症例16)膵臓がんステージ4、当グループが目指す(理想とする)膵臓がん治療プランと経過

【診断】
膵臓がん 多発肺・肝転移 50代 男性

【経過】
2023年5月頃より胃のあたりに刺すような痛みと違和感、その後お腹全体に痛みが広がり、治まらないため病院へ受診。精密検査を行ったところ膵臓がんのステージ4(多発肺転移・肝転移)であることがわかりました。

手術はすでにできない状態であったため、すぐに抗がん剤を開始。主治医からは未治療であれば余命2ヵ月と宣告を受けたため、息子さまが当院の膵臓がん治療を探し、受診することになりました。

初診時、体調は身の回りのことがある程度できるくらいで、1日の半分以上は寝ている状態、食欲は10%にまで落ちていました。実際、最初は当院のエレベーターを上がるのも大変で、ビルの一階に座り込んでしまうくらい体力が落ちていました。当院の治療は、抗がん剤に1ヶ月遅れてプレシジョン免疫療法を開始しました。

初診時の状態:
体調:身のまわりのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす状態。
食欲:10%
腫瘍マーカー:CEA(8.4↑(正常値:5以下))、CA19-9(1410↑(正常値:37以下))

治療内容:
①抗がん剤フォルフィリノックス(FOLFILINOX):6月開始
②プレシジョン免疫療法
・NK細胞療法:7月開始
(肝転移、肺転移対策、樹状細胞ワクチン療法開始までの免疫向上策)
・樹状細胞ワクチン療法:9月開始
(がんと戦える体内の免疫細胞づくり)
・免疫チェックポイント阻害剤:10月開始
(がんによる免疫抑制状態を解除する)
③陽子線治療:10月開始
(抗がん剤、樹状細胞ワクチン療法、免疫チェックポイント阻害薬の同時併用による、さらなる免疫向上策)
④温熱療法:6月開始
⑤栄養療法
・低糖質高タンパク質食:6月開始(自己管理)
・高濃度ビタミンC療法:6月開始(免疫細胞強化、炎症抑制)
・その他

上記治療を開始後、1ヶ月単位で体調・食欲は改善。陽子線治療前に1400から700で推移していた腫瘍マーカーは、陽子線治療後速やかに下がりはじめ、正常値にまで改善しました。患者さまの体調がご病気前にまで戻ったという実感は、陽子線治療後からとのことでした。

現在(診断から9カ月後)の状態:
体調:発症前と同じ日常生活ができるようになった。
食欲:100%
腫瘍マーカー:CEA(2.3)、CA19-9(35)それぞれ正常化

画像:肺転移、肝転移の消失、原発の著明な縮小
【現在の治療】
①抗がん剤:ジェムザール単独
②プレシジョン免疫療法
 樹状細胞ワクチン療法単独
③温熱療法療法
④栄養療法:同上

【今後(再発時)の対策】
遺伝子変異に基づいた分子標的薬治療:再発時に実施予定
※当院にて初診時遺伝子パネル検査を実施済み

【費用】
①遺伝子パネル検査(約60万円)
②樹状細胞ワクチン療法(約280万円/セット(7回))
③免疫チェックポイント阻害剤(約25万円/回)
④陽子線治療(連携医療機関にて実施)
⑤温熱療法(他院で実施)
⑥栄養療法(約3万円/回)
※費用は患者さまの治療計画によって異なります。詳しくはご相談ください。

プレシジョンクリニックグループ
医師 矢﨑