用語集 DICTIONARY

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抗がん剤の副作用

『抗がん剤』とは
がんに対する薬物療法で使われる代表的なものが「抗がん剤」です。従来から使われている殺細胞性抗がん剤と分子標的薬を合わせて「化学療法」といいます。

殺細胞性の抗がん剤は、細胞の核内でDNA合成や細胞増殖にかかわる分子に作用し、細胞の分裂や増殖を阻害することで効果を発揮します。しかしながら、活発に増殖、分裂する正常細胞に対しても毒性を示すことから、副作用などによる患者さまへの身体的負担も高いものでした。一方、分子標的薬の殺細胞性抗がん剤との大きな違いは作用の仕方です。分子標的薬は、がん細胞の増殖に関与する増殖因子や、増殖因子の受容体、細胞内シグナル伝達物質など、固有の標的分子に対して特異的に作用します。そのため、正常細胞への影響が小さく副作用の軽減が期待される薬剤です。この分子標的薬により治療成績も向上するたくさんの報告があり、安全性だけでなく有効性の面でもがん治療に大きく貢献しています。

薬物療法には他にも増殖がホルモンに依存するがん種に対しては、ホルモン剤による治療法(ホルモン療法)、また免疫療法として免疫チェックポイント阻害剤もあります。

抗がん剤は100以上もの種類があります。投与方法は経口(飲み薬)、点滴、注射など薬によってさまざまあり、投与量や機関もそれぞれ異なってきます。近年は分子標的薬をはじめとする新薬の開発も進み、2剤以上を組み合わせて投与する薬物併用療法が盛んになっています。

抗がん剤は、体内に投与されると血液にのって全身をめぐり、あちらこちらにあるがん細胞を攻撃します(抗がん剤を病巣に直接投与し、局所に効かせるような治療法もあります)。白血病や悪性リンパ腫など、いくつかのがんは抗がん剤がたいへんよく効き、治癒にまで持ち込むことが可能です。しかし、ほとんどのがんに対しては、活発に増殖しようとするがん細胞の勢いを止める作用はあるものの完全にがん細胞を殺すところまでは難しいと考えられています。

抗がん剤治療は、基本的にがんを縮小させ、病気の進行を遅らせることで延命したりがんによる痛みなどの症状を緩和したりすることが目的となります。

抗がん剤の副作用
抗がん剤は、がん細胞だけでなく正常な細胞にもダメージを与えるので、多かれ少なかれ副作用を伴います。
もちろん副作用の内容や程度には個人差があり「副作用があると言われてびくびくしていたが、思っていたほどではなかった」という人もいれば、途中で休んだり、量を減らしたりしないと耐えられない人もいます。

主な抗がん剤の副作用には、脱毛や吐き気、しびれなどがありますが、こうした自覚症状だけではありません。白血球が減少するなど、自覚はないものの体の内部にも副作用が生じます。おもな免疫機能を担っている白血球が少なくなると、感染症にかかりやすくなるなど、いわゆる「抵抗力」が落ちてしまうと考えられます。
近年は副作用を緩和する薬も進歩しており、以前より抗がん剤によるつらい吐き気や悪心をコントロールできるようになっています。
当クリニックが提供する「樹状細胞ワクチン療法」は患者さまご自身の細胞を使用し、がん細胞を「狙い撃つ」がん治療です。そのため、この治療法は、正常細胞に対する影響が少なく、副作用はほとんど観察されません。