投稿日:2024.10.14/更新日:2024.10.15
固形腫瘍に対する治療では、ワクチン、リンパ節、樹状細胞、CD4T細胞、CD8T細胞の連携が鍵を握るように感じられます。今回は、プラスミドDNAを使用したDNAワクチンの治験結果をご紹介します。
この方法は、コロナワクチン開発の際に阪大の森下竜一先生のグループが提案していたもので、HCCにも有望な効果が期待されています。また、サイトカインIL-12も併用され、ガンに対する治療法開発は世界中で競争が激化している状況です。私たちに希望をもたらす結果です。
研究概要
『Personalized neoantigen vaccine and pembrolizumab in advanced hepatocellular carcinoma: a phase 1/2 trial』
Nature Medicine 2024年4月7日発表
PD-1阻害剤は、肝細胞癌(HCC)において単剤療法ではわずかな効果しか示しません。しかし、**個別化がんワクチン(PTCV)**は、腫瘍特異的な免疫応答を誘導し、PD-1阻害剤に対する治療効果を増強する可能性があります。
この第1/2相試験では、**DNAプラスミドPTCV(GNOS-PV02)**を使用し、進行性HCC患者を対象に治療を行いました。最大40種類のネオアンチゲンをコードするDNAプラスミドに、プラスミドでコード化されたインターロイキン-12とペムブロリズマブを併用し、これまでに多剤チロシンキナーゼ阻害剤で治療された患者に投与しました。
主要評価項目は安全性と免疫原性であり、治療効果や実用性は二次評価項目として評価されています。
結果
多重パラメトリック細胞プロファイリングでは、活性化・増殖したワクチン特異的なCD4+およびCD8+エフェクター細胞が確認され、TCRβシークエンシングではワクチンにより濃縮されたT細胞クローンが腫瘍に浸潤していることが示されました。
結論
この研究結果は、個別化がんワクチン(PTCV)とペムブロリズマブの組み合わせが、進行性HCCに対して有望な臨床効果を持つことを示しています。
NCT04251117
プレシジョンクリニックグループ
岡崎能久