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TOP 用語集 オラパリブ(商品名:リムパーザ)

2024.10.28

オラパリブ(商品名:リムパーザ)

オラパリブ(リムパーザ)は、特にBRCA1およびBRCA2遺伝子変異を持つがん患者に対して効果を発揮するPARP阻害剤です。主に乳がん、卵巣がん、前立腺がん、膵臓がんなどの治療に使用されます。この薬が効果を発揮する遺伝子変異とそのメカニズムは次のように説明されます。

効果を発揮する遺伝子変異

オラパリブは、DNA修復に重要な役割を果たすBRCA1、BRCA2、およびCHEK2などの遺伝子に変異を持つ腫瘍細胞に対して効果的です。これらの遺伝子は、DNAの二本鎖切断を修復する相同組換え修復(HRR)と呼ばれるメカニズムに関与しています。特にBRCA1とBRCA2に変異があると、がん細胞はこの修復経路がうまく機能せず、DNAの損傷を適切に修復できなくなります。また、CHEK2の変異もHRRの機能を損ない、がん細胞のDNA修復能力が低下します。

オラパリブの作用メカニズム

オラパリブは、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)という酵素を阻害します。PARPは、DNAの一本鎖切断を修復する役割を持っており、通常の細胞ではPARPが働くことで一本鎖損傷が修復されます。しかし、BRCA1/2やCHEK2に変異があるがん細胞では、**相同組換え修復(HRR)**が機能しないため、PARPによる修復が唯一のDNA修復手段となります。

オラパリブはPARPを阻害することで、この修復経路を妨げ、DNAの損傷が修復されないまま蓄積していきます。その結果、がん細胞は致命的なDNA損傷を受け、最終的に細胞死(アポトーシス)に至ります。このプロセスを**「合成致死性」**(synthetic lethality)と呼び、HRRの欠陥を持つ腫瘍細胞は、PARP阻害によって選択的に死滅します。

まとめ

オラパリブは、BRCA1、BRCA2、およびCHEK2に変異を持つがん患者において、DNA修復の主要な経路である相同組換え修復が損なわれているため、PARP阻害剤によるDNA損傷修復のさらなる阻害ががん細胞の死を引き起こします。このメカニズムにより、選択的にがん細胞を死滅させる効果を発揮します。