用語集 DICTIONARY

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丸山ワクチン

丸山ワクチンは、1944年に結核の治療薬として誕生しました。 このワクチンの名前は、発明者である故丸山博士(日本医科大学名誉教授)に由来します。 主成分は、結核菌から抽出したリポアラビノマンナンという多糖の一種です。

丸山ワクチンは、BRM療法という免疫療法の一種として用られます。 がん治療において、BRM療法は、体内の免疫を全体的に活性化して、 抗がん作用を期待する非特異的免疫療法に分類されます。 BRM療法には、丸山ワクチンの他、細菌から調製したOK-432(商品名ピシバニール)、 シイタケから抽出した多糖類であるレンチナン、同じくキノコであるサルノコシカケから抽出した クレスチンなどが使用されています。

丸山ワクチンは、抗がん剤としての承認を受けていません。 有効性の確認をするために、費用を患者様に負担していただく治験として、 丸山ワクチンは、引き続き行われています。 しかし、放射線療法によって白血球が減少した場合の治療薬として 1991年に承認された「アンサー20(有効成分:Z-100)」は、丸山ワクチンと同成分です。 体内において、有効成分であるZ-100が、血液細胞の幹細胞に作用する成分の産生を促進します。 その結果、放射線により障害を受けた血液細胞の分裂が活発化されて、 白血球の減少が抑制されます。

丸山ワクチンは、体内の免疫システムを調節することによって、間接的にがん細胞の浸潤、転移などを阻害します。すなわち、Tリンパ球やマクロファージ、NK細胞(リンパ球の一種で直接がん細胞を攻撃する細胞)など、主に自然免疫にかかわる免疫細胞が活性化され、様々なサイトカイン(生理活性物質、例えばインターフェロンやインターロイキン)産生が促進されることによって、がん細胞における生存環境が悪化し、がん細胞はその数を減らしていきます。