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TOP コラム 膵臓がん(膵臓癌)のステージ分類

投稿日:2024.10.15/更新日:2024.10.22

膵臓がん(膵臓癌)のステージ分類

膵臓がんのステージ分類は、がんの進行度や広がりに基づいて治療法を決定するために重要です。膵臓がんは、発見が難しいことや進行が早いことで知られており、診断された時点で多くの場合進行していることが多いです。以下は、膵臓がんにおけるステージ分類の詳細です。

膵臓がんのTNM分類

膵臓がんの進行度は、一般的にTNM分類に基づいて評価されます。

  1. T(Tumor): 原発腫瘍の大きさと局所進展T1: 腫瘍が膵臓内にあり、最大径が2cm以下
    T2: 腫瘍が膵臓内にあり、最大径が2cmを超える
    T3: 腫瘍が膵臓外へ進展しているが、近くの大きな血管には達していない
    T4: 腫瘍が膵臓外の重要な血管(腹腔動脈や上腸間膜動脈など)に浸潤している
  2. N(Node): リンパ節転移N0: リンパ節に転移がない
    N1: 1〜3個の近くのリンパ節に転移がある
    N2: 4個以上の近くのリンパ節に転移がある
  3. M(Metastasis): 遠隔転移M0: 遠隔転移がない
    M1: 遠隔転移がある(肝臓、肺、腹膜などへの転移)

膵臓がんのステージ分類

膵臓がんは、TNM分類に基づいてステージ(病期)を分類します。

  • ステージIA:腫瘍が膵臓内にあり、2cm以下(T1)、リンパ節転移や遠隔転移がない(N0, M0)
  • ステージIB:腫瘍が膵臓内にあり、2cmを超える(T2)、リンパ節転移や遠隔転移がない(N0, M0)
  • ステージIIA:腫瘍が膵臓外に広がっているが、主要な血管に浸潤していない(T3)、リンパ節転移や遠隔転移がない(N0, M0)
  • ステージIIB:腫瘍が膵臓内または外に広がっているが、主要な血管には浸潤していない(T1-T3)、リンパ節転移があり(N1)、遠隔転移がない(M0)
  • ステージIII:腫瘍が膵臓外に広がり、主要な血管に浸潤している(T4)、リンパ節転移がある場合もない場合もある(N0-N2)、遠隔転移はない(M0)
  • ステージIV:遠隔転移がある(M1)。膵臓やその周囲の進展やリンパ節転移の有無に関わらず、がんが肝臓、肺、腹膜などの遠隔臓器に転移している。

治療選択におけるステージの影響

膵臓がんのステージ分類は治療法の選択に大きな影響を与えます。

  1. 切除可能(Resectable)なステージ(ステージIおよび一部のステージII):がんが膵臓内または近くに留まり、周囲の重要な血管に浸潤していない場合、外科的切除が可能です。手術後には化学療法や放射線療法が追加されることがあります。
  2. 境界切除可能(Borderline resectable)なステージ(一部のステージII):腫瘍が主要な血管に近いが、完全に切除可能な可能性がある場合には、手術前に化学療法や放射線療法が行われ、がんの縮小を試みます。
  3. 切除不可能な局所進行がん(Unresectable locally advanced)(ステージIII):腫瘍が主要な血管に広く浸潤しているため、手術で完全に切除できない場合、化学療法や放射線療法が中心となります。
  4. 遠隔転移がある場合(ステージIV):治療の目標は、主に延命や症状の緩和を目指すことです。化学療法が標準治療として行われますが、患者の状態に応じて免疫療法なども考慮されることがあります。

膵臓がんの特徴

膵臓がんは早期に症状が現れにくいため、多くの患者が進行してから診断されます。特にステージIVでは予後が厳しく、治療戦略も限られていますが、最近では治療の進展によりステージIVの膵臓がんでも生存期間が延長するケースも増えています。

膵臓がんの治療選択肢や予後は、がんのステージに加えて、患者の全身状態、がんのタイプ、遺伝子変異なども考慮して決定されます。

監修医師

矢﨑 雄一郎医師

免疫療法・研究開発

東海大学医学部を卒業後、消化器外科医として医療機関に従事したのち、東京大学医科学研究所で免疫療法(樹状細胞ワクチン療法)の開発に従事。現在はプレシジョンメディカルケア理事長として活躍中。専門分野は免疫療法及び消化器外科。著書『免疫力をあなどるな!』をはじめ、医学書の執筆も手がけ、医療知識の普及にも貢献。免疫療法の開発企業であるテラ株式会社の創業者。