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TOP コラム 膵臓がん(膵癌)の初期症状から最新治療法まで | 医師が解説する診断・治療・生存率

投稿日:2023.4.11/更新日:2024.11.17

膵臓がん(膵癌)の初期症状から最新治療法まで | 医師が解説する診断・治療・生存率

膵臓がん:早期発見が難しい「サイレントキラー」

膵臓がん(すい臓がん・膵癌)は早期発見が難しく、「サイレントキラー」とも呼ばれます。本記事では、
膵臓がんの症状、診断方法、最新の治療選択肢について、最新の医学的知見に基づいて詳しく解説します。

1. 膵臓がんとは

膵臓の構造と働き

膵臓は胃の後ろに位置する長さ約15cm、重さ約100gの臓器です。消化酵素を分泌する外分泌機能と、
血糖値を調節するホルモンを分泌する内分泌機能の2つの重要な役割を担っています。

膵臓は以下の部位に分けられます。

  • 膵頭部(約60-70%のがんが発生)
  • 膵体部(約20-25%のがんが発生)
  • 膵尾部(約10-15%のがんが発生)

この解剖学的特徴が、膵臓がんの症状や治療方針に大きく影響します。

発生メカニズムと危険因子

膵臓がんの主な危険因子として、以下が挙げられます。

  • 生活習慣関連因子

    • 喫煙(リスクを2-3倍上昇)
    • 過度の飲酒
    • 肥満(BMI 30以上)
    • 運動不足
  • 既往歴・合併症

    • 慢性膵炎
    • 糖尿病(特に発症2年以内の新規糖尿病)
    • 膵のう胞性疾患
  • 遺伝的要因

    • 第一度近親者の膵臓がん罹患歴
    • 遺伝性膵炎
    • BRCA1/2遺伝子変異

2. 膵臓がんの症状と初期サイン

早期症状の特徴

膵臓がんの初期症状は非常に曖昧で、以下のような一般的な不調として現れることが特徴です。

  • 原因不明の背部痛や腹痛
  • 食欲不振
  • 原因不明の体重減少
  • 疲労感の増加
  • 新規発症または急激な悪化を示す糖尿病

見逃してはいけない警告サイン

以下の症状が出現した場合は、要注意サインとして認識する必要があります。

  • 黄疸

    • 皮膚や白目が黄色くなる
    • 無痛性黄疸は膵頭部がんの重要なサイン
    • 急な発症が特徴的
  • 上腹部痛

    • 食後の痛みが特徴的
    • 背中に放散する痛み
  • 消化器症状

    • 急激な食欲低下
    • 説明のつかない吐き気・嘔吐
    • 便通異常(特に脂肪便)

3. 診断・検査

推奨される検査の種類

膵臓がんの診断には、段階的なアプローチが重要です。

  1. 血液検査(腫瘍マーカーや血糖値検査など)
  2. 画像診断(CT、MRI、超音波検査、PET-CTなど)
  3. 精密検査(EUS、ERCP、組織生検など)

4. 最新の治療法

治療戦略の概要

膵臓がんの治療は、病期(ステージ)と患者さんの全身状態を考慮して、以下の選択肢から最適な方法を選択します。

  • 手術療法(膵頭十二指腸切除術など)
  • 化学療法

    • FOLFIRINOX療法
    • オニバイド+5FU/LV療法
    • ゲムシタビン+ナブパクリタキセル療法
  • 放射線療法(IMRTなど)

膵臓がんでお悩みの患者さまへ

膵臓がんに関するさらに詳しい情報や相談は、当院に気兼ねなくお問い合わせください。

監修医師

矢﨑 雄一郎医師

免疫療法・研究開発

東海大学医学部を卒業後、消化器外科医として医療機関に従事したのち、東京大学医科学研究所で免疫療法(樹状細胞ワクチン療法)の開発に従事。現在はプレシジョンメディカルケア理事長として活躍中。専門分野は免疫療法及び消化器外科。著書『免疫力をあなどるな!』をはじめ、医学書の執筆も手がけ、医療知識の普及にも貢献。免疫療法の開発企業であるテラ株式会社の創業者。