投稿日:2026.1.29/更新日:2026.1.29
肺がん末期では、さまざまな症状が現れることがありますが、治療やケアを受けることで、苦痛を和らげながら生活の質を保つことができます。医療技術の進歩により、治療の選択肢も広がっており、希望を持って向き合うことができる時代になってきました。
がんの捉え方として注意が必要なのが、「末期」と「ステージ4」は同じ意味ではないという点です。
「ステージ4」は、がんの広がり(遠隔転移や進行度)を医学的に分類した“病期”を指します。
一方で「末期」とは、治療の効果が乏しく、生命予後が短いと考えられる“病状の段階”を意味します。
つまり、ステージ4でも治療によって病勢を抑え、長期に安定した状態を保っている方も多くいらっしゃいます。当グループでも、いわゆる末期と診断された方の中に、治療により症状が改善し、日常生活を取り戻された事例が複数あります。
私たちは、末期の段階であっても「できることはまだある」という姿勢で、可能な限り取り組める治療体制を整えています。
また、患者さまの主治医や地域の医療機関と密に連携し、情報を共有しながら最適な治療方針を協議し、一人ひとりの患者さまにとって最善の医療を提供できるよう努めています。
これらを踏まえたうえで、本記事では、肺がんの末期症状や治療方法、余命について詳しく解説します。
肺がんが進行すると、体にさまざまな変化が現れます。咳や息苦しさといった呼吸に関わる症状だけでなく、がんが他の臓器に広がることで、痛みや全身の衰弱といった症状も出てくることがあります。ここでは、肺がん末期にみられる代表的な症状についてご紹介します。
肺がんが進行すると、咳や呼吸の苦しさを感じる方が多くなります。
がん細胞が気管支を狭くしてしまったり、胸に水が溜まったりすることで、空気の通り道が十分に確保できなくなるからです。息を吐くときにヒューヒュー、ゼーゼーという音がすることもあります。仰向けで寝ることが難しくなったり、少し動いただけで息が切れたりする症状は、日常生活に大きな影響を与えます。
肺がんは、血液の流れに乗って他の臓器に広がることがあります。転移が起きやすいのは、骨、脳、肝臓、副腎などです。骨に転移した場合は、その部分に激しい痛みが生じたり、骨がもろくなって骨折しやすくなったりします。脳に転移すると、頭痛やめまい、ふらつき、けいれんといった症状が現れることも。肝臓への転移では、腹部の不快感や黄疸などの症状が出ることもあります。転移した場所によって症状は異なり、それぞれの部位に応じた症状緩和の治療が大切です。
肺自体には痛みを感じる神経はありませんが、がんが肺の外側を覆う膜や胸壁に広がると、胸の痛みを感じるようになります。また、がんが進行するにつれて、体を動かす力が徐々に弱くなっていきます。階段を上るのがつらくなったり、以前は簡単にできていた作業が負担に感じられたりします。倦怠感や疲れやすさも強くなり、横になって過ごす時間が増えてくることもあります。このような体力の低下は、がん自体の影響だけでなく、食事が十分に取れなくなることも関係しています。
悪液質とは、がんが原因で起こる全身の衰弱状態のことです。体重が著しく減少し、特に筋肉が落ちていくのが特徴です。これは単に食事量が減ったことだけが原因ではありません。
がん細胞が作り出す物質や、体の中で起こる炎症反応によって、体の代謝バランスが崩れてしまうのです。食欲不振や倦怠感が強くなり、栄養をしっかり摂ろうとしても体重が増えにくくなります。肺がんでは、特に進行した段階でこの悪液質が起こりやすいとされています。悪液質に対しては、栄養サポートや薬物療法を組み合わせた治療が行われます。
肺がんが進行した段階でも、さまざまな治療の選択肢があります。完治を目指すことが難しくなった場合でも、がんの進行を遅らせたり、症状を和らげたりする治療をすることが可能です。ここからは、肺がん末期における治療方法について詳しくご紹介します。
進行した肺がんに対しては、抗がん剤治療が中心となります。抗がん剤は血液を通して全身に行き渡り、転移したがん細胞にも効果が期待できます。使用する薬の種類は、がんのタイプや遺伝子の状態、患者さまの体調などによって決められます。
放射線治療は、がんがある部分に集中的に放射線を当てる治療法で、痛みの緩和や腫瘍の縮小を目的に行われることがあります。骨に転移した場合の痛みを和らげるためにも有効です。治療は外来でも入院でも受けることができ、患者さまの状態に合わせて進めていきます。
近年、免疫チェックポイント阻害薬という新しいタイプの薬が登場し、肺がん治療の選択肢が広がっています。この薬は、がん細胞が免疫から逃れる仕組みを妨げることで、体の免疫機能を利用してがんと闘います。従来の抗がん剤と併用されることもあります。また、光免疫療法という新しい治療法も研究が進められています。これは特殊な薬剤と光を組み合わせてがん細胞を攻撃する方法で、正常な細胞への影響が少ないという特徴があります。
緩和ケアは、がんによる体や心のつらさを和らげるための医療です。「末期になってから受けるもの」というイメージを持つ方もいらっしゃいますが、実際にはがんと診断されたときから、治療と並行して受けることができます。痛みや息苦しさといった身体的な苦痛、不安や落ち込みといった精神的なつらさ、経済的な心配や社会生活における悩みなど、さまざまな問題に対応していきます。緩和ケアは、通院中でも入院中でも、また自宅でも受けることが可能です。患者さまだけでなく、患者さまのご家族の支援もあり、不安を取り除きながら生活を送るための大切なケアとなっています。
余命について考えることは、患者さまにとってもご家族にとっても非常につらいテーマです。しかし、今後の過ごし方や治療の選択を考える上で、とても大切です。ここでは、余命に対する一般的な考え方や、希望を持って過ごすための取り組みについてご紹介します。
当グループでは、末期の段階でも「緩和=諦め」ではなく、「今ある体力・免疫を最大限に活かす医療」を重視しています。
免疫療法や分子標的治療、栄養療法、局所制御療法(BNCT・放射線・凍結治療など)を組み合わせ、QOLの維持と腫瘍制御を両立させることを目指しています。
実際に、全身転移を伴うステージ4症例でも治療により状態が安定し、通常の日常生活を送られている患者さまもいらっしゃいます。
また、当グループは主治医の先生方との連携を非常に重視しており、治療内容や経過を共有しながら、安全かつ一貫した医療体制のもとで患者さまをサポートしています。
肺がん末期の余命は、がんの種類や進行具合、患者さまの体の状態によって変わってきます。一般的に、肺がん全体のステージ4における5年生存率は約7〜8%程度と報告されていますが、これはあくまで統計上の数字です。
末期と診断された場合、余命は数ヶ月以内と予測されることが多いですが、実際には個人差が非常に大きいのが現実です。治療の効果が良好な場合は予想よりも長く過ごせる方もいらっしゃいます。また、分子標的薬が効くタイプのがんでは、さらに長い期間を期待できることもあります。
余命を左右する要因はさまざまです。がんのタイプ(小細胞肺がんか非小細胞肺がんか)、転移の範囲や場所、患者さまの年齢や全身の体力、他の病気の有無などが関係してきます。また、治療への反応も重要な要素です。抗がん剤が効きやすい体質の方や、特定の遺伝子変異に対応した分子標的薬が使える方は、予後が良好になる傾向があります。
さらに、栄養状態や食欲、日常生活の活動レベルなども、余命に影響を与えると考えられています。医師から余命の話を聞いた場合でも、それはあくまで統計的な目安であり、個々の状況によって大きく変わる可能性があります。
余命宣告を受けた後も、前向きに過ごすための取り組みは数多くあります。まず、症状を和らげる緩和ケアを積極的に受けることで、日々の生活の質を保つことができます。
家族や友人との時間を大切にし、心の支えを得ることも重要です。趣味や好きなことを楽しんだり、美味しい食事を味わったりすることで、充実した時間を過ごすことができます。
また、医療技術は日々進歩しており、新しい治療の選択肢が生まれる可能性もあります。これらの方法で、残された時間をより良いものにしていくことができます。
肺がんの末期といわれる状態でも、治療やケアの工夫次第で、症状を和らげながら穏やかに生活を送ることができます。
「末期だから何もできない」ではなく、「今できる最善を一緒に探す」ことが大切です。
当グループでは、医師・看護師・栄養療法の専門家が連携し、さらに主治医・地域医療機関とも協力しながら、末期の段階でも患者さまの希望に寄り添った治療と支援を提供しています。