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TOP コラム 2024年11月の膵臓がん関連トピックス

投稿日:2024.11.30/更新日:2024.12.10

2024年11月の膵臓がん関連トピックス

 

2024年11月の膵臓がん関連トピックス

1. 膵臓がん診断の新たな選択肢:尿中マイクロRNA検査

慶應義塾大学医学部がんゲノム医療センターが発表した 尿中マイクロRNA検査は、膵臓がんの早期発見において大きなブレイクスルーをもたらす可能性があります。この新技術はAI解析を活用し、以下のようなメリットがあります。

  • 早期発見の精度向上: ステージI-IIの膵臓がん検出に有効。
  • 非侵襲的手法: 身体への負担が少ない尿検査でスクリーニング可能。
  • 腫瘍微小環境を反映: がん細胞およびその周辺環境の情報を提供。

従来の診断方法であるCTスキャンやMRIに比べ、この検査は患者の身体的負担を大幅に軽減します。また、がんの進行度を早期に把握することで、治療の選択肢が広がり、生存率向上に繋がると期待されています。

現在、この研究技術は他のがん種にも応用できるよう取り組んでおり、今後数年以内に臨床試験が進展する見込みです。

詳細は、医学誌 eClinicalMedicine に掲載されています。

2. 世界膵臓がんデー:啓発活動の広がり

毎年11月21日に開催される 世界膵臓がんデーでは、膵臓がんの早期発見と治療の重要性を訴える啓発キャンペーンが行われています。2024年は以下の活動が実施されました。

  • 統計的背景: 膵臓がんは主要ながん死亡原因の第3位となっていること。
  • 膵臓がんデーの新たな試み: 多言語で展開された「Hello Pancreas」キャンペーンがSNSを通じて広まり、特に若い世代への啓発効果が高まりました。

キャンペーンの詳細については公式サイトをご覧ください。

3. 分子標的薬と免疫療法の進展

膵臓がんに対して、分子標的薬や免疫療法の併用による新たな治療アプローチが注目されています。この度の報告では、当グループの関連技術でもある、東京慈恵会医科大学と東京ミッドタウン先端医療研究所の共同研究では、切除不能膵がん患者において以下の成果が報告されています。

  • 奏効率: 70%以上の患者で腫瘍縮小を確認。
  • 病勢制御率: 100%に達し、進行の抑制が実現。

なお、本技術の詳細な研究データについては、Journal for ImmunoTherapy of Cancer をご参照ください。

4. 著名人の死因としての膵臓がん

アメリカ合衆国のジャズ・ミュージシャンであり、マイケル・ジャクソンとの共同プロデュースで知られている、著明音楽プロデューサーであるクインシー・ジョーンズ氏が膵臓がんで亡くなったことが報じられ、多くの人々が膵臓がんへの認識を深める契機となりました。このような報道は、がん検診の重要性を訴えるうえで大きな影響力を持っています。

5. 最新研究が示す治療の光

重粒子線治療(CIRT)をはじめとする先端技術が膵臓がん治療における新たな可能性を示しています。肺癌を含むCIRT治療例を対象とした多施設共同試験であるJ-CROS試験の結果が、第62回日本癌治療学会学術集会にて群馬大学の久保亘輝先生から報告されています。
J-CROS試験は、日本でCIRTを実施している7施設において、CIRTの有効性と安全性を検証するために2016年から先進医療Bとして行われている多施設共同試験。肺癌、膵臓癌、直腸癌、前立腺癌、肝臓癌を対象となっています。

「膵臓がん治療にブレイクスルーを」

11月の膵臓がん関連トピックスでは、膵臓がんに関連する最新の診断技術や治療法の進展、啓発活動について紹介しました。
ブレイクスルーとは、本質的かつ革新的な解決策で問題を突破すること。
当グループでは、今まさに膵臓がん治療でお悩みの患者さまに革新的な医療技術・サービスをご提案してまいります。
膵臓がんの患者様は気兼ねなくご相談ください。

監修医師

矢﨑 雄一郎医師

免疫療法・研究開発

東海大学医学部を卒業後、消化器外科医として医療機関に従事したのち、東京大学医科学研究所で免疫療法(樹状細胞ワクチン療法)の開発に従事。現在はプレシジョンメディカルケア理事長として活躍中。専門分野は免疫療法及び消化器外科。著書『免疫力をあなどるな!』をはじめ、医学書の執筆も手がけ、医療知識の普及にも貢献。免疫療法の開発企業であるテラ株式会社の創業者。