投稿日:2023.10.1/更新日:2026.9.14
この記事でわかること
「NALIRIFOX」という名称は、含まれる薬剤の頭文字に由来し、次の4種の薬剤が含まれます。
NAPOLI 3試験(NCT04083235)では、未治療の転移性膵管腺がん患者を対象に、NALIRIFOX療法と標準治療(nab-パクリタキセル+ゲムシタビン併用療法)の有効性と安全性を比較しました。
試験デザインは、28日を1サイクルとして以下のスケジュールで実施されました。
試験の主要評価項目であるITT集団における全生存期間(OS)の中央値は以下の通りでした。
NALIRIFOX群では、死亡リスクが17%減少(HR: 0.83, 95%信頼区間: 0.70-0.99, P=0.036)しました。一方、安全性については次の結果が示されました。
当院の実例
腹膜播種を伴う膵臓がんステージⅣで、抗がん剤(ジェムザール→ジェムザール+アブラキサン)と樹状細胞ワクチン療法を併用し、約4年の長期生存が得られた74歳女性
血糖値の異常から膵頭部がんと診断され、手術を受けたものの腹膜播種が見つかり切除せずに閉腹となった方です。抗がん剤(ジェムザール)とほぼ同時に樹状細胞ワクチン療法を開始し、抗がん剤はのちにジェムザール+アブラキサンへ変更して継続しました。腫瘍マーカーCA19-9は1,214から178へ改善し、診断から約4年の長期生存が得られています。一次治療の抗がん剤に、最初から免疫療法を重ねた設計の一例です。
※個別の症例であり、治療効果には個人差があります。同じ結果をお約束するものではありません。
NAPOLI 3試験の結果、NALIRIFOX療法は未治療の転移性膵管腺がんにおける新たな治療選択肢として有望であることが示されました。今後さらに多くの研究が進むことで、膵臓がん治療における有用性がより明確になることが期待されます。
薬の骨格は同じ4剤ですが、イリノテカンがリポソーム製剤(オニバイド)に置き換わり、投与量と間隔が違います。FOLFIRINOXとNALIRIFOXを直接比べた大規模試験はなく、どちらが優れるかは結論が出ていません。体力や副作用の出方で主治医が選びます(膵臓癌の標準治療)。
下痢、好中球減少(感染しやすくなる)、吐き気、末梢神経障害(手足のしびれ)です。グレード3以上の有害事象は約87%と高いため、下痢止めや白血球を増やす注射、減量を組み合わせて続けます。38度以上の発熱や、水のような下痢が1日4回以上続くときは、その日のうちに受診してください。
二次治療としてジェムザール+アブラキサン(GnP)などへ切り替えるのが一般的です。当院では、一次治療の段階から抗がん剤に樹状細胞ワクチン療法などの免疫療法を重ね、効く期間を延ばしつつ、次の抗がん剤へ移る余力を残す設計をご提案しています。KRAS変異がある方は新薬の動向もあわせてご覧ください(膵臓がん最新治療2026、膵臓がんの方へ)。
監修医師
岡崎 能久医師
内視鏡診断/治療・研究開発
大阪大学医学部を卒業後、同大学院の修士課程を終了したのち、関西地方を中心に医療に従事、現在はプレシジョンクリニック名古屋院長として活躍中。専門は内視鏡診断および治療・研究開発。日本内科学会認定医や日本消化器病学会専門医、日本医師会認定産業医などの認定医を保有。