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TOP コラム 癌を治す!進化続ける4大治療法+アルファを独自解説

投稿日:2026.2.28/更新日:2026.2.28

癌を治す!進化続ける4大治療法+アルファを独自解説

癌治療は進化を続けており、複数の治療法から患者さまひとりひとりに合った方法を選択できるようになりました。手術療法、放射線療法、薬物療法といったこれまでの治療に加え、免疫療法(光免疫療法)や新たな局所療法などの新しい方法も登場しています。それぞれの治療法の特徴を知ることで、より納得のいく治療選択につながるでしょう。

本記事では、癌を治すための5大治療法を順に解説します。

①手術療法:癌治療の基本的なアプローチ

手術療法は、癌細胞を直接取り除く基本的な治療方法です。
近年では、より非侵襲的で、患者さまの身体的負担を軽減する技術が大きく進歩しています。そのため、開胸・開腹を伴う大きな手術から、内視鏡・腹腔鏡・ロボット支援手術(ダヴィンチ・Hugoなど)へと移行が進んでいます。

主な手術方法:全摘手術と部分摘出手術

手術では、癌の進行度や位置によって切除範囲を決めていきます。種類は大きく分けて、全摘手術と部分摘出手術の2つです。

全摘手術は、癌が発生した臓器全体を取り除く方法です。
一方で、部分摘出手術は、癌とその周辺の正常組織のみを切除し、できるだけ臓器機能を温存する方法です。

癌は周囲に広がる可能性があるため、一般的には癌細胞の周囲にある正常組織も含めて切除します。

早期癌の場合は、内視鏡を用いた体への負担が少ない手術も可能です。
胃癌や大腸癌では内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などの低侵襲治療が標準的となっています。

ロボット支援手術とナビゲーション技術の進化

ロボット支援手術は、外科医が3D映像を見ながら操作できる高精度の技術で、従来よりも微細で正確な切除や縫合が可能です。具体的には、ダヴィンチ手術システムなどがあります。
特に前立腺癌・子宮体癌・肺癌・大腸癌・胃癌などで普及が進んでおり、出血量の減少・術後回復の早さ・合併症の少なさが報告されています。

また、蛍光ナビゲーション(ICG蛍光法)やAI画像解析による術中ガイドが導入され、腫瘍境界や血流、リンパ流の可視化も可能です。

手術療法のメリットとリスク

手術療法の最大の利点は、癌細胞を直接・確実に取り除ける点です。
癌が特定の範囲に限定している場合、手術によって完全治癒が期待できます。

一方で、全身麻酔・出血・感染・臓器機能低下などのリスクも伴うため、体力や既往歴を含めた総合的な判断が必要です。

低侵襲・高精度化に向けた今後の方向性

近年では「機能温存」と「低侵襲性」の両立が重視されており、臓器の一部を残す縮小手術や、AIを用いた術前シミュレーション技術も進展しています。

さらに、光免疫・BNCT・凍結治療などの局所療法との併用により、外科的切除の限界を超える集学的アプローチが広がりつつあります。

②放射線療法:切らずに治すアプローチ

放射線療法は、体の外から放射線を当てて癌細胞を攻撃する方法で、臓器を取り除かずに治療できるのが特徴です。

放射線療法の基本原理

放射線は癌細胞の遺伝子(DNA)を傷つけることで、癌細胞を死滅させます。癌細胞は正常な細胞に比べて、DNAが傷ついたときの修復力が弱いという特徴があります。この性質を利用して、癌細胞だけに効果的にダメージを与えるのが放射線療法です。

近年では、従来のX線に比べて周囲の正常組織への影響を抑えながら高精度に癌を狙える「粒子線治療(陽子線・重粒子線)」も多く使用されています。

また、「BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)」は、腫瘍に選択的に取り込まれるホウ素化合物を利用して中性子線を照射することで、癌細胞のみを破壊する最先端の放射線治療です。

放射線療法の適応範囲と効果

放射線療法は、癌を完全に治すことを目指す場合と、癌による痛みなどの症状を和らげる目的で行われる場合があります。手術が難しい場所にある癌や、体の状態から手術が受けられない患者さまにも適応できます。また、手術や薬物療法と組み合わせて行うことで、より高い効果が期待できる場合もあります。

 

1回の治療時間は10〜30分程度です。治療期間は、癌の種類や進行度によって数週間から数か月と異なります。

副作用

放射線は正常な細胞にも影響を与えるため、副作用が現れることがあります。副作用には、治療中や治療直後に起こるもの(急性期)と、治療終了後、半年から数年経ってから起こるもの(晩期)があります。代表的な急性期の副作用には、だるさや照射部位の皮膚炎などがあります。副作用の種類や程度は、放射線を当てる部位や範囲によって異なるため注意が必要です。例えば、頭部への照射では脱毛が、腹部への照射では吐き気や下痢が起こるなどが考えられます。

③薬物療法:抗がん剤と分子標的薬の進化

薬物療法は、薬を使って癌を治したり、進行を抑えたりする治療法です。全身に作用するため、転移した癌にも効果が期待でき、手術や放射線療法と組み合わせて行われることもあります。

近年は、癌の遺伝子情報を詳細に解析して最適な治療薬を選択する「がんゲノム医療(プレシジョンメディシン)」が進歩しています。

遺伝子パネル検査によって、KRAS・TP53・EGFRなどの変異を解析し、それに対応した分子標的薬や免疫療法薬を選ぶことで、より高い治療効果を目指します。

抗がん剤療法の働き

抗がん剤の中でも細胞障害性抗がん薬は、細胞が分裂して増える仕組みを妨げることで、癌細胞の増殖を抑えます。癌細胞は正常な細胞より活発に分裂するため、この薬の影響を強く受けます。投与方法には、口から飲む内服薬と、静脈への点滴や注射があります。癌の種類によっては、作用の異なる複数の抗がん剤を組み合わせて使うことで、より高い効果を目指します。

分子標的薬の特徴と可能性

分子標的薬は、癌細胞の増殖に関わる特定のタンパク質などを標的にして、その働きを抑える薬です。従来の抗がん剤とは異なるアプローチで、癌細胞をより選択的に攻撃します。例えば、癌細胞の表面にある受容体に結合して、増殖の信号が伝わるのを防ぎます。この薬は、癌の種類や遺伝子の特徴に合わせて選んでいくため、効果が期待できる患者さまかどうかは事前にわかります。

副作用

薬物療法の副作用は、使用する薬の種類によって異なります。細胞障害性抗がん薬では、吐き気や脱毛、白血球減少などが起こることがあります。これは、活発に分裂する正常な細胞(髪の毛や消化管の粘膜、血液を作る細胞など)にも影響が及ぶからです。また、皮膚の発疹や下痢などが見られることがあります。副作用の程度には個人差があり、体調やほかの病気の有無、飲み合わせなども影響します。

④免疫療法:体の力を活かす癌治療

免疫療法は、人間の体に備わっている免疫の力を利用して癌を攻撃する治療法です。

免疫療法のメカニズム

私たちの体には、細菌やウイルス、癌細胞などの異物を排除する免疫という仕組みがあります。この免疫で中心的な役割を持つのが、血液中のT細胞という免疫細胞です。T細胞には癌細胞を攻撃する性質がありますが、癌細胞はT細胞の働きにブレーキをかけて攻撃を逃れようとします。免疫療法は、このブレーキを解除してT細胞が本来持っている力を取り戻せるようにしたり、逆にT細胞の働きを強化したりすることで、癌細胞を攻撃するのです。癌細胞を直接攻撃するのではなく、体の免疫システムに働きかけるという点が特徴です。

免疫チェックポイント阻害剤の効果

免疫チェックポイント阻害剤は、効果が証明された免疫療法の代表的な薬です。癌細胞が免疫細胞にかけているブレーキを解除して、免疫細胞の攻撃力を回復させます。日本でも肺癌や胃癌など、さまざまな癌の治療に使われるようになりました。

 

この治療の利点は、全身に広がった癌にも効果が期待できることや、効果が現れた場合に長く続く可能性があることです。ただし、現段階ではすべての患者さまに効果が期待できるわけではありません。

免疫療法が適応される癌の種類

免疫チェックポイント阻害剤は、現在、悪性黒色腫、非小細胞肺癌、胃癌、食道癌、腎細胞癌、頭頸部癌など、多くの癌種で使用が承認されています。癌の種類によっては、癌細胞の遺伝子検査を行い、特定の特徴がある場合に治療の対象となります。例えば、癌細胞にPD-L1というタンパク質が多く見られる患者さまでは、効果が高いとされています。また、手術の前後に使われたり、ほかの抗がん剤や放射線療法と組み合わせて使われたりすることもあります。免疫療法を受けられるかどうかは、癌の種類や進行度などから判断して決定していきます。

光免疫療法:新しい免疫療法のアプローチ

光免疫療法は、薬と光を使って癌細胞だけを攻撃する治療方法です。2020年に日本で頭頸部癌に対して承認されました。

光免疫療法では、まず癌細胞の表面にあるタンパク質に結合する抗体薬と、光に反応する色素を組み合わせた薬剤を点滴で投与します。この薬剤は癌細胞に集まって結合します。癌がある部分に特定の波長のレーザー光を照射すると、薬剤が化学反応を起こして癌細胞が破壊されます。正常な細胞には薬剤が結合しないため、レーザー光を当てても影響を受けません。

 

治療時間は数分から十数分程度と短く、体への負担が少ないのが特徴です。また、破壊された癌細胞が免疫細胞を刺激するため、免疫の力でほかの癌細胞も攻撃されるという効果も期待できます。

今後の発展と期待される可能性

現在、日本で保険適用されている光免疫療法は、切除できない頭頸部癌が対象です。頭頸部は口や喉など、レーザー光を当てやすい場所にあるため、治療に適しています。将来的には、乳癌や大腸癌など、ほかの癌への適応拡大や、免疫チェックポイント阻害剤との併用療法の開発が期待されています。また、早期癌への応用や、転移した癌への治療法としても研究が続けられています。

⑤凍結治療(クライオサージェリー):低侵襲で免疫を刺激する新たな手法

凍結治療は、CTガイド下で腫瘍に「凍結針(超低温で凍結させて破壊する細い針)」を刺し、マイナス100度前後で凍結と融解を繰り返して腫瘍を壊死させる治療です。

全身麻酔をしてから行われます。傷は針孔のみで非常に小さく、治療後3~4日で退院が可能です。高齢者や体力の低い患者さま、手術や放射線が難しい症例にも適応できます。

凍結範囲は針の周囲約4cmで、腫瘍とその周辺を確実に凍らせます。1.2cm以下の肺癌では局所制御率100%、1.3〜1.7cmでは96%と報告されています(EuropeanJournalofRadiology,2020)。
また、放射線治療と凍結治療の併用により、2cm以上の腫瘍でも局所制御率は90%まで向上します。

この治療は、抗がん剤無効例や再発症例に対しても有効であり、免疫チェックポイント阻害剤との併用による「凍結免疫効果(アブスコパル効果)」が報告されています。
凍結された腫瘍が“体内ワクチン”として作用し、免疫細胞が腫瘍抗原を認識して全身免疫を賦活化することも確認済みです。

放射線治療と比較して肺機能低下や間質性肺炎の悪化が少なく、再照射が困難な症例でも繰り返し行うことが可能です。また、複数病変への同時治療も可能で、転移性肺癌にも応用されています。

欠点としては保険適用外で自費診療となる点、穿刺による気胸が約20%に起こりうる点が挙げられますが、ほとんどは2~3日で改善します。

 

⑥セラノスティクス/放射性リガンド療法(FAPI・PSMA治療):癌の分子標的を狙う次世代放射線治療

セラノスティクス治療とは、癌の線維化や細胞表面抗原などの分子標的に対して、放射性薬剤を用いて「診断」と「治療」を一体化する新しい放射線医療の総称です。
その代表的なアプローチが「FAPI治療」と「PSMA治療」です。

FAPI治療(Fibroblast Activation Protein inhibitor-based Radioligand Therapy)

FAPI治療は、癌の周囲を取り巻く線維芽細胞が発現するFAP(Fibroblast Activation Protein)を標的とした放射性リガンド療法です。
FAPに結合する放射性ペプチド(FAPI)を投与し、PET画像で腫瘍微小環境の線維化や炎症を可視化すると同時に、その標的に集積した放射線によりFAP陽性細胞を選択的に障害します。
FAPI-PETは、従来のFDG-PETでは検出しにくい線維化の強い腫瘍や低代謝腫瘍の可視化にも優れており、BNCTや免疫療法との併用により、全身的な治療効果の増強も期待されています。

PSMA治療(Prostate-Specific Membrane Antigen-targeted Radioligand Therapy)

PSMA治療は、前立腺癌の細胞表面に高発現するPSMA(Prostate-Specific Membrane Antigen)を標的とした放射性リガンド療法です。
PSMAに結合する放射性リガンドを用いることで、PSMA-PETにより全身の転移病変を高感度に可視化でき、同じ標的に放射線を集中的に届けることで、再発・転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)に対しても有効性が報告されています。
この治療は、従来の化学療法と比べて全身性の副作用が比較的少なく、骨転移を含む複数病変にも効果を示すことから、精密医療の一つとして世界的に注目されています。

セラノスティクスは、「同一の分子標的を用いて診断と治療を行う」というコンセプトに基づき、FAPI・PSMAともに個別化放射線治療の中核技術として、今後さらに発展が見込まれています。

監修医師

矢﨑 雄一郎医師

免疫療法・研究開発

東海大学医学部を卒業後、消化器外科医として医療機関に従事したのち、東京大学医科学研究所で免疫療法(樹状細胞ワクチン療法)の開発に従事。現在はプレシジョンメディカルケア理事長として活躍中。専門分野は免疫療法及び消化器外科。著書『免疫力をあなどるな!』をはじめ、医学書の執筆も手がけ、医療知識の普及にも貢献。免疫療法の開発企業であるテラ株式会社の創業者。