投稿日:2026.1.23/更新日:2026.1.23
乳がんは日本の女性がもっともかかりやすいがんです。しかし、早期に発見して治療を受ければ、多くの方が日常生活を送れるようになっています。乳がんという病気について正しく知り、自分に合った治療を選択していくことが大切です。
治療方法としては、外科治療や放射線治療、薬物治療などがあり、適切なものを選択しながら進めていきます。
本記事では、乳がんの原因や治療方法、乳がんになった時の過ごし方などについて詳しく解説します。
乳がんは、女性がかかるがんの中で最も多いがんです。現在、日本では9人に1人が一生のうちに乳がんと診断されています。30代から増え始め、40〜50代で発症のピークを迎えますが、最近では高齢者でも増加傾向にあります。
早期発見できれば治療効果が高く、初期の場合は5年生存率が95%以上という報告もあります。
まずは、乳がんの概要についてご紹介します。
乳がんの原因は完全には解明されていませんが、女性ホルモンのエストロゲンが深く関わっていることが分かっています。エストロゲンに長期間さらされることで、乳がんの発症リスクが高まると考えられています。
具体的なリスク要因としては、初潮が早い、閉経が遅い、出産経験がない、初産年齢が高い、授乳経験がないことなどが挙げられます。
また、生活習慣も影響します。閉経後の肥満、過度な飲酒、喫煙などはリスクを高めます。一方で、運動習慣はリスクを下げる効果があると報告されています。遺伝的な要因も関係しており、特定の遺伝子に変異がある場合、乳がんや卵巣がんのリスクが高まります。
食生活の欧米化や、晩婚化・少子化による月経回数の増加なども、日本で乳がんが増えている背景にあると考えられています。
乳がんのステージは、0期からⅣ期までの5段階に分類されます。がんの大きさ(T)、リンパ節への転移(N)、遠隔転移の有無(M)という3つの要素を組み合わせて決定されます。ステージが高くなるほど、がんが進行していることを示します。
0期は非浸潤がんと呼ばれ、がん細胞が乳管や小葉の中にとどまっている状態です。
Ⅰ期は腫瘍が2cm以下でリンパ節転移がないか微小な状態、Ⅱ期は腫瘍が2〜5cmまたは近くのリンパ節に転移がある状態です。
Ⅲ期は局所進行がんとされ、腫瘍が5cm以上で複数のリンパ節転移がある、または胸壁や皮膚に広がっている状態です。
Ⅳ期は、肺や肝臓、骨など他の臓器に転移がある状態です。
乳がんの進行スピードは、がんの性質によって異なります。がん細胞の増殖能を示す指標の数値が高いほど、増殖スピードが速いと考えられています。
乳がんの治療は、外科治療、放射線治療、薬物療法の3つが柱となります。乳がんは手術によってがんを取りきることが基本で、がんの状態や進行度に応じて、これらの治療を組み合わせて行います。それぞれの治療法について、目的や方法を解説します。
手術は乳がん治療の基本となります。目に見える範囲のがんを取り除くことを目的とし、大きく分けて乳房部分切除術と乳房全切除術の2種類があります。
乳房部分切除術(乳房温存手術)は、がんとその周囲の組織のみを切除し、乳房の大部分を残す方法です。早期の乳がんに対して行われることが多く、手術後は通常、放射線治療を組み合わせて再発を防ぎます。乳房全切除術は、乳房全体を取り除く手術で、がんの範囲が広い場合や複数の部位にがんがある場合などに選択されます。
手術では、腋窩リンパ節の状態も確認します。リンパ節への転移の有無は、術後の治療方針を決める重要な情報となります。手術後は、傷の痛みや腕の動かしにくさ、リンパ浮腫などが起こることがあります。これらに対しては、リハビリテーションや日常生活の工夫で対処していきます。
放射線治療は、高エネルギーのX線をがん細胞に照射して、がん細胞の増殖を抑えたり破壊したりする治療法です。乳がんでは主に、手術後の再発予防を目的として行われます。
乳房部分切除術後は、原則として残った乳房全体に放射線を照射します。これにより、手術で取り残した可能性のある目に見えないがん細胞を死滅させ、乳房内の再発を約3分の1に減らすことが可能です。
乳房全切除術後でも、リンパ節への転移が4個以上ある場合など、再発リスクが高いと判断された場合には、胸壁や鎖骨上部に照射することがあります。
副作用としては、照射部位の皮膚が日焼けのように赤くなったり、かゆみや乾燥が出たりすることがあります。これらは治療終了後、徐々に回復していきます。
乳がんの薬物療法には、化学療法、ホルモン療法、免疫療法、抗HER2療法を代表とする分子標的薬があります。どの薬を使用するかは、主にサブタイプ分類によって決まります。
ホルモン療法薬は、ホルモンの分泌や働きを阻害し、ホルモンを利用して増殖するタイプのがんを攻撃する薬で、ホルモン受容体が陽性の乳がんに対しては効果が期待できます。化学療法は、がん細胞に直接作用して死滅させることを目的とします。分子標的薬は、がん細胞に特異的にみられる分子を標的とするため、効果的にがん細胞に作用します。これらの治療は、がんの性質に合わせて単独または組み合わせて行われます。
乳がんと診断されても、治療とケアを受けながら、自分らしい生活を送ることができます。治療中、治療後の生活上の制限は指示がない限りは特になく、ご自身の体調に合わせて無理のない範囲で今まで通りの生活を送ることができます。ここでは、治療中の体調管理と、長く付き合うための心構えについてご紹介します。
治療中は、副作用に対するケアも大切です。薬物療法では吐き気や嘔吐が出ることがありますが、予防薬を使用することで軽減できます。食事は無理せず、食べられるものを少量ずつ取るようにしましょう。脱毛に備えて、事前にウィッグや帽子を準備しておくと気持ちの負担が軽くなるでしょう。
疲労感やだるさを感じたら、十分な休息を取ることが大切です。ただし、体調に合わせて軽い運動を続けることも、体力維持につながります。放射線治療中は、照射部位の皮膚を清潔に保ち、保湿を心がけましょう。摩擦や刺激を避け、ゆったりとした衣服を選ぶことも皮膚トラブルの予防になります。
免疫力が低下している時期は、感染予防も重要です。手洗いやうがいをこまめに行い、人混みを避けるなどの工夫をしましょう。
副作用は我慢する必要はありません。つらい症状があれば、医師や看護師、薬剤師に遠慮なく相談し、対処法を一緒に考えていきましょう。
乳がん治療の目標は、がんの再発を防いだり、再発したがんを小さくするだけではなく、治療中や治療後の患者さまに、できるだけ治療前に近い生活を送っていただくことも大切な目標です。
不安なときは一人で抱え込まずに医療スタッフなどのサポートを活用することも大切です。治療を受けながらも、仕事や趣味を続けたり、自分らしい生活を送ることができます。前向きな気持ちで過ごしていきましょう。
当グループには、免疫療法の専門医師に加えてがん薬物療法専門医が4名在籍しており、分子標的薬のご相談から処方まで、ワンストップで対応しています。
特に強みとしているのは、遺伝子パネル検査の結果解釈(病的意義の判定、治療標的・治験参加の可能性・コンパニオン診断の整理)、世界最新の論文・ガイドライン・学会発表の継続的なリサーチとご提案への迅速な対応、そして何よりも患者様の価値観や費用面を踏まえた治療方針のご提案です。また、主治医の先生との関係を重視しており、医療連携においても豊富な実績がございます。
遺伝子や免疫の分野は難解な言葉が多いため、専門用語は”患者様の言葉”に置き換えて、メリット・デメリット、費用や通院ペース、副作用対策まで、納得いただけるまで丁寧にご説明いたします。セカンドオピニオンやオンライン相談にも対応しております。
標準治療に加えて、遺伝子パネル検査に基づいたゲノム医療(プレシジョンメディシン)や日常生活の工夫を含めて、患者さまに合った治療計画をご提案し、それをどこよりも実践しているクリニックグループと自負しております。
分子標的薬や免疫治療、それに関連する最新治療について、ご興味やご希望がございましたら、どうぞ気兼ねなくご相談ください。