最大実行可能量、第2相用量設定でした。
二次目標は全生存期間、疾患反応、サイトカイン動態、腫瘍免疫関連バイオマーカーです。

この試験は、T細胞局所投与の3経路(腫瘍内(ICT)、脳室内(ICV)、二か所ICT/ICV)と2つの製造プラットフォームも評価しています。

局所領域のCAR-T細胞投与は実施可能で良好な耐容を示し、全てのアームで投与中毒性を認めなかったため、最大耐容量は特定できませんでした。

治療関連3+の毒性は、1例の3+脳症と1例の3+運動失調でした。

今後、この試験データに基づいて、第2相用量が検討されています。

SD以上が58人中29人(50%)、2例がPR、1例がCR、プロトコル外での追加CAR-T投与後のCRがありました。

再発膠芽腫・グリオブラストーマ(rGBM)の場合、全患者の中央全生存期間は7.7ヶ月で、arm 5の場合は10.2ヶ月でした。

IFNγ、CXCL9、CXCL10を含む中枢神経系炎症性サイトカイン増加は、CAR-T細胞の投与および生物活性と関連していました。

治療前の腫瘍内CD3T細胞レベルは生存と正の関連がありました。

これらの知見は、局所IL-13Rα2標的CAR-T療法が、一部の患者において安全で有望な臨床効果を示すことを示しています。

NCT02208362

プレシジョンクリニックグループ
岡崎能久