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再発スキルス胃がんで、肺気腫のため手術も抗がん剤もできなかった80代男性|樹状細胞ワクチン療法を内視鏡で局所投与した経過

この症例のポイント

  • 相談時の状況:スキルス胃がんが再発し、重度の肺気腫のため手術ができなかった80代の男性です。抗がん剤も副作用で続けられず、内視鏡での切除(ESD)も適応外でした。
  • 検討した課題:手術も抗がん剤も使えないため、体への負担が少なく、がんに直接働きかける治療を検討しました。
  • 行った治療と経過:腫瘍組織でWT1とMUC1が陽性であることを確かめたうえで、樹状細胞ワクチンを内視鏡で胃の病変に直接、4か月で7回投与しました。投与後1か月でがんは縮小し、病理検査でがん細胞の消失を確認、30か月以上の寛解が続いています。この経過は、国際査読誌に症例報告として掲載されました。

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手術も抗がん剤もできないと言われた、スキルス胃がんの方へ。
診察させてください。

体への負担が少ない形で何ができるかを、一緒に考えませんか。
まずは、これまでの治療と現在の状況をお聞かせください。
初診では、医師が資料を確認したうえで、選択肢・当院での治療の適否・費用とリスクをご説明します。
ご相談と初診は無料です(2回目以降の診察は有料です)。

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    Case Report ─ 当院で治療を行ったスキルス胃がんの症例

    重要症例

    スキルス胃がん
    80代
    男性
    再発
    手術・抗がん剤不可
    樹状細胞ワクチン療法
    局所投与(腫瘍内)
    完全寛解
    30ヶ月以上寛解維持
    国際査読誌掲載

    手術も抗がん剤もできなかった再発スキルス胃がんに、樹状細胞ワクチンの局所投与のみで完全寛解

    重度の肺気腫で手術も抗がん剤もできなかった再発スキルス胃がんに、樹状細胞ワクチン療法の局所投与のみを行い、国際査読誌に掲載された患者さまの経過をご紹介します。スキルス胃がんの標準治療と局所投与の解説は、症例のあとにまとめています。

    患者情報

    患者さま 80代 男性
    診断名 再発スキルス胃がん(印環細胞がん)
    合併症 重度の肺気腫(手術不可)
    標準治療 抗がん剤は副作用で継続できず。ESDは適用外
    治療内容 樹状細胞ワクチン療法 局所投与(WT1・MUC1標的、内視鏡下腫瘍内投与、4ヶ月・7回)

    経過

    診断 再発スキルス胃がん。重度の肺気腫で根治手術は不可、ESDも適用外と判断
    抗がん剤 副作用のため継続できず
    免疫療法 腫瘍組織のIHCでWT1・MUC1が陽性であることを確認し、樹状細胞ワクチンを上部消化管内視鏡で胃の病変に直接投与(7回)
    投与後1ヶ月 スキルス胃がんは縮小。病理検査でがん細胞の消失を確認
    免疫の変化 スキルス胃がんと戦うT細胞が3倍以上に増加。WT1・MUC1に対する特異的免疫応答を確認
    その後 投与終了後、30ヶ月以上にわたり寛解を維持
    再発スキルス胃がん 樹状細胞ワクチン局所投与前(a)と投与後(b)の内視鏡画像。矢印で示した胃のスキルス病変が投与後に消失している。
    ▲ 樹状細胞ワクチン局所投与前(a)と投与後(b)の上部消化管内視鏡画像。矢印で示したスキルス病変が、投与後には確認できなくなっています(出典:Kobayashi et al., World J Surg Oncol 2014)。

    治療の考え方(SynerTri®)

    当グループでは、標準治療(抗がん剤)を土台としつつ、プラスアルファで免疫の働きで後押ししていきます。進行がんでも免疫の働きを強化するために、患者さまの状況に応じて複合的に免疫を改善させる独自のプロトコルSynerTri®(シナトリ/学術名 iCCI)で個別に免疫治療を設計します。

    本症例では、抗がん剤などの標準治療を併用せず、免疫を活性化する〈アクセル〉としての樹状細胞ワクチン療法を、内視鏡による局所投与で行いました。事前に抗原の発現を確かめ、効きやすい標的を効きやすい方法で狙う設計です。

    治療期間・回数/費用

    樹状細胞ワクチン療法は、1セット(7回)を1つのクール(治療単位)として実施します。本療法は、最初のクールを終えたあとも治療を継続される方が多くいらっしゃいます。

    当院の治療はすべて自費診療(保険適用外)です。費用は改定される場合があるため、最新の金額は料金表をご確認ください。なお、クール終了後に治療を継続される場合は、別途費用がかかります。

    副作用・リスク

    免疫療法(樹状細胞ワクチン療法)では副作用が認められることはほとんどありませんが、未知の副作用等が起こる可能性は否定できません。主な副作用は以下のとおりです。

    • 成分採血時:口の周り・手足のしびれ、倦怠感、吐き気(迷走神経反射)等
    • 細胞培養時:培養時の細菌等による汚染 など
    • ワクチン接種時:注射部位の発赤、皮疹、発熱

    本症例は、手術も抗がん剤もできなかった再発スキルス胃がんに対し、樹状細胞ワクチン療法の局所投与のみで病理検査上がん細胞が消失し、30ヶ月以上の寛解を維持した一例です。1例の症例報告であり、治療効果には個人差があります。すべての患者さんに同様の結果が得られるとは限りません。

    院長から

    手術も抗がん剤もできないときに、続きを引き受けるのも私たちの役目です。この方には、がんの目印(WT1とMUC1)が腫瘍にあることを確かめたうえで、樹状細胞ワクチンを内視鏡で胃の病変に直接届けました。効きやすい目印を効きやすい方法で狙ったことが、病理検査でがん細胞が確認できなくなったという経過に寄与できた可能性があると考えています。

    ご自身の場合に何ができるかは、
    資料を見てからお答えします。

    全身状態によっては、お受けできない場合があります。画像と検査値を見ないと、はっきりしたことはお答えできません。まずは今の状況をお聞かせください。
    【ご相談の流れ】

    ① お電話(医師または看護師が対応)またはフォームで、現在の状況をうかがいます
    ② 初診で、医師が検査結果などの資料を確認し、標準治療を含む選択肢と当院での治療の適否をご説明します
    ③ 費用とリスクをご説明します
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      スキルス胃がんと、再発したときの標準治療

      スキルス胃がんは、胃の壁の中を広がるように進むタイプの胃がんで、内視鏡で見つけにくく、腹膜播種を起こしやすいことから、胃がんの中でも難治とされます。5年相対生存率は10〜20%未満との報告が多く、20代でも発症します。スキルス胃がんの詳しい解説は、腹膜播種を伴うスキルス胃がんステージ4の症例ページにまとめています。

      再発したスキルス胃がんの標準治療は、抗がん剤を中心とした薬物療法です。現在は、抗がん剤に免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせる治療や、HER2・CLDN18.2などのバイオマーカーに応じた薬剤の選択が標準になっています。局所の再発であっても、スキルス胃がんでは内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の適応にならず、根治を目指すには手術が必要になります。

      手術も抗がん剤もできないとき(高齢・合併症)

      本症例のように、重度の肺気腫などの合併症で全身麻酔の手術ができず、抗がん剤も副作用で続けられない場合、標準治療の枠内では「経過観察」か「症状をやわらげる治療」しか残らないことがあります。しかし、がんそのものは残っています。この段階で、体への負担が少なく、がんに直接働きかける治療があるかどうかが、患者さんにとっての分かれ道になります。

      樹状細胞ワクチン療法の局所投与とは(WT1・MUC1)

      樹状細胞ワクチン療法は、患者さんご自身の血液から免疫の司令塔である樹状細胞を取り出し、がんの目印(がん抗原)を覚えさせて体に戻す治療です。本症例では、WT1(Wilms tumor 1)とMUC1(mucin 1)という2つのがん関連抗原を標的にしました。WT1は米国国立がん研究所(NCI)が最も優先度の高いがん抗原と位置づけた抗原で、MUC1は胃がんで93%という高い発現率が報告されています。事前に腫瘍組織の免疫組織化学検査(IHC)で両方が陽性であることを確認したうえでワクチンを設計しました。効きやすい症例を、効きやすい標的で狙うという、精密医療の考え方です。

      投与方法も特徴的です。通常は皮下・皮内に投与しますが、本症例では上部消化管内視鏡(EGD)を用いて、胃のスキルス病変に直接ワクチンを投与する局所投与(腫瘍内投与)を行いました。腫瘍局所に高濃度のワクチンを届けることで、効果を高める狙いがあります。

      国際査読誌に掲載された症例報告について

      本症例は、国際査読誌「World Journal of Surgical Oncology」(BioMed Central発行)に2014年に掲載された症例報告です(Kobayashi M, Sakabe T, Chiba A, et al. Therapeutic effect of intratumoral injections of dendritic cells for locally recurrent gastric cancer: a case report. World J Surg Oncol 2014;12:390)。オープンアクセス論文として全文が公開されています。

      この症例が医学的に注目される3つの理由

      • 標準治療が選択できなかった患者さんへの新たな選択肢:手術も抗がん剤も難しい状況で、樹状細胞ワクチン療法の局所投与が選択肢となり得ることを示しました。
      • 局所投与単独での完全寛解:抗がん剤などの標準治療を併用せず、腫瘍内投与のみで病理検査上がん細胞が消失しました。免疫療法単独の効果として希少な報告です。
      • 30ヶ月以上の寛解維持:投与終了後30ヶ月以上にわたり無再発状態が維持され、免疫記憶の長期持続が示唆されます。

      本症例の限界

      本症例は1例の症例報告(n=1)であり、すべての再発スキルス胃がんの患者さんに同様の効果が期待できるわけではありません。効果は、標的抗原(WT1・MUC1など)の発現状況、免疫の状態、がんの進行度・組織型、過去の治療歴によって大きく異なります。当グループでは、こうした個別の条件をゲノム解析・免疫解析で評価したうえで治療設計を行います。免疫を活性化する〈アクセル〉としての樹状細胞ワクチン療法を中心に、免疫チェックポイント阻害薬や放射線を組み合わせる独自のプロトコルSynerTri®(シナトリ/学術名 iCCI)で個別に設計します。

      よくある質問(FAQ)

      Q. 手術も抗がん剤もできないと言われました。相談できますか?

      できます。本症例も重度の肺気腫で手術ができず、抗がん剤も副作用で続けられない状況でした。体への負担が少ない樹状細胞ワクチン療法を中心に、検討できる選択肢をご説明します。

      Q. 局所投与(腫瘍内投与)は誰でも受けられますか?

      がんの場所に内視鏡や針で到達できることが条件です。胃がんでは上部消化管内視鏡を用いて病変に直接投与します。事前に腫瘍組織の抗原(WT1・MUC1など)の発現を調べ、適応を判断します。

      Q. この症例の結果は、他の患者さんにも期待できますか?

      本症例は1例の症例報告であり、すべての方に同様の効果が期待できるわけではありません。抗原の発現状況、免疫の状態、進行度、治療歴によって効果は大きく異なります。

      Q. スキルス胃がんの他の症例はありますか?

      あります。腹膜播種を伴うスキルス胃がんステージ4で、抗がん剤と樹状細胞ワクチン療法(局所投与を含む)の併用により食事量が回復した症例をご紹介しています。あわせてご覧ください。

      ご紹介したのは、一人の患者さまの経過です。
      そこから先は、診察でお話ししましょう。

      診断名や現在の治療が曖昧でも構いません。まずは現在の状況をお聞かせください。
      初診では、医師が資料を確認したうえで、選択肢・当院での治療の適否・費用とリスクをご説明します。(2回目以降の診察は有料です)

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        ※治療効果には個人差があり、すべての患者さまに同様の結果が得られるとは限りません。また、本症例で用いた治療には、国内の保険適応や大規模臨床試験で標準治療として確立されていないものも含まれます。実際の治療は、リスクとベネフィットを評価し、ご本人の同意のもとで設計します。本記事は医師の監修のもと作成しています。個別の治療方針については、担当医師にご相談ください。
        矢﨑雄一郎医師 プレシジョンクリニック東京院長

        監修:矢﨑 雄一郎 医師
        プレシジョンクリニック 東京院長 / 医療法人社団プレシジョンメディカルケア理事長
        東海大学医学部を卒業後、消化器外科医として医療機関に従事したのち、東京大学医科学研究所で免疫療法(樹状細胞ワクチン療法)の開発に従事。現在はプレシジョンメディカルケア理事長として活躍中。専門分野は免疫療法及び消化器外科。約6,000症例の免疫療法を主導し、進行がんにおける個別化免疫治療(SynerTri®)プロトコルを確立。著書『免疫力をあなどるな!』をはじめ、医学書の執筆も手がけ、医療知識の普及にも貢献。免疫療法(樹状細胞ワクチン)の開発企業であるテラ株式会社の創業者。
        詳しい経歴はこちら

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