2024.10.17
IGRT(Image-Guided Radiation Therapy、画像誘導放射線治療)は、がん治療において放射線を腫瘍に正確に照射するための高度な技術です。IGRTは、治療中にリアルタイムで患者の体内の腫瘍の位置を画像で確認し、その都度、照射の精度を調整することができます。
この技術の主な利点は、腫瘍の動きを正確に追跡できることです。たとえば、肺や腹部の腫瘍は、患者の呼吸や体内の動きにより、位置がわずかに変わることがあります。従来の放射線治療では、この移動を補正するために広い範囲を照射する必要がありましたが、IGRTでは腫瘍の正確な位置を確認してから放射線を照射するため、健康な組織に対するダメージを最小限に抑えつつ、効果的に腫瘍を治療できます。
IGRTでは、次のような画像技術が使用されます。
X線画像: 低線量のX線を使って、腫瘍の位置を治療直前や治療中に確認します。
CTスキャン: CT画像を使って、患者の体内の断層画像を取得し、より詳細な腫瘍の位置や形状を把握します。
MRIや超音波: 一部の装置では、MRIや超音波を併用することで、さらに詳細な軟部組織の画像を得ることも可能です。
IGRTの特徴と利点
高精度: 腫瘍の微小な移動にも対応し、非常に正確な照射が可能。
低リスク: 健康な組織や臓器に対する放射線の影響を最小限に抑えられるため、副作用が少ない。
柔軟性: 様々な部位の腫瘍に適用可能で、特に移動する可能性のある肺や腹部の腫瘍に有効。
IGRTは、特に肺がん、前立腺がん、消化器系がんなど、呼吸や体内の動きに影響されやすい腫瘍に対して効果的です。この技術の進歩により、がん治療における放射線療法の精度と安全性が大幅に向上しています。