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抗がん剤・分子標的薬

投稿日:2026.4.16/更新日:2026.9.22

飲む抗がん剤とは?化学療法や副作用について徹底解説!

この記事でわかること

  • 飲む抗がん剤(経口抗がん剤)の特徴と、点滴との違い(投与場所・管理・通院頻度)。
  • よく使われる経口抗がん剤:殺細胞性(TS-1、ゼローダ、ロンサーフなど)と分子標的薬(EGFR阻害薬、CDK4/6阻害薬など)。
  • 副作用(下痢・手足症候群・口内炎・皮膚障害)の対策と、飲み忘れ・飲み合わせの注意。
  • 当院で経口抗がん剤(TS-1)を減量しながら樹状細胞ワクチン療法を併用し、原発巣・肝転移が消失した膵臓がんステージⅣの実例。

がんの治療と聞くと、入院や点滴のイメージを持たれる方も多いのではないでしょうか?しかし近年、自宅で服用できる飲む抗がん剤というものがあります。

経口抗がん剤にはどんな特徴があるのか、副作用はどうなのか、不安に感じることもあるかもしれません。本記事では、飲み薬として使われている抗がん剤の基本的な仕組みや、化学療法がどのように進められるのか、そして副作用との上手な付き合い方などについて、詳しく解説します。

飲む抗がん剤とは?その特徴と役割

飲み薬タイプの抗がん剤は近年多くの種類が開発され、がん治療の選択肢のひとつとなっています。自宅で服用できるため通院の負担が軽減され、普段の暮らしを続けながら治療を受けられる点が特徴です。特に近年のがんゲノム医療(プレシジョンメディシン)の発展により、経口投与可能な分子標的薬が数多く開発されています。

経口抗がん剤と注射タイプの違い

 

注射タイプ

経口タイプ(飲み薬)

投与場所

病院で点滴が必要

自宅で服用可能

管理体制

医療スタッフが管理。異変があればすぐ対応可能

自己管理が必要

通院頻度

比較的多い

回数を減らせる

どちらも血液を通じて全身に届き、がん細胞に作用する仕組みは同じです。患者さまの病状や生活スタイルに合わせて選択します。

飲む抗がん剤が選ばれる理由

経口抗がん剤は、日常生活への影響を抑えながら治療を続けられる点が最大の理由です。通院回数が減ることで仕事や家庭との両立がしやすくなり、自宅で服用できるため心理的な負担も軽減されやすいとされています。点滴タイプと組み合わせて使われることもあり、治療効果を高める工夫がなされています。

ただし、飲み忘れや飲み間違いを防ぐため、ご自身でしっかり管理することが大切です。

よく使われる経口抗がん剤の種類

経口抗がん剤には、従来型の殺細胞性抗がん剤と、近年開発が進む分子標的薬の2種類があります。経口抗がん剤の主役は分子標的薬であり、多くが飲み薬として開発されています。

分子標的薬は、がん細胞に特異的に発現している分子や、がん細胞の増殖に関わる特定のシグナル伝達経路を標的とする薬剤です。代表的な使われ方は以下のとおりです。

がん

殺細胞性抗がん剤(経口)

分子標的薬(経口)

大腸がん

ティーエスワン、ゼローダ(再発予防・進行がんの治療)

EGFR阻害薬、VEGF受容体阻害薬など

胃がん

ティーエスワン、ゼローダ(進行・再発)

経口分子標的薬の適応は限定的※

食道がん

ティーエスワン(術後補助療法、進行例)

経口分子標的薬の適応は限定的※

肺がん

—

EGFR変異陽性→EGFRチロシンキナーゼ阻害薬、ALK融合遺伝子陽性→ALK阻害薬

乳がん

ゼローダ(HER2陰性、ホルモン受容体陽性の難治例)

HER2陽性→分子標的薬、ホルモン受容体陽性→CDK4/6阻害薬など

膵がん

ティーエスワン(術後補助療法)

経口分子標的薬の適応は限定的※

頭頸部がん

ティーエスワン(進行・再発)

経口分子標的薬の適応は限定的※

がんゲノム医療の進展により、患者さま一人ひとりの遺伝子変異に応じた個別化医療(プレシジョンメディシン)が可能になっています。それぞれの薬は効果・副作用の出方が異なるため、医師が患者さまの状態に合わせて最適なものを選択します。

分子標的薬によるがんゲノム医療のメリット

分子標的薬の最大のメリットは、正常細胞へのダメージを最小限に抑えながら、がん細胞を選択的に攻撃できる点です。

従来の殺細胞性抗がん剤は活発に分裂する細胞全般に作用するため、骨髄細胞・消化管粘膜細胞・毛根細胞なども傷つけてしまい、重篤な副作用を引き起こすことがありました。一方、分子標的薬はがん細胞に特異的な分子を標的とするため、正常細胞への影響が少なく、QOL(生活の質)を維持しながら治療を継続できる可能性が高まります。実際に多くの臨床試験で、分子標的薬は殺細胞性抗がん剤と比べて脱毛や骨髄抑制といった従来型の副作用が少ないことが報告されています。

さらに、がん遺伝子検査で患者さま個々の遺伝子プロファイルを解析し、その結果に基づいて最適な薬を選ぶことで、治療効果の向上と副作用の軽減を同時に実現できます。これがプレシジョンメディシンの真髄であり、飲む抗がん剤が注目される理由でもあります。

加えて、経口投与という利便性により、自宅での治療継続・入院の減少・社会生活の維持が可能になります。治療効果とQOLの両立という観点から、分子標的薬は現代のがん治療において極めて重要な位置を占めています。

自分に合う薬を知りたい方へ。
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当院では検査の手配から結果の読み解きまで担当医が行い、いま受けられる治療もあわせてご説明します。
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    抗がん剤治療の基本:化学療法とは?

    化学療法は、抗がん剤を使ってがん細胞の増殖を抑えたり破壊したりする治療法で、手術・放射線治療と並ぶ「がん治療の三本柱」のひとつです。血液を通じて全身に薬が行き渡るため、体のあちこちに広がったがん細胞にもアプローチできます。

    化学療法の仕組みとその目的

    化学療法で使われる抗がん剤には、主に2種類あります。

    種類

    仕組み

    殺細胞性抗がん剤

    活発に分裂するがん細胞の性質を利用し、DNA合成や細胞分裂の過程を阻害して増殖を止める

    分子標的薬

    がん細胞の増殖・生存に必要な特定のシグナル伝達経路を阻害し、増殖を抑制する

    投与された薬は血液の流れに乗って全身をめぐり、転移したがん細胞にも届きます。治療の目的はがんの種類や進行度によって異なり、完全治癒を目指す場合もあれば、進行を遅らせたり症状を和らげたりすることを目標にする場合もあります。また、手術前にがんを小さくする目的や、手術後の再発予防にも用いられます。

    治療計画の立て方

    化学療法は「レジメン」と呼ばれる治療計画に沿って進められます。レジメンとは、薬の種類・投与量・投与間隔を定めたもので、臨床試験のデータをもとに作られています。一度の投与と休薬期間を合わせた「コース(サイクル)」を繰り返すのが一般的です。

    治療中は定期的な画像検査などで効果や副作用を評価し、患者さまの体調や検査結果に応じて薬の量を減らしたり投与を延期したりすることもあります。特に分子標的薬では、バイオマーカーの測定や遺伝子検査の結果をもとに治療効果をモニタリングしながら、個別化された治療計画を策定します。

    飲む抗がん剤の副作用とその対策

    抗がん剤には副作用がつきものですが、適切な対策を知っておくことで症状を和らげながら治療を続けられます。副作用は薬の種類や個人の体質によって異なり、すべての症状が現れるわけではありません。特に分子標的薬は、従来の殺細胞性抗がん剤とは異なる副作用プロファイルを示すことが知られています。

    一般的な副作用

    殺細胞性の経口抗がん剤と分子標的薬では、現れやすい副作用が異なります。

    種類

    主な副作用

    殺細胞性抗がん剤

    吐き気・食欲不振・下痢・口内炎・手足のしびれ・倦怠感・脱毛・白血球や血小板の減少、手足症候群(皮膚がむけたりヒリヒリする)など

    EGFRチロシンキナーゼ阻害薬

    ざ瘡様皮疹・皮膚乾燥などの皮膚障害(高頻度)。骨髄抑制・脱毛は比較的少ない

    VEGF標的薬

    高血圧・タンパク尿・創傷治癒遅延など

    ALK阻害薬

    視覚障害・肝機能障害など

    白血球が減ると感染症にかかりやすくなるため、手洗い・うがいなどの予防が重要です。殺細胞性抗がん剤による副作用の多くは、治療終了後に徐々に回復します。

    副作用を軽減するための工夫

    副作用の種類に応じた対策をとることで、治療の継続性が高まりQOLの維持につながります。

    ・吐き気:吐き気止めを予防的に使用。食事は無理せず食べられるものを少量ずつ

    ・口内炎:歯磨き・うがいで口腔内を清潔に保つ

    ・手足症候群:保湿クリームでこまめにケア。摩擦や刺激を避ける

    ・脱毛:治療前に髪を短くしておくと管理しやすい。医療用ウィッグや帽子の活用も有効

    ・EGFR阻害薬による皮膚障害:保湿剤・ステロイド外用薬の使用、抗菌薬の予防投与

    ・高血圧:降圧薬を使用

    ・タンパク尿:定期的な尿検査を実施し、必要に応じて休薬または減量

    日常生活における副作用管理

    自宅で過ごす時間が長い経口抗がん剤治療では、日々の生活の中で副作用と上手に付き合うことが大切です。

    体調の変化に気づいたらすぐに病院へ連絡しましょう。特に発熱・激しい下痢・出血は早めの対応が必要です。疲れを感じたら無理せず休息をとり、軽い運動やストレッチ、ぬるめのお風呂も倦怠感の軽減に役立ちます。食事面で不安があれば管理栄養士への相談も可能です。

    分子標的薬を服用している場合は、以下の点にも注意が必要です。

    ・定期的な血液検査・画像検査によるモニタリングを欠かさない

    ・服薬タイミング(空腹時・食後など)は薬剤ごとに異なるため正確に守る

    ・他の薬剤・サプリメント・グレープフルーツなどとの相互作用に注意する

    症状や気になることは記録しておくと、診察時に医師へ伝えやすくなります。こうしたサポートを積極的に活用していきましょう。

    飲む抗がん剤、特に分子標的薬は、正常細胞への影響を最小限に抑えながらがん細胞を標的とすることで、QOLを維持しつつ効果的な治療を実現する、がんゲノム医療時代の重要な選択肢となっています。

    当院の実例

    抗がん剤(ジェムザール+飲む抗がん剤TS-1)の副作用で減量したうえで樹状細胞ワクチン療法を併用し、原発巣と肝転移の消失、腫瘍マーカーの正常化が確認された膵臓がんステージⅣ・63歳男性

    手術不能の膵臓がんステージⅣ(肝転移)の方です。ジェムザールと経口抗がん剤TS-1を2コース行った時点で進行が止まりましたが、副作用が出たため投与量を減量し、樹状細胞ワクチン療法を併用しました。その後の経過で原発巣と肝転移の消失、腫瘍マーカーの正常化が確認されています。副作用で薬の量を落とさざるを得ないときに、免疫療法を足して治療の力を補った一例です。

    症例の詳細を見る →

    ※個別の症例であり、治療効果には個人差があります。減量や併用の判断は主治医と相談してください。

    患者さま・ご家族様へ

    当グループには、免疫療法の専門医師に加えてがん薬物療法専門医が4名在籍しており、分子標的薬のご相談から処方まで、ワンストップで対応しています。

    特に強みとしているのは、遺伝子パネル検査の結果解釈(病的意義の判定、治療標的・治験参加の可能性・コンパニオン診断の整理)、世界最新の論文・ガイドライン・学会発表の継続的なリサーチとご提案への迅速な対応、そして何よりも患者さまの価値観や費用面を踏まえた治療方針のご提案です。また、主治医の先生との関係を重視しており、医療連携においても豊富な実績がございます。

    遺伝子や免疫の分野は難解な言葉が多いため、専門用語は”患者さまの言葉”に置き換えて、メリット・デメリット、費用や通院ペース、副作用対策まで、納得いただけるまで丁寧にご説明いたします。セカンドオピニオンやオンライン相談にも対応しております。

    『標準治療に加えて、遺伝子パネル検査に基づいたゲノム医療(プレシジョンメディシン)や日常生活の工夫を含めて、患者さまに合った治療計画をご提案』
    それを、どこよりも実践しているクリニックグループと自負しております。

    分子標的薬や免疫治療、それに関連する最新治療について、ご興味やご希望がございましたら、どうぞ気兼ねなくご相談ください。

    よくある質問

    飲む抗がん剤を飲み忘れたら、どうすればよいですか?

    気づいた時刻によって対応が変わります。多くの薬は「次の服用まで十分に時間があれば1回分を飲み、近ければ飛ばして次から通常どおり」が原則で、2回分をまとめて飲んではいけません。薬ごとに決まりが違うので、処方時にもらう説明書か薬剤師に確認し、飲み忘れが続く場合は服薬カレンダーやアプリを使ってください。

    飲む抗がん剤で特に注意する副作用は何ですか?

    下痢、口内炎、手足症候群(手のひら・足の裏の赤み・痛み)、皮膚の発疹、白血球の減少です。1日4回以上の水様の下痢、38度以上の発熱、食事がとれない口内炎は、その日のうちに受診してください。手足症候群は保湿と摩擦を避けることで軽くできます。自己判断で中止せず、減量や休薬を主治医と相談するのが長く続けるコツです。

    飲む抗がん剤と免疫療法は併用できますか?

    できます。経口抗がん剤で腫瘍を抑えながら、樹状細胞ワクチン療法などの免疫療法を重ねる設計は当院でよく行っています。副作用で抗がん剤を減量した分を免疫の側で補う考え方です(膵臓癌の標準治療、分子標的薬治療の案内)。免疫チェックポイント阻害薬と一部の分子標的薬の同時使用は副作用が増えるため、組み合わせは治療歴を見て決めます。

    いま飲んでいるお薬のこと、
    当院に相談してみませんか?

    副作用がつらい。効いているのかわからない。
    経口の抗がん剤は、免疫を抑える作用が比較的おだやかなものが多くあります。
    そのため、免疫療法との併用を検討できる場合があります。お薬の名前とこれまでの経過をうかがったうえで、ひとつずつご説明します。ご相談は無料です。

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      監修医師:矢﨑 雄一郎医師

      監修医師

      矢﨑 雄一郎医師

      免疫療法・研究開発

      東海大学医学部を卒業後、消化器外科医として医療機関に従事したのち、東京大学医科学研究所で免疫療法(樹状細胞ワクチン療法)の開発に従事。現在はプレシジョンメディカルケア理事長として活躍中。専門分野は免疫療法及び消化器外科。著書『免疫力をあなどるな!』をはじめ、医学書の執筆も手がけ、医療知識の普及にも貢献。免疫療法の開発企業であるテラ株式会社の創業者。

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