2024.4.12
正常細胞と比較して、がん細胞に特に多く存在するタンパク質由来のペプチドを「がん抗原ペプチド」と表現しています。このがん抗原ペプチドを利用したワクチン療法が、「ペプチドワクチン療法」です。
ペプチドワクチン療法は、がんペプチド(8~10アミノ酸が連結した小さいペプチド)にアジュバントと呼ばれる物質を混ぜて注射することによって、がん患者さま自身のもっている免疫の力を高めてがんを治療することを目的として開発されたものです。がん細胞内では、がん関連遺伝子から作られるがん抗原(タンパク質)が絶えず合成されたり、分解されたりしています。この分解されてできた断片は、がん細胞に由来する特有のペプチド(がん抗原ペプチド)ということになります。
これと同様に、がん細胞やがんタンパク質を樹状細胞が取り込み、細胞内で分解した場合も、樹状細胞の膜表面にがん抗原ペプチドが提示されます。その情報を受け取った細胞傷害性T細胞(キラーT細胞)ががん細胞を排除するようになります。