投稿日:2023.7.5/更新日:2026.9.22
この記事でわかること
ガン予防にはさまざまな方法がありますが、日常生活の中で最も簡単に行えるのが、日光浴です。日光を浴びることで、体内で生成されるビタミンDがガン予防に効果的であるとされています。日本人の約8割はビタミンD不足と言われており、食事で摂取したり日光浴を取り入れたりすることがおすすめです。本記事では、日光浴のメリットやポイントについて詳しく解説します。
日光浴には多くのメリットがあります。冒頭でご紹介したように体内でビタミンDが生成されるほか、精神的な安定にもつながるため、どんな方にもおすすめの健康法です。ここでは、日光浴のメリットについて詳しくご紹介します。
日光浴には、気持ちを安定させる「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの分泌を増やす効果があります。朝の光を浴びると、脳内のセロトニンが増えることでストレスが軽減され、気分が明るくなります。また、気持ちが前向きになりやすいため、心の健康を保つ効果も。リモートワークなどで室内にこもりがちな方は、外に出る時間をつくって、日光を浴びるように意識しましょう。
日光浴をすることで睡眠の質が向上します。日中にしっかりと日光を浴びることで、夜に分泌される「睡眠ホルモン」と呼ばれるメラトニンの分泌量が増加します。
また、朝に日光を浴びると体内時計がリセットされ、夜になると自然に眠りにつきやすくなります。普段の生活に日光浴を取り入れ、自然な睡眠リズムを整えましょう。
日光浴には、体内でビタミンDを生成する効果があります。日本人の約8割がビタミンD不足で、4割は欠乏状態と言われています。ビタミンDは骨の健康を保つだけでなく、免疫力を高め、ガンの予防にも効果が期待できます。ビタミンDを補充した試験をまとめた解析では、がんによる死亡率が約13%低かったと報告されています(発症率は変わっていません。詳しくは後述します)。
もちろん、食事からビタミンDを摂取することも可能です。
日光浴に加え、次の食材を食事に取り入れてビタミンD不足を防ぎましょう。
【ビタミンDを含む食材】
日光浴はガン予防におすすめの方法ですが、紫外線による肌ダメージや日焼けのリスクが高まることがあるため、正しい方法で行うことが重要です。ここでは、正しく日光浴を楽しむためのポイントをご紹介します。
日光を長時間浴び続ける行為は避けましょう。長時間行うと、紫外線による肌のダメージや日焼けのリスクが高くなります。夏の強い日差しの中では、短時間でも十分なビタミンDを生成できます。一般的には1日15〜30分ほどの短時間で十分です。ビタミンDを効率よく摂取しながら、紫外線のリスクを減らしましょう。
日光浴をするなら、日陰よりも日向で行うのがおすすめです。UV-Bはガラスを通過しないため、屋内や日陰では十分なビタミンDを生成できません。外に出て直接日光を浴びることで、ビタミンDを生成できます。おすすめは、朝や夕方の日差しが落ち着いている時間帯です。この時間帯は紫外線の影響が少なく、効果的に日光浴を楽しめる時間です。
日光浴をする際は、日焼け対策を行いましょう。肌が敏感な方や紫外線が強い時期には、日焼け止めをしっかり塗ることが重要です。
可能なら、SPF30以上の日焼け止めを選び、こまめに塗り直しましょう。帽子やサングラスを着用するだ
「日光浴でがんが予防できる」と言い切れるほどの証拠は、まだありません。整理すると次のとおりです。
わかっていること。血中のビタミンD濃度が高い人ほど、大腸がんなど一部のがんの発症率や死亡率が低い傾向は、多くの観察研究で繰り返し報告されています。また、ビタミンDを補充した複数の無作為化試験をまとめた解析では、がんの発症率は変わらなかった一方、がんによる死亡率は補充群で約13%低いという結果が出ています。
わかっていないこと。観察研究の「濃度が高い人はがんが少ない」は、屋外で体を動かす習慣や食生活など、別の要因の影響を受けます。ビタミンDそのものががんを防いだのか、健康的な生活の目印にすぎないのかは、まだ切り分けられていません。2万人規模の米国の試験(VITAL試験)でも、ビタミンD補充によるがん発症率の低下は示されませんでした。
したがって現時点の妥当な結論は、「不足を避けることには意味があるが、がん予防の切り札ではない」です。日光浴は費用がかからず、睡眠や気分にも効くので、不足を避ける手段として取り入れる。そのうえで、がんの予防や再発予防は検診や治療と切り離さずに考える。この順番が大切です。
がんの治療を受けている方は、次の3点を主治医に確認してから始めてください。
①光線過敏。一部の抗がん剤(5-FU系、メトトレキサート等)や分子標的薬、抗生物質は、紫外線で皮膚炎を起こしやすくします。治療中は「朝夕の短時間・日焼け止め」を徹底し、赤みや痛みが出たら中止します。
②皮膚の病変。皮膚転移や放射線治療の照射部位は、直射日光を避けます。
③サプリメントの量。ビタミンDは脂溶性で体にたまります。高用量のサプリを自己判断で続けると、高カルシウム血症を起こすことがあります。血液検査で不足の有無を確かめてから、量を決めるのが安全です。
当院では、免疫療法や抗がん剤と並行して、食事や栄養状態を整える栄養療法を治療の一部として扱っています。膵臓がんの方の食事については膵臓がんの食事療法で詳しく解説しています。
当院の実例
膵臓がん術後の多発肺転移に、抗がん剤と免疫療法・栄養療法を組み合わせ、2年間の進行停止を維持している77歳男性
2018年に膵臓がんの手術を受け、経過観察中の2021年に生検で肺転移と診断された方です。当院へ転院し、抗がん剤(ジェムザール・アブラキサンを半量)に、樹状細胞ワクチン療法と免疫チェックポイント阻害薬(オプジーボ)、そして栄養療法を組み合わせました。肺転移は縮小したのち進行停止を維持し、腫瘍マーカーCA19-9は79をピークに40前後で推移しています。副作用はなく、治療開始から2年間、日常生活に支障なくゴルフを楽しまれています。
※個別の症例であり、治療効果には個人差があります。栄養療法は治療の一部であり、単独でがんの進行を止めるものではありません。
日光浴やビタミンDは「体を整える」側の対策です。治療後の方には、もう一つ「見張る」側の対策があります。血液中に流れているがん由来のDNA(ctDNA)を測る検査で、画像には写らない微小な残存病変(MRD:微小残存病変)を捉えようとするものです。手術や抗がん剤のあとにctDNAが検出される方は、検出されない方より再発の可能性が高いことが、大腸がん・肺がん・乳がんなどで報告されています。
当院では、血液だけでctDNAを調べる検査(ガーダント リビール。肺がん・乳がん・大腸がんが対象)を扱っており、再発をCTやMRIより早く捉えることと、治療の効き目を遺伝子レベルで確かめることに使っています(検査の料金と対象)。注意点は2つです。陰性でも「がんが完全にない」とは言えないこと、そして保険適用外であることです。体づくりと見張りを両輪にして、再発予防を「何となく」ではなく数字で設計する。これが当院の考え方です。
夏は15分前後、冬は30分前後が目安です。顔と腕を出して、朝か夕方の穏やかな日差しを浴びれば十分で、真夏の正午前後は避けます。長く浴びても作られるビタミンDは頭打ちになり、紫外線による皮膚の負担だけが増えます。
現在の証拠では「予防できる」とは言えません。大規模な試験では、ビタミンDの補充でがんの発症率は下がりませんでした。がんによる死亡率が約13%低かったという解析はありますが、不足している方を補う意味はあっても、切り札ではありません。量は血液検査で不足を確かめてから決めてください。
薬によっては紫外線で皮膚炎を起こしやすくなります(光線過敏)。5-FU系の抗がん剤や一部の分子標的薬、抗生物質が該当します。治療中は主治医に確認したうえで、朝夕の短時間にとどめ、日焼け止めと帽子を使ってください。皮膚転移や放射線の照射部位には直射日光を当てないでください。
けでもある程度の紫外線からは肌を守ることができます。
監修医師
岡崎 能久医師
内視鏡診断/治療・研究開発
大阪大学医学部を卒業後、同大学院の修士課程を終了したのち、関西地方を中心に医療に従事、現在はプレシジョンクリニック名古屋院長として活躍中。専門は内視鏡診断および治療・研究開発。日本内科学会認定医や日本消化器病学会専門医、日本医師会認定産業医などの認定医を保有。