がんの病期分類(ステージ分類)は、がんの進行度を評価し、治療方針や予後の見通しを立てるために重要な指標です。一般的には、TNM分類が広く用いられています。これは、原発腫瘍の大きさと広がり(T)、リンパ節への転移の有無(N)、および遠隔転移の有無(M)を基にした分類法です。以下は、各ステージの概要です。
TNM分類
- T(Tumor): 原発腫瘍の大きさや浸潤の程度
T0: 原発腫瘍が存在しない
T1-T4: 腫瘍の大きさや浸潤度に応じて進行度を示す
- N(Node): リンパ節転移の有無とその範囲
N0: リンパ節転移がない
N1-N3: 転移しているリンパ節の数や範囲に応じて進行度を示す
- M(Metastasis): 遠隔転移の有無
M0: 遠隔転移がない
M1: 遠隔転移がある
病期(Stage)
TNM分類をもとに、ステージは以下のように分類されます。
- ステージ0: 早期のがん(上皮内がん)で、がん細胞がまだ粘膜内にとどまっている状態。
- ステージI: 小さな腫瘍であり、リンパ節や他の臓器への転移がない状態。
- ステージII: 腫瘍がやや大きくなり、隣接する組織やリンパ節に転移がある可能性があるが、遠隔転移はない。
- ステージIII: 腫瘍がさらに大きくなり、近くのリンパ節に転移している可能性が高いが、遠隔転移はない。
- ステージIV: 遠隔転移が確認されている状態で、がんが他の臓器に広がっている。
ステージ分類の目的
- 治療計画の立案: 早期ステージでは手術や放射線療法が中心となり、進行したステージでは化学療法や免疫療法、放射線治療の組み合わせが考慮されることが多いです。
- 予後の予測: 一般的にステージが進むほど予後は厳しくなりますが、治療の進歩によりステージIVでも治療可能な場合があります。
病期分類はがんの種類によって異なる場合もあり、たとえば白血病や脳腫瘍では異なる分類法が使用されます。