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多発骨転移を伴う前立腺がんステージ4|副作用でホルモン治療を中断後、樹状細胞ワクチン療法で10年以上経過した85歳男性の症例

この症例のポイント

  • 多発骨転移を伴う前立腺がんステージ4と診断された男性。ホルモン治療を開始し、翌年には去勢術を受けられた。
  • その後もPSAは上昇し、ホルモン治療によるかゆみなどの副作用で治療の継続が困難に。治療の選択肢に悩まれたのち、当グループを受診し樹状細胞ワクチン療法を開始した。
  • 投与後、血液中にほとんど検出されなかった前立腺がんと戦う免疫細胞(キラーT細胞)が約400倍に増加10年以上お元気に過ごされている。

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    前立腺がんの多発骨転移とは

    前立腺がんは、転移する際に骨へ広がりやすい性質があり、背骨・骨盤・肋骨などに複数の転移が生じた状態を多発骨転移と呼びます。この段階はステージ4に分類され、前立腺を摘出する手術ではなく、全身に効く薬物療法が治療の柱になります。

    前立腺がんは男性ホルモン(アンドロゲン)を栄養にして増殖するため、その働きを抑えるホルモン治療(内分泌療法)が中心的な役割を果たします。ホルモン治療には薬剤による方法のほか、男性ホルモンの大部分を分泌する精巣の働きを止める去勢術(外科的去勢)があり、本症例では診断の翌年に去勢術が行われました。

    ホルモン治療の副作用で治療の継続が難しくなるとき

    ホルモン治療は前立腺がんに対して高い効果が期待できる一方、ほてり・倦怠感・骨密度の低下・皮膚のかゆみなど、さまざまな副作用が現れることがあります。効果があっても副作用の負担が大きく、治療そのものを続けられなくなる場合があるのが難しい点です。

    本症例では、去勢術ののちもホルモン治療を継続していましたが、腫瘍マーカーであるPSA値は上昇し、さらにかゆみなどの副作用によって治療の継続が困難になりました。効果と副作用の両面から選択肢が狭まった状態で、患者さまは治療方針に悩まれ、当グループを受診されています。当グループでは、こうした状況において免疫を活性化する樹状細胞ワクチン療法(SynerTri®のアクセル)を組み合わせる設計を検討することがあります。

    キラーT細胞が約400倍に ― 免疫の反応を血液で確かめる

    キラーT細胞は、体内で異常な細胞を見つけて直接攻撃するリンパ球の一種です。ただし、キラーT細胞ががん細胞を攻撃するには、まず「どれががん細胞なのか」という目印(抗原)を教わる必要があります。その教える役割を担うのが樹状細胞であり、樹状細胞ワクチン療法は、この仕組みを利用してがんに特異的なキラーT細胞を増やすことを目指す治療です。

    治療の効果は画像所見や腫瘍マーカーで確認するのが基本ですが、それに加えて血液中でがんを攻撃するキラーT細胞が増えているかを測定することで、免疫が実際に反応したかどうかを裏づけられる場合があります。本症例では、投与前には血液中にほとんど検出されなかった前立腺がんに対するキラーT細胞が、投与後には約400倍まで増加していました。狙いどおりに免疫がはたらいたことを示す所見です。

    ※ この数値は本症例において測定された値であり、すべての方に同様の変化が生じることを示すものではありません。免疫細胞の増加が必ずしも治療効果を保証するものでもありません。

    SynerTri®の役割 本症例での対応
    標準治療(ホルモン治療・去勢術) 診断時よりホルモン治療を開始。翌年に去勢術を実施。その後、副作用により継続が困難に
    アクセル(免疫活性化) 樹状細胞ワクチン療法を開始し、がん特異的なキラーT細胞を誘導(投与後、約400倍に増加)

    よくある質問(FAQ)

    Q. 前立腺がんの多発骨転移があると、どんな治療になりますか?
    多発骨転移を伴う前立腺がんはステージ4に分類され、前立腺を摘出する手術ではなく、ホルモン治療(内分泌療法)を中心とした全身療法が治療の柱になります。本症例でもホルモン治療から治療が始まり、その後に去勢術が行われました。骨転移の数だけで治療の選択肢が決まるわけではなく、全身状態や治療歴をふまえて設計します。
    Q. ホルモン治療の副作用で治療が続けられなくなった場合、どうすればよいですか?
    ホルモン治療では、ほてり・倦怠感・皮膚のかゆみなどの副作用が現れることがあり、程度によっては治療の継続が難しくなる場合があります。本症例でも、かゆみなどの副作用により治療の継続が困難となりました。まずは主治医に副作用の程度を伝え、薬剤の変更や対症療法を相談することが基本です。そのうえで、当グループでは免疫を活性化する樹状細胞ワクチン療法を組み合わせる設計を検討することがあります。
    Q. 樹状細胞ワクチン療法が効いているかどうかは、どうやって確認しますか?
    画像所見や腫瘍マーカーに加えて、血液中でがんを攻撃する免疫細胞(キラーT細胞)が増えているかを調べることで、免疫が反応したかどうかを確認できる場合があります。本症例では、投与前にはほとんど検出されなかった前立腺がんに対するキラーT細胞が、投与後に約400倍まで増加していました。これは本症例で測定された値であり、同様の結果を保証するものではありません。
    Q. キラーT細胞とは何ですか?
    キラーT細胞は、体内で異常な細胞を見つけて直接攻撃するリンパ球の一種です。がん細胞を攻撃するには、まずがんの目印(抗原)を教わる必要があり、その「教える」役割を担うのが樹状細胞です。樹状細胞ワクチン療法は、この仕組みを利用してがんに特異的なキラーT細胞を増やすことを目指す治療です。

    Case Report ─ 当院の前立腺がん改善症例

    重要症例

    前立腺がん
    80代
    男性
    ステージ4
    多発骨転移
    樹状細胞ワクチン療法
    キラーT細胞 約400倍
    10年以上お元気に

    前立腺がんでホルモン治療が続けられないとき、免疫療法(樹状細胞ワクチン療法)という選択肢

    ここまで代表的な治療の考え方をご紹介しました。ホルモン治療の継続が難しくなった場合でも、免疫の働きを後押しする方法を検討できることがあります。実際に樹状細胞ワクチン療法を受けられた患者さまの経過をご紹介します。

    患者情報

    項目 内容
    診断名 前立腺がん(ステージ4)、多発骨転移
    年齢・性別 85歳 男性
    治療法 ホルモン治療(内分泌療法)+去勢術+樹状細胞ワクチン療法
    治療期間・回数 樹状細胞ワクチン療法は、1セット(7回)を1つのクール(治療単位)として実施します。本療法は、最初のクールを終えたあとも治療を継続される方が多くいらっしゃいます。
    治療費 当院の治療はすべて自費診療(保険適用外)です。費用は改定される場合があるため、最新の金額は料金表をご確認ください。なお、クール終了後に治療を継続される場合は、別途費用がかかります。

    治療経過

    時期 内容
    20XX年12月(診断時) 前立腺がん、多発骨転移と診断。ホルモン治療を開始。
    20XX+1年2月 去勢術を実施。
    その後 ホルモン治療を継続するもPSA値は上昇。さらにかゆみなどの副作用により治療の継続が困難となる。治療選択肢に悩まれ、プレシジョンクリニックグループを受診。
    20XX+5年5月 樹状細胞ワクチン療法を開始
    投与後 血液中にほぼ検出されなかった前立腺がんと戦う免疫細胞(キラーT細胞)が約400倍に増加
    現在 10年以上、お元気に過ごされている
    前立腺がん2986 治療経過タイムライン(多発骨転移の診断・去勢術ののち副作用でホルモン治療の継続が困難となり、約4年5か月後に樹状細胞ワクチン療法を開始。キラーT細胞が約400倍に増加し10年以上経過)
    治療経過タイムライン。診断・去勢術ののち、PSA上昇と副作用でホルモン治療の継続が困難となり、治療の選択肢に悩まれた約4年5か月を経て樹状細胞ワクチン療法を開始しました。投与後、キラーT細胞が約400倍に増加し、10年以上お元気に過ごされています。治療効果には個人差があります。

    治療の考え方(SynerTri®)

    当グループでは、標準治療(抗がん剤)を土台としつつ、プラスアルファで免疫の働きで後押ししていきます。進行がんでも免疫の働きを強化するために、患者さまの状況に応じて複合的に免疫を改善させる独自のプロトコルSynerTri®(シナトリ/学術名 iCCI)で個別に免疫治療を設計します。

    本症例では、多発骨転移を伴う前立腺がんステージ4に対し、標準治療としてのホルモン治療と去勢術が行われました。その後、副作用により治療の継続が困難となった段階で、免疫を活性化する〈アクセル〉である樹状細胞ワクチン療法を開始しています。投与後には、血液中にほとんど検出されなかった前立腺がんに対するキラーT細胞が約400倍まで増加し、狙いどおりに免疫がはたらいたことが確認されました。診断から10年以上、お元気に過ごされています。

    副作用・リスク

    樹状細胞ワクチン療法の副作用は基本的にほとんど認められませんが、未知の副作用等が起こる可能性は否定できません。以下の可能性があります。なお、ホルモン治療を併用する場合は、ホルモン治療に伴う副作用(ほてり・倦怠感・骨密度の低下・皮膚のかゆみ等。本症例では、かゆみ等により継続が困難となりました)も生じ得ます。

    • 成分採血時:めまい・吐き気(迷走神経反射)、口の周り・手足のしびれ等
    • 細胞培養時:細菌等による培養汚染リスク
    • ワクチン接種時:注射部位の発赤・皮疹・発熱

    治療効果には個人差があります。同様の効果を保証するものではありません。

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      矢﨑雄一郎 プレシジョンクリニック東京院長
      監修:矢﨑 雄一郎 医師
      プレシジョンクリニック 東京院長 / 医療法人社団プレシジョンメディカルケア理事長
      東海大学医学部を卒業後、消化器外科医として医療機関に従事したのち、東京大学医科学研究所で免疫療法(樹状細胞ワクチン療法)の開発に従事。現在はプレシジョンメディカルケア理事長として活躍中。専門分野は免疫療法及び消化器外科。約6,000症例の免疫療法を主導し、進行がんにおける個別化免疫治療(SynerTri®)プロトコルを確立。著書『免疫力をあなどるな!』をはじめ、医学書の執筆も手がけ、医療知識の普及にも貢献。免疫療法(樹状細胞ワクチン)の開発企業であるテラ株式会社の創業者。

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