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TOP コラム 抗がん剤 進行性膵臓がん(膵臓癌)に対する新たな療法(NALIRIFOX療法)

抗がん剤

投稿日:2023.10.1/更新日:2024.12.8

進行性膵臓がん(膵臓癌)に対する新たな療法(NALIRIFOX療法)



NALIRIFOX療法と転移性膵管腺がん:NAPOLI 3試験の結果

2023年9月11日、医学誌『The Lancet』に掲載された最新の臨床試験結果

NALIRIFOX療法の概要

「NALIRIFOX」という名称は、含まれる薬剤の頭文字に由来し、次の4種の薬剤が含まれます。

  • NALIRI: Nanoliposomal irinotecan(リポソーマルイリノテカン, 商品名: ONIVYDE) – 腫瘍部位への効率的な薬剤送達が期待される新しい製剤。
  • F: 5-Fluorouracil(5-FU) – DNA合成を阻害する広く使用されている抗がん剤。
  • L: Leucovorin(ロイコボリン) – 5-FUの効果を増強する補助剤。
  • OX: Oxaliplatin(オキサリプラチン) – DNA複製を阻害する白金製剤。

NAPOLI 3試験の詳細

NAPOLI 3試験(NCT04083235)では、未治療の転移性膵管腺がん患者を対象に、NALIRIFOX療法と標準治療(nab-パクリタキセル+ゲムシタビン併用療法)の有効性と安全性を比較しました。

試験デザインは、28日を1サイクルとして以下のスケジュールで実施されました。

  • NALIRIFOX群: 1日目と15日目に、リポソーマルイリノテカン50mg/m²、オキサリプラチン60mg/m²、ロイコボリン400mg/m²、フルオロウラシル2400mg/m²を投与。
  • 標準治療群: 1日目、8日目、15日目に、nab-パクリタキセル125mg/m²とゲムシタビン1000mg/m²を投与。

試験結果と安全性

試験の主要評価項目であるITT集団における全生存期間(OS)の中央値は以下の通りでした。

  • NALIRIFOX群: 11.1ヶ月(95%信頼区間: 10.0-12.1ヶ月)
  • 標準治療群: 9.2ヶ月(95%信頼区間: 8.3-10.6ヶ月)

NALIRIFOX群では、死亡リスクが17%減少(HR: 0.83, 95%信頼区間: 0.70-0.99, P=0.036)しました。一方、安全性については次の結果が示されました。

  • グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE): NALIRIFOX群87%、標準治療群86%
  • 治療関連有害事象による死亡率: 両群とも2%

まとめ

NAPOLI 3試験の結果、NALIRIFOX療法は未治療の転移性膵管腺がんにおける新たな治療選択肢として有望であることが示されました。今後さらに多くの研究が進むことで、膵臓がん治療における有用性がより明確になることが期待されます。

NALIRIFOX療法と膵臓がん治療

未治療の転移性膵管腺がん患者にとって、NALIRIFOX療法は新たな治療可能性を示しています。本治療を始めとして膵臓がんの治療については当グループに気兼ねなくご相談ください。


監修医師

岡崎 能久医師

内視鏡診断/治療・研究開発

大阪大学医学部を卒業後、同大学院の修士課程を終了したのち、関西地方を中心に医療に従事、現在はプレシジョンクリニック名古屋院長として活躍中。専門は内視鏡診断および治療・研究開発。日本内科学会認定医や日本消化器病学会専門医、日本医師会認定産業医などの認定医を保有。

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