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TOP 用語集 オニバイド(Onivyde)

2024.10.28

オニバイド(Onivyde)

オニバイド(Onivyde)は、イリノテカン リポソーム注射液のブランド名で、膵臓癌の治療に用いられる抗がん剤です。特に、ジェムシタビン治療後の進行膵臓癌の治療に適応され、他の化学療法と組み合わせて使用されることが一般的です。従来のイリノテカンと異なり、リポソーム化することで腫瘍部位への薬剤到達性を高め、血中での安定性を向上させ、副作用を軽減する効果が期待されています。

オニバイドの特徴

  • リポソーム製剤:リポソーム(脂質二重層の小さな袋)で薬剤を包むことで、薬が標的部位に到達するまで分解されにくく、腫瘍部位で徐々に放出されるため、従来のイリノテカンに比べて副作用が少ないとされています。
  • 作用機序:イリノテカンはDNAトポイソメラーゼI阻害薬で、がん細胞のDNA複製を妨げることで細胞の分裂を抑制し、がん細胞の増殖を阻止します。

適応症と使用方法

オニバイドは、進行した膵臓癌に対してフルオロウラシル(5-FU)およびロイコボリンとの併用で使用されます。特に、ジェムシタビンによる治療が無効であった場合の次の治療選択肢として用いられます。

副作用

代表的な副作用としては、下痢、白血球減少、悪心、嘔吐、疲労感などが挙げられます。また、リポソーム製剤であっても骨髄抑制や消化器系の副作用が発生するため、使用には十分な管理が必要です。

オニバイドは、膵臓癌の予後改善を目的とした治療オプションの一つであり、リポソーム化によって効果と安全性のバランスが調整されています。

NAPOLI-1試験の概要と結果

オニバイドはジェムシタビン無効例に対して治療効果が確認されており、特に進行膵臓癌に対する治療効果が示されています。代表的な臨床試験として、NAPOLI-1試験が行われ、この試験によりオニバイドの効果と安全性が確認されました。

ジェムシタビン治療後に進行が見られた膵臓癌患者を対象にした第3相試験であり、次の3つの群で比較が行われました:

  1. オニバイド単剤投与群
  2. オニバイド+5-FU/ロイコボリン併用群
  3. 5-FU/ロイコボリンのみの群

試験結果

  • 全生存期間(OS): オニバイド+5-FU/ロイコボリン併用群の全生存期間中央値は 6.1か月 で、5-FU/ロイコボリンのみの群の 4.2か月 に比べ、有意な延長が認められました。
  • 無増悪生存期間(PFS): 併用群では 3.1か月 であり、5-FU/ロイコボリンのみの群の 1.5か月 よりも長く、生存期間と無増悪期間の両方において有意な改善が見られました。

これにより、オニバイド+5-FU/ロイコボリンの併用療法がジェムシタビン無効例において治療効果があると判断され、標準的な治療選択肢として認識されています。

治療効果の臨床的意義

オニバイドの併用療法は、進行膵臓癌の予後改善において意味のある成果をもたらしており、ジェムシタビン無効例に対する新たな治療オプションとして期待されています。しかし、生存期間延長はわずか数か月であり、依然として膵臓癌治療の困難さが示されています。そのため、他の新しい治療法や併用療法の研究が進められている現状です。

このように、NAPOLI-1試験の結果を通じてオニバイドの併用療法が効果的であることが確認されています。