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TOP 用語集 ビロイ(一般名:ゾルベツキシマブ)

2024.10.27

ビロイ(一般名:ゾルベツキシマブ)

ビロイ(Zolbetuximabゾルベツキシマブ)は、CLDN18.2(Claudin 18.2)を標的としたモノクローナル抗体で、特にCLDN18.2が異常発現している胃がんや膵臓がんなどの消化器系がんに対して高い効果が期待されています。Zolbetuximabは、CLDN18.2を発現するがん細胞に結合し、免疫系を介してがん細胞を破壊します。

以下は、ビロイとCLDN18.2に関連する重要なポイントです。

  1. CLDN18.2の選択的標的: Zolbetuximabは、CLDN18.2を発現するがん細胞の表面に選択的に結合します。CLDN18.2は、正常な組織では主に胃に限られた発現を示しますが、がん細胞では異常な発現が見られることがあり、この特性を利用してがん治療に応用されています。

  2. がん細胞死のメカニズム: ビロイは、CLDN18.2に結合することにより、**抗体依存性細胞傷害(ADCC)と補体依存性細胞傷害(CDC)**という2つの異なる免疫系経路を活性化します。これにより、免疫系のエフェクター細胞や補体系が活性化され、がん細胞が破壊されます。具体的には、ADCCでは免疫細胞がビロイに結合したがん細胞を認識して殺傷し、CDCでは補体系ががん細胞に対する攻撃を引き起こします。この2つの経路の働きが相乗効果を発揮し、がん細胞死が誘導されます。

  3. 抗体依存性細胞傷害(ADCC): ビロイががん細胞に結合すると、NK細胞やマクロファージなどのエフェクター細胞がビロイを介してがん細胞を認識し、がん細胞を殺傷します。このプロセスは、がん細胞表面に結合した抗体を目印として免疫系が攻撃を行うメカニズムです。

  4. 補体依存性細胞傷害(CDC): また、ビロイは補体系も活性化し、補体タンパク質ががん細胞膜に形成された抗体に結合することで細胞膜を破壊し、がん細胞を死に至らせます。このプロセスは、補体系による攻撃を通じてがん細胞を破壊します。

  5. 臨床試験と治療の展開: ビロイは、進行性胃がんや膵臓がんに対する臨床試験が進行中で、CLDN18.2の発現が確認された患者に対して効果が示されています。個別化治療として、CLDN18.2陽性がん患者に対する有効な治療選択肢となることが期待されています。

  6. 併用療法の可能性: ビロイは、他のがん治療法、例えば化学療法や免疫療法との併用も検討されており、これらの治療法と併用することで、さらに高い治療効果が期待されています。

まとめ:
ビロイは、CLDN18.2を発現するがん細胞に選択的に作用し、抗体依存性細胞傷害(ADCC)および補体依存性細胞傷害(CDC)の両方のメカニズムを介してがん細胞死を誘導します。特に胃がんや膵臓がんなど、CLDN18.2が高発現するがんに対して有望な治療法であり、今後の臨床応用が期待されています。また、化学療法や免疫療法との併用によるさらなる治療効果の向上が期待されています。