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TOP コラム 免疫療法 転移性大腸がんに対する樹状細胞ワクチン療法+活性化リンパ球療法の複合免疫療法

免疫療法

投稿日:2024.10.17/更新日:2024.10.26

転移性大腸がんに対する樹状細胞ワクチン療法+活性化リンパ球療法の複合免疫療法

DC-CIK(PD1-T)細胞療法は、免疫細胞療法の一種で、樹状細胞(DC)と細胞傷害性T細胞(CIK)を組み合わせて使用します。樹状細胞は、腫瘍抗原を認識し、免疫系に指示を出す役割を果たし、CIKはがん細胞を直接攻撃する働きをします。患者の血液や腫瘍から得た細胞を体外で培養し、DCとCIKを作製した後、これらを混合して体内に戻すことで、患者の免疫反応を高め、がん細胞を効果的に排除することを目指しています。

DC-CIK(PD1-T)細胞療法と化学療法の組み合わせは、効果が期待されています。

『XELOX (capecitabine plus oxaliplatin) plus bevacizumab (anti-VEGF-A antibody) with or without adoptive cell immunotherapy in the treatment of patients with previously untreated metastatic colorectal cancer: a multicenter, open-label, randomized, controlled, phase 3 trial』
Signal Transduction and Targeted Therapy   03 April 2024

最近の第3相試験では、切除ができない転移性大腸がん(mCRC)の初期治療として、PD-1をブロックして活性化されたDC-CIK(PD1-T)細胞を、標準的な化学療法のXELOX(カペシタビン+オキサリプラチン)+ベバシズマブ(抗VEGF抗体)に追加することで、その効果を評価しました。

この試験には202名の患者が参加し、ランダムに以下の2つのグループに分けられました。

  1. 対照群(102名): 標準治療として、XELOX+ベバシズマブを21日ごとに最大6サイクル受け、その後カペシタビン+ベバシズマブの維持治療を行う。
  2. 免疫療法群(100名): 上記の標準治療に加えて、自家製のPD1-T細胞療法を組み合わせて実施。

試験結果

  • 無増悪生存期間(PFS): がんが進行しなかった期間の中央値は、免疫療法群で14.8ヶ月、対照群で9.9ヶ月でした。
  • 全生存期間(OS): 免疫療法群ではまだ中央値に到達していませんが、対照群では25.6ヶ月でした。
  • 副作用: 免疫療法群では20.0%の患者にグレード3以上の副作用がみられましたが、対照群では23.5%でした。重篤な副作用による死亡例は報告されていません。

この結果から、PD1-T細胞療法をXELOX+ベバシズマブに追加することで、未治療の転移性大腸がん患者の生存期間が有意に改善し、治療が安全であることが示されました。

プレシジョンクリニックグループ
岡崎能久

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