投稿日:2024.10.17/更新日:2026.9.21
この記事でわかること
DC-CIK(PD1-T)細胞療法は、免疫細胞療法の一種で、樹状細胞(DC)と細胞傷害性T細胞(CIK)を組み合わせて使用します。樹状細胞は、腫瘍抗原を認識し、免疫系に指示を出す役割を果たし、CIKはがん細胞を直接攻撃する働きをします。患者の血液や腫瘍から得た細胞を体外で培養し、DCとCIKを作製した後、これらを混合して体内に戻すことで、患者の免疫反応を高め、がん細胞を効果的に排除することを目指しています。
DC-CIK(PD1-T)細胞療法と化学療法の組み合わせは、効果が期待されています。
『XELOX (capecitabine plus oxaliplatin) plus bevacizumab (anti-VEGF-A antibody) with or without adoptive cell immunotherapy in the treatment of patients with previously untreated metastatic colorectal cancer: a multicenter, open-label, randomized, controlled, phase 3 trial』
Signal Transduction and Targeted Therapy 03 April 2024
最近の第3相試験では、切除ができない転移性大腸がん(mCRC)の初期治療として、PD-1をブロックして活性化されたDC-CIK(PD1-T)細胞を、標準的な化学療法のXELOX(カペシタビン+オキサリプラチン)+ベバシズマブ(抗VEGF抗体)に追加することで、その効果を評価しました。
この試験には202名の患者が参加し、ランダムに以下の2つのグループに分けられました。
試験結果
この結果から、PD1-T細胞療法をXELOX+ベバシズマブに追加することで、未治療の転移性大腸がん患者の生存期間が有意に改善し、治療が安全であることが示されました。
プレシジョンクリニックグループ
岡崎能久

当院の実例
肝臓を覆うほどの肝転移と肺転移を伴う大腸がんステージ4に、抗がん剤(FOLFOX+アバスチン)と放射線、樹状細胞ワクチン療法を組み合わせ、8か月後のPET-CTで肝・肺の転移巣が画像上すべて消失した症例
上行結腸がんに肝転移・リンパ節転移・肺転移疑いを伴うステージ4と診断され、主治医施設で抗がん剤(FOLFOX+アバスチン)を開始。関連施設の放射線療法と、当院の樹状細胞ワクチン療法(7回・約4か月)を並行しました。治療開始約8か月後のPET-CTでは、巨大だった肝転移を含めて肝・肺の転移巣が画像上すべて消失し、肝転移巣は壊死化(FDG集積なし)。担当の放射線科医から「これほどの反応は珍しい」と言われたと伺っています。論文のDC-CIK療法と同じく、標準治療に細胞療法を「足す」設計の一例です。
※個別の症例であり、治療効果には個人差があります。同じ結果をお約束するものではありません。
論文のDC-CIK(PD1-T)療法そのものは中国の試験で用いられた細胞製剤で、日本では提供されていません。当院では同じ考え方で、樹状細胞ワクチン療法(司令官役)と活性化リンパ球療法(兵隊役)を組み合わせて設計しています。
論文では重い副作用の頻度が化学療法単独と変わらず(20.0%対23.5%)、治療関連死もありませんでした。当院でも抗がん剤の日程に合わせて採血と接種の時期を調整し、主治医と情報を共有しながら並行しています。
転移の数や大きさだけで対象外にはなりません。上の実例のように、抗がん剤・放射線と免疫療法を組み合わせて反応が得られた経過があります。画像と治療歴をもとに、担当医が設計をご提案します。