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抗がん剤・分子標的薬

投稿日:2026.4.30/更新日:2026.9.21

大腸がん最新情報2026年4月|手術・ゲノム医療・早期発見

この記事でわかること

  • 2026年4月の大腸がんニュース:腹腔鏡手術の体腔内吻合(ICAN試験)、ゲノム医療の進展、リスク因子と早期発見、治療中の生活の質。
  • 手術方法を主治医に相談するときの聞き方。
  • 大腸がんステージ4(肝転移)でも「手術不能=治療の終わり」ではない理由。
  • 当院で多発肝転移の大腸がんステージ4に抗がん剤(XELOX)と樹状細胞ワクチン療法を併用し、原発・肝転移が画像上消失して病理で完全寛解となった実例。

大腸がんの治療や予防に関する情報は日々更新されています。患者さんやご家族にとって、最新の医療情報は大きな希望となるでしょう。2026年4月も、大腸がんの診断や治療、そして日常生活に関わる様々なニュースが届きました。今回は、これらの情報の中から、皆さんの大腸がんとの向き合い方に役立つポイントを、臨床医の視点からご紹介します。

大腸がん手術の負担軽減へ

今月、腹腔鏡下結腸癌手術で体腔内吻合は体腔外吻合と同等の3年無再発生存率を示す可能性【日本外科学会2026】という研究報告がありました。これは、腹腔鏡下で結腸がんの手術を行う際に、腸管をつなぎ合わせる「吻合」を体の中で行う「体腔内吻合」と、体外で行う「体腔外吻合」を比較したものです。ICAN試験という多施設共同前向き観察研究の結果、体腔内吻合が体腔外吻合と同等の3年無再発生存率を示す可能性が明らかになりました。 体腔内吻合は、体への負担が少ない手術方法として注目されています。傷が小さく、術後の回復が早い傾向にあることが特徴です。今回、再発率が変わらない可能性が示されたことで、患者さんの手術選択肢が広がるかもしれません。これは今すぐ臨床現場で手術方法を検討する際の重要な情報となります。私たちの外来でも、患者さんから「できるだけ体に負担の少ない手術を受けたい」というご希望をよく伺います。 もし手術を検討されている方は、「腹腔鏡下手術で体腔内吻合という方法もあると聞きましたが、私の場合は選択肢になりますか」と主治医に尋ねてみてみるのもいいかもしれません。ご自身の病状や体質によって最適な方法は異なりますが、選択肢について詳しく知ることは大切です。

ゲノム医療の進展と大腸がん治療の可能性

ゲノム解析の進歩により、がん治療は個別化医療へと大きく舵を切っています。今月も、この流れを加速させるニュースがありました。 一つは、ALK融合遺伝子陽性の進行・再発固形がんに対するアレクチニブのがん種横断的な適応拡大が小児を含め厚労省部会で了承されたというものです。この分子標的薬アレクチニブは、これまで肺がんなどで使用されてきましたが、特定の遺伝子変異(ALK融合遺伝子)があれば、がん種を問わず使用できる「がん種横断的」な承認となる点が新しい展開です。ALK阻害薬としては初めての試みとなります。 大腸がん、特に結腸がんや直腸がんの患者さんの中には、非常に稀ではありますが、このALK融合遺伝子を持つ方がいらっしゃいます。ゲノム検査でこの変異が見つかれば、新たな治療選択肢となる可能性があります。厚労省部会で了承されたため、承認され次第、すぐに臨床で使用できるようになるでしょう。ご自身の遺伝子変異について知りたい方は、遺伝子パネル検査で、ALK融合遺伝子について調べてもらうことはできますか」と主治医に相談してみるのが良いかもしれません。 一方で、KRAS G12D変異陽性転移性膵管腺がんに対するセチデグラシブの第3相試験、最初の患者への投与を開始というニュースも注目されています。KRAS変異は、これまで標的薬の開発が難しいとされてきた遺伝子変異の一つでした。標的タンパク質分解誘導薬という新しい作用機序を持つセチデグラシブが、膵臓がんを対象とした第3相臨床試験に進んだことは大きな進展と言えます。 大腸がん、特に結腸がんではKRAS変異を持つ患者さんが多くいます。この薬が将来的に大腸がんにも応用される可能性を秘めており、創薬ベンチャーによる新しい治療法の開発に期待が寄せられます。ただし、大腸がんへの適用はまだ研究段階であり、臨床で使えるようになるには時間がかかると考えられます。ご自身のKRAS変異について関心がある方は、同変異に対する治療に取り組んでいるプレシジョンクリニックにお気軽にご相談ください。

大腸がんのリスク因子と早期発見の重要性

大腸がんの早期発見には、リスク因子を知り、定期的な検診を受けることが極めて重要です。今月、新たなリスク因子に関する情報や、検診の現状に関する調査結果が発表されました。 一つは、重度の男性不妊症は大腸がんや甲状腺がんのリスク増加と関連という海外の報告です。重度の男性不妊症の既往がある方は、大腸がん検診の受診をより積極的に検討するきっかけになるかもしれません。これはリスク因子に関する研究報告であり、今すぐ治療法が変わるわけではありませんが、早期発見のための検診の重要性を再認識する情報です。もし男性不妊症の既往がある方は、要注意です。 また、医師でリスクの低いがんは?「日本人の職業とがんリスクの大規模研究」という研究では、日本における職業とがん発症リスクの関連が調査されました。この研究では、医師などの専門職で肺がん、食道がん、胃がん、そして大腸がんのリスクが低いことが示されています。特定の職業で大腸がんのリスクが低いという報告は興味深いですが、これはあくまで統計的な傾向であり、個人のリスクを決定づけるものではありません。どの職業の方でも、定期的な大腸がん検診は欠かせません。 さらに、親の検診状況を「詳しく把握」している子供世代はわずか21.4%という意識調査の結果も発表されました。これは、がん検診の重要性が広く認識されている一方で、家族間での具体的な状況把握が不十分であることを浮き彫りにしています。大腸がんの早期発見には、ご自身の検診はもちろん、ご家族の検診状況についても話し合う良い機会となるでしょう。実際に、私たちの外来でも「親が大腸癌になったので、自分も心配になって」と来院される方が多くいらっしゃいます。家族に大腸がんの既往がある場合は、家族で検診について話し合う機会を作ることをお勧めいたします。

がん治療と患者さんの生活の質

がん治療は、病気を治すことだけではありません。患者さんの生活の質(QOL)をいかに維持し、向上させるかという視点も非常に重要であるとプレシジョンクリニックグループでは考えています。 今月、「膀胱がん切除後、BCG注入治療なしでも再発率変わらず 負担減に」という研究が報じられました。BCG注入治療は免疫を活かした治療であり、私も取り組んでいる治療にも関連しますが、治療の「引き算」という考え方で、患者さんの副作用や通院負担を減らせる可能性を示しています。大腸がんの治療においても、治療効果を維持しながら副作用や通院負担を減らす取り組みは、今後ますます重要になっていくと考えられます。プレシジョンクリニックグループでも、患者さんの生活の質、コストパフォーマンスを大切にしながら、最適な治療法を一緒に考えることを心がけています。治療中に気になる症状や生活上の困りごとがあれば、遠慮なく私たちにご相談ください。

当院の実例

多発肝転移で手術適応外の大腸がんステージ4に、抗がん剤(XELOX)と樹状細胞ワクチン療法を併用し、原発巣・肝転移が画像上消失、病理で完全寛解を確認した症例

大腸がんステージ4(多発肝転移)で手術適応外と判定された方です。抗がん剤(XELOX)に樹状細胞ワクチン療法(7回・1クール)を追加したところ、ワクチン終了後には大腸がん細胞だけを標的にする免疫細胞(がん特異的キラーT細胞)が治療前の30倍に増えていました。大腸の原発巣と多発肝転移はともに画像上消失し、病理検査で完全寛解(CR)を確認しています。がんの種類に特化した免疫を誘導できることが、樹状細胞ワクチン療法の特徴です。

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※個別の症例であり、治療効果には個人差があります。同じ結果をお約束するものではありません。

よくある質問

大腸がんの肝転移は、手術できないと言われたら治療は終わりですか?

終わりではありません。抗がん剤と分子標的薬で縮小してから切除する「コンバージョン手術」が現実の選択肢で、切除不能だった肝転移の約1〜2割で手術に至るという報告があります。当院では、その抗がん剤の期間に樹状細胞ワクチン療法を重ね、縮小と再発予防の両方を狙います(肝・肺転移が画像上消失した別の実例)。

大腸がんの遺伝子検査では何を調べますか?

RAS(KRAS/NRAS)とBRAFの変異、MSI(マイクロサテライト不安定性)、HER2が基本です。RAS野生型なら抗EGFR抗体(セツキシマブ等)、BRAF V600Eなら専用の併用療法、MSI-Highなら免疫チェックポイント阻害薬が選べます。当院ではこれに免疫の状態を加えて治療を設計します(KRAS変異の解説)。

術後の再発予防に、抗がん剤以外でできることはありますか?

あります。ステージ3の術後補助化学療法(ゼローダ、CAPOX等)に樹状細胞ワクチン療法を並行し、術後6年間再発なく経過している実例があります。血液でがん由来DNAを調べるctDNA検査で、画像より早く再発の兆しを捉える方法もあります(検査の料金)。

ご自身の大腸がんについて、
当院に相談してみませんか?

大腸がんは、原発の場所と遺伝子変異で治療の組み立てが変わります。
右側か左側か。RAS・BRAFはどうか。
お手元の検査結果とこれまでの経過をうかがったうえで、ひとつずつご説明します。ご相談は無料です。

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    監修医師:矢﨑 雄一郎医師

    監修医師

    矢﨑 雄一郎医師

    免疫療法・研究開発

    東海大学医学部を卒業後、消化器外科医として医療機関に従事したのち、東京大学医科学研究所で免疫療法(樹状細胞ワクチン療法)の開発に従事。現在はプレシジョンメディカルケア理事長として活躍中。専門分野は免疫療法及び消化器外科。著書『免疫力をあなどるな!』をはじめ、医学書の執筆も手がけ、医療知識の普及にも貢献。免疫療法の開発企業であるテラ株式会社の創業者。

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