血液中に流れている、がん細胞由来のDNA(血中循環腫瘍DNA)の重要性

オプジーボ(ニボルマブ)と抗LAG-3抗体(レラトリマブ)併用療法の治験です。

レラトリマブはT細胞上のLAG-3と結合し、疲弊したT細胞のエフェクター機能を回復させる免疫チェックポイント阻害剤の一つです。

病状評価のためのctDNA(血中循環腫瘍DNA)使用の有効性についても検討され、なかなか有効なようです。

当クリニックグループでも、遺伝子パネル検査での血中腫瘍循環DNA測定を治療法決定、治療効果予測に使用しております。

今後、がん治療には、なくてはならない存在になっていくことでしょう。

『Neoadjuvant nivolumab or nivolumab plus LAG-3 inhibitor relatlimab in resectable esophageal/gastroesophageal junction cancer: a phase Ib trial and ctDNA analyses』
Nature Medicine  19 March 2024

胃食道癌における免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の臨床応答機構の詳細は依然として十分に理解されていません。

PD-1とリンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)の同時阻害の相乗効果は、腫瘍免疫応答の改善に役立つ可能性があります。

今回、切除可能なステージII / III胃食道癌の32人の患者を対象とした新規抗体療法のフェーズIb試験結果を報告しました。

この試験では、新規抗体療法の前治療としてnivolumab(Arm A、n=16)またはnivolumab–relatlimab(Arm B、n=16)を化学放射線療法と併用し、病理学的、分子学的、機能的免疫応答を評価しました。

主要評価項目は安全性、二次評価項目は実行可能性で、探索的評価項目は病理学的完全応答(pCR)および主要病理学的応答(MPR)、無再発生存期間(RFS)、全生存(OS)が含まれていました。

Arm Aで主要な安全性評価項目を満たしましたが、Arm Bは毒性を軽減するために修正が必要でした。

Arm AのpCRおよびMPR率はそれぞれ40%と53.5%で、Arm Bのそれはそれぞれ21.4%と57.1%でした。

一般的な有害事象は、倦怠感、吐き気、血小板減少症、皮膚炎でした。

2年間のRFSおよびOS率はそれぞれ72.5%と82.6%でした。

基準となるPD-L1およびLAG-3の発現量が多さ、良好な病理学的応答が関連していました。 

循環腫瘍DNA(ctDNA)探索的解析では、ICI導入後、手術前および手術後にctDNAが検出されなかった患者は、有意に長いRFSおよびOSを示しました。  

ctDNA消失は、ネオ抗原特異的T細胞応答を反映していました。

これらの結果は、胃食道癌におけるPD-1およびLAG-3阻害の安全性を示し、また新規抗体療法中に全身腫瘍状態を動的に評価するctDNA解析の潜在能力を示しています。

NCT03044613

プレシジョンクリニック名古屋院長
岡崎監修

【監修者】岡崎 能久

大阪大学医学部を卒業後、同大学院の修士課程を終了したのち、関西地方を中心に医療に従事、現在はプレシジョンクリニック名古屋院長として活躍中。専門は内視鏡診断および治療・研究開発。日本内科学会認定医や日本消化器病学会専門医、日本医師会認定産業医などの認定医を保有。

略歴:

2001/3

大阪大学医学部卒業

2001/6

大阪大学医学部附属病院内科研修医

2002/6

大阪厚生年金病院 内科 研修医

2003/5

国立循環器病センター内科レジデント

2004/5

大阪大学内科大学院生・研究生

2005/4

大阪大学大学院 外科系臨床医学(修士課程) 入学

2009/3

大阪大学大学院 外科系臨床医学(修士課程) 終了

2010/3

社会医療法人若弘会若草第一病院消化器内科

2011/4

川崎病院消化器内科)

2012/4

愛染橋病院消化器内科

2014/4

近畿大学医学部附属病院(大阪府内)消化器内科

2016/4

近畿大学医学部附属病院(奈良県)消化器内科

2018/1

大阪府立羽曳野医療センター消化器内科

2022/4

医療法人社団プレシジョンメディカルケア プレシジョンクリニック名古屋院長

専門分野:
内視鏡診断/治療・研究開発

認定医・資格等:
日本内科学会認定医
日本消化器病学会専門医
日本医師会認定産業医