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卵巣がんステージ4、治療困難な腹膜播種が消失した43歳女性の症例

This Article Covers

この記事でわかること

  • 卵巣がんの腹膜播種とは何か(原因・特徴)
  • 腹膜播種の症状・診断・治療方法
  • バイオマーカー別の治療選択(BRCA・HER2・MSI)
  • よくある質問(FAQ)
  • 当院の改善症例:骨盤から横隔膜まで広範囲の腹膜播種が消失した43歳女性の症例(1年4か月後も再発なし)

卵巣がんの腹膜播種・腹水でお困りの方へ

広範囲の腹膜播種でも、バイオマーカーに基づく治療選択や免疫療法の組み合わせで改善が得られた症例があります。これまでの治療歴・画像・遺伝子検査結果をもとに、次に確認すべき選択肢をご提案します。

卵巣がんは婦人科がんのなかでも予後が厳しいがん種のひとつです。進行すると腹膜播種(腹膜転移)を来しやすく、腹水・腹部膨満・食欲不振などの症状が現れます。本記事では卵巣がん腹膜播種の特徴・治療・最新レジメンを解説し、骨盤から横隔膜まで広範囲の腹膜播種が消失した43歳女性の症例をご紹介します。

卵巣がんの腹膜播種とは

腹膜播種とは、がん細胞が腹腔内に散らばり腹膜に定着・増殖した状態です。卵巣がんは解剖学的に腹腔内に位置するため、がん細胞が腹腔内に脱落しやすく、腹膜播種を来しやすいがん種として知られています。診断時点ですでにステージⅢ〜Ⅳ(腹膜播種あり)と診断されるケースも多くあります。

卵巣がん腹膜播種の症状

初期は無症状のことも多く、進行するにつれて腹水・腹部膨満・食欲不振・体重減少・腹痛などが現れます。腹水が増えると腹部が大きく張り、呼吸苦を来すこともあります。

なぜ卵巣がんは腹膜播種を来しやすいのか

卵巣は腹腔内に位置するため、がんが進行すると腫瘍細胞が腹水中に遊離し、腹膜各所に付着・増殖します。大網(胃・腸を覆う脂肪組織)や横隔膜下面にも播種が及ぶことがあり、本症例のように骨盤から横隔膜まで広範囲に腹膜播種が確認される場合もあります。

卵巣がん腹膜播種の診断

CT・MRIによる画像診断が基本です。腹腔鏡検査でPCI(腹膜播種指数)を直接評価することで、手術適応の判断に役立ちます。CA125・HE4などの腫瘍マーカーの推移も経過観察に利用されます。BRCA1/2変異の有無は治療方針(PARP阻害薬の適応)に直結するため、遺伝子検査が重要です。

卵巣がん腹膜播種の治療

治療方針は腹膜播種の広がり・全身状態・バイオマーカー(BRCA変異・HER2・MSI)によって異なります。手術(腫瘍減量術)+化学療法が標準ですが、播種が広範囲の場合や再発例では薬物療法が中心となります。

腫瘍減量術(Debulking Surgery)

卵巣・卵管・子宮・大網などを切除し、腫瘍を可能な限り取り切ることを目指します。残存腫瘍が少ないほど(理想はCC-0)予後が良好とされています。術後に化学療法を行うのが標準的な流れです。

化学療法(バイオマーカー別レジメン)

1次治療の代表例

標準レジメン

パクリタキセル+カルボプラチン(TC療法)が代表的な1次治療です。ベバシズマブ(抗VEGF)を追加することで無増悪生存期間の延長が期待される場合があります(GOG-0218試験など)。

BRCA変異あり

BRCA1/2変異陽性の場合、化学療法後の維持療法としてオラパリブ(PARP阻害薬)が選択肢になります(SOLO-1試験)。HRD(相同組換え修復欠損)陽性でもニラパリブ等が検討されます。

再発・2次治療以降の代表例

プラチナ感受性再発

カルボプラチン再投与+ゲムシタビンまたはリポソーマルドキソルビシンが選択肢。BRCA変異陽性ではPARP阻害薬の継続・再投与も検討されます。

プラチナ抵抗性再発

リポソーマルドキソルビシン・ゲムシタビン・パクリタキセル週1回投与などが選択肢です。ベバシズマブとの併用が検討されることもあります。

MSI-High / HER2陽性

卵巣がんでの頻度は限られますが、MSI-High例では免疫チェックポイント阻害薬が、HER2陽性例では抗HER2療法が選択肢になる場合があります。

よくある質問(FAQ)

Q. 卵巣がんの腹膜播種とはどういう状態ですか?

卵巣がんのがん細胞が腹腔内に散らばり、腹膜に定着・増殖した状態です。腹水・腹部膨満・食欲不振などの症状が現れます。診断時にすでに腹膜播種を伴うケースも多くあります。

Q. 卵巣がん腹膜播種の生存率はどのくらいですか?

腹膜播種を伴う卵巣がん(ステージⅣ)の5年生存率は30〜40%前後とされることが多いですが、治療法の進歩や個人差により経過は異なります。

Q. 卵巣がんの腹膜播種に免疫療法は効きますか?

樹状細胞ワクチン療法との組み合わせで腹膜播種が消失した症例も報告されています。ただし効果には個人差があり、すべての方に同様の結果が得られるわけではありません。

Q. 卵巣がんの腹膜播種でも相談できますか?

相談可能です。BRCA変異・HER2・MSI状態などのバイオマーカーに応じた治療選択や免疫療法の併用を個別に検討します。腹膜播種治療相談外来でご相談いただけます。

Case Report ─ 当院の改善症例

重要症例

腹膜播種治療相談外来
40代
女性
ステージⅣ
腹膜播種
広範囲(横隔膜まで)
樹状細胞ワクチン療法
腹膜播種消失
1年4か月後も再発なし

この症例のポイント

  • 診断名:卵巣がん・腹膜播種(ステージⅣ)
  • 術中所見:骨盤から横隔膜まで広範囲の腹膜播種(がん性腹膜炎の状態)
  • 卵巣摘出術後、抗がん剤に樹状細胞ワクチン療法を4か月間・7回投与
  • CT検査で腹膜播種の消失を確認
  • 1年4か月後も再発の兆候なし

卵巣がん腹膜播種が抗がん剤+免疫療法(樹状細胞ワクチン療法)で消失

骨盤から横隔膜まで広範囲にわたる腹膜播種(がん性腹膜炎)が確認された難治例に対し、抗がん剤と樹状細胞ワクチン療法を組み合わせることで腹膜播種が消失し、1年4か月後も再発なしという経過をたどった症例をご紹介します。

患者さま 43歳 女性
診断名 卵巣がん・腹膜播種
ステージ Ⅳ(骨盤〜横隔膜まで広範囲の腹膜播種・がん性腹膜炎)
治療期間・回数 樹状細胞ワクチン療法:4か月間、7回投与
治療費 料金表ページをご覧ください。

経過

卵巣摘出術 卵巣がんの診断で手術。術中、骨盤から横隔膜まで広く腹膜播種を認め、がん性腹膜炎の状態と確認
抗がん剤開始 術後1か月後に抗がん剤治療を開始
免疫療法開始 抗がん剤開始の翌月から樹状細胞ワクチン療法を併用開始
腹膜播種消失 免疫療法開始から約3か月後のCT検査で腹膜播種の消失を確認
抗がん剤終了 腹膜播種消失から約4か月後に抗がん剤治療を終了
1年4か月後 再発の兆候なし。経過良好
卵巣がん腹膜播種の治療イメージ

治療の考え方(SynerTri®)

当グループでは、標準治療(抗がん剤)を土台としつつ、患者さまの治療歴・全身状態・免疫状態をふまえて、免疫療法を組み合わせる余地を検討します。進行がんでも免疫応答を考慮した治療設計を行うために、患者さまの状況に応じてSynerTri®(シナトリ/学術名 iCCI)で個別に免疫治療を設計します。

本症例では、卵巣摘出術後の抗がん剤治療に、免疫を活性化する樹状細胞ワクチン療法を組み合わせました。骨盤から横隔膜まで及ぶ広範囲の腹膜播種が、併用開始から約3か月後のCT検査で消失が確認されています。

副作用・リスク

免疫療法(樹状細胞ワクチン療法)では重篤な副作用は多くないとされますが、体調や併用治療によってリスクは異なります。主な副作用・注意点は以下のとおりです。

  • 成分採血時:めまい、吐き気(迷走神経反射)、口の周り・手足のしびれ など
  • 細胞培養時:培養時の細菌等による汚染 など
  • ワクチン接種時:注射部位の発赤、皮疹、発熱

本症例は、骨盤から横隔膜まで広範囲の腹膜播種が確認された難治例に対し、抗がん剤と免疫療法の併用後に腹膜播種の消失が確認されたケースです。ただし治療効果には個人差があり、すべての患者さまに同様の結果が得られるとは限りません。

当グループでは他のがん種でも、大腸がん腹膜播種・腹水が消失した63歳女性のケース胃がん76歳男性で腹膜播種が消失したケーススキルス胃がんで症状が改善したケースなどを経験しています。

※治療効果には個人差があり、すべての患者さまに同様の結果が得られるとは限りません。また、本症例で用いた治療には、国内の保険適応や大規模臨床試験で標準治療として確立されていないものも含まれます。実際の治療は、リスクとベネフィットを評価し、ご本人の同意のもとで設計します。

あなたに合った卵巣がん・腹膜播種の治療をお探しの方へ

当グループでは、標準治療(抗がん剤)を土台に、患者さまお一人おひとりの状況に応じてSynerTri®(免疫療法)を設計します。BRCA変異・HER2・MSIなどのバイオマーカー・治療歴・全身状態をもとに、次に検討すべき選択肢をお伝えします。

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矢﨑雄一郎 プレシジョンクリニック東京院長

【監修者】矢﨑 雄一郎

プレシジョンクリニック東京院長。免疫療法・樹状細胞ワクチン療法を専門とし、進行がん・腹膜播種症例を多数経験。SynerTri®(iCCI)の設計・実施に携わる。