2024.4.12
陽子線治療は、がんの部分だけ(ピンポイント)に照射してがん細胞を攻撃するので、正常組織を傷めない、粒子線治療に含まれる放射線治療の一種です。
これまでのX線治療では、病巣に向けて照射されたX線は、体の表面近くで放射線量が最も高く、体の深くにあるがん病巣に近づくにつれて、その量は減少していきます。そのために、がん細胞への効果は薄くなり、しかも周辺の正常組織を傷めるために副作用を起こすことになります。陽子線の場合、X線と比べて、ターゲットへより正確にエネルギーを運ぶことができるという優れた特徴があります。
陽子線は、エックス線よりも集中してあてることができますが、さらにピンポイントでがんの病巣にあてる技術が進めば、強い破壊力でまさに標的を狙い打ちできるようになります。
粒子線治療の大きな問題として、装置が大掛かりで、建設に莫大なコストがかかることが挙げられます。重粒子線の治療施設建設には約130億円、陽子線の場合は70~80億円がかかります。ただ、陽子線治療装置に関しては、リニアックよりも一回り大きい程度のものが米国で開発されつつあり、小型化すれば普及が見込まれるのではないかと考えられます。