無料医療相談

FREE CONSULTATION

TOP コラム 放射線療法 肺がん放射線治療後の予後予測、採血ctDNAが有用

放射線療法

投稿日:2026.7.29/更新日:2026.8.28

肺がん放射線治療後の予後予測、採血ctDNAが有用

この研究のポイント

局所進行性および限局性転移性の非小細胞肺がん患者さんに対し、放射線治療前や治療早期に採血で測定するctDNA(循環腫瘍DNA)の量を示す「ctFE」という指標が、治療後の生存期間や無増悪期間を予測できることが示されました。ctFEは、患者さんのリスクを層別化し、個別の精密治療の適応を検討する上で有用なバイオマーカーとなる可能性があります。

背景

局所進行性や限局性転移性の非小細胞肺がんは、放射線治療が重要な選択肢となりますが、治療効果には個人差があります。どの患者さんに治療がよく効くのか、また再発リスクが高いのかを、治療前や治療早期に非侵襲的に知る方法は限られていました。本研究は、採血でがんの情報を得る循環腫瘍DNA(ctDNA)の新たな指標であるctFE(circulating tumor fraction estimate)を用いて、これらの患者さんの治療効果や予後を予測できるかを検証しました。

研究でわかったこと

前向き第II相臨床試験において、切除不能なステージIIBからIIICの非小細胞肺がん患者26人に対し、MRガイド下化学放射線療法後に免疫療法が実施されました。治療開始時(ベースライン)と治療中期(10~14日目)に採血を行い、ctDNAからctFEを算出しました。

結果として、治療前および治療中期のctFEの量が、患者さんの全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)を強く予測することが判明しました。具体的には、ベースラインのctFEが高い患者さんはOSが約6倍、PFSが約11倍短くなる傾向が見られました。治療中期のctFEも同様に、OSが約7倍、PFSが約12倍短くなるという結果でした。早期のctFEの変化パターンによって、患者さんは3つのグループに分けられ、それぞれのグループでOSの中央値が60.8ヶ月、13.0ヶ月、2.9ヶ月と明確な差が確認されました。これらの結果は、94人の局所進行性NSCLC患者および309人の限局性転移性NSCLC患者を含む外部の検証コホートでも支持されました。

この研究は、腫瘍組織の採取を必要としない採血(リキッドバイオプシー)で得られるctDNAの指標が、非小細胞肺がんにおける放射線治療の効果や予後を予測する有用なバイオマーカーとなりうることを示しています。

患者さんへの意味

この研究は、放射線治療を受ける局所進行性または限局性転移性の非小細胞肺がん患者さんにとって、治療前や治療早期に採血だけで、その後の治療効果や再発リスクを予測できる可能性を示しています。これにより、患者さん一人ひとりのリスクに応じた治療計画の調整や、より適切な治療選択が可能になることが期待されます。現時点では研究段階であり、このctFEを用いたリスク層別化が広く臨床で利用されるまでには、さらなる研究と検証が必要です。

プレシジョンクリニックの視点

放射線治療は、当グループのSynerTri Immunotherapyにおける〈スイッチ〉の役割を担います。腫瘍を壊すことで生じるがん抗原を免疫細胞に提示し、眠っていた免疫を目覚めさせる重要な役割があります。本研究で示されたctDNAによるリスク層別化は、患者さん個別の状態に応じた精密な治療適応を可能にする点で、当グループが重視するゲノム医療や個別化医療の考え方と共通しています。当グループでは、患者さまのゲノム情報に基づいたネオアンチゲンを活用した樹状細胞ワクチン療法など、個別化された免疫療法を実践しています。ご自身やご家族のがん治療についてお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。

関連する当院の治療・サービス

原論文

Early ctDNA Stratifies Survival in Locally Advanced and Oligometastatic Lung Cancer Treated with Radiotherapy

Abstract(原文)

AbstractPurpose:Circulating tumor fraction estimate (ctFE) is a machine learning–derived composite metric of circulating tumor DNA (ctDNA) burden. We hypothesized that pre-treatment and early on-treatment ctFE could robustly risk-stratify patients with locally advanced (LA) and oligometastatic non–small cell lung cancer (NSCLC) treated with radiotherapy (RT).Experimental Design:In a prospective phase II clinical trial (NCT03916419), 26 patients with unresectable stage IIB to IIIC NSCLC received magnetic resonance (MR)-guided hypofractionated chemoradiotherapy (chemoRT) followed by immunotherapy. Plasma ctDNA was profiled at baseline and mid-treatment (days 10–14) to derive ctFE and maximum variant allele frequency (Max VAF). A burden-based ctFE threshold derived from baseline samples was applied unchanged to mid-treatment samples and validated in two external cohorts: LA NSCLC treated with chemoRT (LA-RW; n = 94) and oligometastatic NSCLC treated with RT (OM-RW; n = 309).Results:Pre- and mid-treatment ctFE burden strongly stratified overall survival (OS) and progression-free survival (PFS), outperforming Max VAF and ctFE detectability. The baseline ctFE was prognostic for OS (HR 5.93, P = 0.005) and PFS (HR 11.08, P < 0.001) and remained significant at mid-treatment (OS: HR 7.08; PFS: HR 12.06; both P < 0.001). Early ctFE dynamics defined three molecular response groups with OS separation (median OS 60.8 vs. 13.0 vs. 2.9 months; P < 0.001). ctFE remained associated with survival in both validation cohorts.Conclusions:Early ctFE derived from a clinically available, tumor-naïve ctDNA assay enables noninvasive risk stratification in LA and oligometastatic NSCLC treated with RT, supporting its use as a practical biomarker for precision treatment adaptation.

CATEGORY

関連記事