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TOP コラム 抗がん剤 進行性膵臓がん(膵臓癌)に対する新たな療法(NALIRIFOX療法)

抗がん剤

投稿日:2023.10.1/更新日:2026.9.14

進行性膵臓がん(膵臓癌)に対する新たな療法(NALIRIFOX療法)

この記事でわかること

  • NALIRIFOX療法とは:リポソーマルイリノテカン(オニバイド)+5-FU+ロイコボリン+オキサリプラチンの4剤併用。
  • NAPOLI 3試験(Lancet 2023)の結果:全生存期間の中央値11.1か月 vs 9.2か月、死亡リスク17%減。グレード3以上の有害事象は両群とも約87%。
  • NALIRIFOXが向く人・向かない人、効かなくなったあとの考え方。
  • 当院で抗がん剤と樹状細胞ワクチン療法を併用し、腹膜播種を伴う膵臓がんステージⅣで約4年の長期生存が得られた実例。

NALIRIFOX療法の概要

「NALIRIFOX」という名称は、含まれる薬剤の頭文字に由来し、次の4種の薬剤が含まれます。

  • NALIRI: Nanoliposomal irinotecan(リポソーマルイリノテカン, 商品名: ONIVYDE) – 腫瘍部位への効率的な薬剤送達が期待される新しい製剤。
  • F: 5-Fluorouracil(5-FU) – DNA合成を阻害する広く使用されている抗がん剤。
  • L: Leucovorin(ロイコボリン) – 5-FUの効果を増強する補助剤。
  • OX: Oxaliplatin(オキサリプラチン) – DNA複製を阻害する白金製剤。

NAPOLI 3試験の詳細

NAPOLI 3試験(NCT04083235)では、未治療の転移性膵管腺がん患者を対象に、NALIRIFOX療法と標準治療(nab-パクリタキセル+ゲムシタビン併用療法)の有効性と安全性を比較しました。

試験デザインは、28日を1サイクルとして以下のスケジュールで実施されました。

  • NALIRIFOX群: 1日目と15日目に、リポソーマルイリノテカン50mg/m²、オキサリプラチン60mg/m²、ロイコボリン400mg/m²、フルオロウラシル2400mg/m²を投与。
  • 標準治療群: 1日目、8日目、15日目に、nab-パクリタキセル125mg/m²とゲムシタビン1000mg/m²を投与。

試験結果と安全性

試験の主要評価項目であるITT集団における全生存期間(OS)の中央値は以下の通りでした。

  • NALIRIFOX群: 11.1ヶ月(95%信頼区間: 10.0-12.1ヶ月)
  • 標準治療群: 9.2ヶ月(95%信頼区間: 8.3-10.6ヶ月)

NALIRIFOX群では、死亡リスクが17%減少(HR: 0.83, 95%信頼区間: 0.70-0.99, P=0.036)しました。一方、安全性については次の結果が示されました。

  • グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE): NALIRIFOX群87%、標準治療群86%
  • 治療関連有害事象による死亡率: 両群とも2%

当院の実例

腹膜播種を伴う膵臓がんステージⅣで、抗がん剤(ジェムザール→ジェムザール+アブラキサン)と樹状細胞ワクチン療法を併用し、約4年の長期生存が得られた74歳女性

血糖値の異常から膵頭部がんと診断され、手術を受けたものの腹膜播種が見つかり切除せずに閉腹となった方です。抗がん剤(ジェムザール)とほぼ同時に樹状細胞ワクチン療法を開始し、抗がん剤はのちにジェムザール+アブラキサンへ変更して継続しました。腫瘍マーカーCA19-9は1,214から178へ改善し、診断から約4年の長期生存が得られています。一次治療の抗がん剤に、最初から免疫療法を重ねた設計の一例です。

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※個別の症例であり、治療効果には個人差があります。同じ結果をお約束するものではありません。

まとめ

NAPOLI 3試験の結果、NALIRIFOX療法は未治療の転移性膵管腺がんにおける新たな治療選択肢として有望であることが示されました。今後さらに多くの研究が進むことで、膵臓がん治療における有用性がより明確になることが期待されます。

よくある質問

NALIRIFOXとFOLFIRINOXは何が違いますか?

薬の骨格は同じ4剤ですが、イリノテカンがリポソーム製剤(オニバイド)に置き換わり、投与量と間隔が違います。FOLFIRINOXとNALIRIFOXを直接比べた大規模試験はなく、どちらが優れるかは結論が出ていません。体力や副作用の出方で主治医が選びます(膵臓癌の標準治療)。

NALIRIFOXの副作用で特に注意するものは?

下痢、好中球減少(感染しやすくなる)、吐き気、末梢神経障害(手足のしびれ)です。グレード3以上の有害事象は約87%と高いため、下痢止めや白血球を増やす注射、減量を組み合わせて続けます。38度以上の発熱や、水のような下痢が1日4回以上続くときは、その日のうちに受診してください。

NALIRIFOXが効かなくなったら、次はどうなりますか?

二次治療としてジェムザール+アブラキサン(GnP)などへ切り替えるのが一般的です。当院では、一次治療の段階から抗がん剤に樹状細胞ワクチン療法などの免疫療法を重ね、効く期間を延ばしつつ、次の抗がん剤へ移る余力を残す設計をご提案しています。KRAS変異がある方は新薬の動向もあわせてご覧ください(膵臓がん最新治療2026膵臓がんの方へ)。

NALIRIFOX療法を提案された方・受けている方へ
抗がん剤にプラスする選択肢を、当院に相談してみませんか?

NALIRIFOXは膵臓がんの一次治療の新しい柱ですが、副作用と耐性が課題です。
抗がん剤を土台に免疫療法を組み合わせ、効く期間と生活の質の両方を目指す設計があります。
これまでの治療歴とお体の状態をうかがったうえで、ひとつずつご説明します。ご相談は無料です。

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    監修医師:岡崎 能久医師

    監修医師

    岡崎 能久医師

    内視鏡診断/治療・研究開発

    大阪大学医学部を卒業後、同大学院の修士課程を終了したのち、関西地方を中心に医療に従事、現在はプレシジョンクリニック名古屋院長として活躍中。専門は内視鏡診断および治療・研究開発。日本内科学会認定医や日本消化器病学会専門医、日本医師会認定産業医などの認定医を保有。

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