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TOP コラム がんは遺伝する?環境要因と遺伝子変異のメカニズム

投稿日:2022.7.4/更新日:2024.12.31

がんは遺伝する?環境要因と遺伝子変異のメカニズム

がんは「遺伝子の病気」と言われています。プレシジョンクリニックグループでは、遺伝子検査を通じて、遺伝子の異常(変異)に合った免疫療法、抗がん剤治療、いわゆるゲノム医療(プレシジョンメディシン)を行なっています。

ゲノム医療とは、患者様に“遺伝子検査”を受けて頂き、血液中に含まれる患者様の“がん細胞”から抽出された遺伝子のかけらを調べ、その異常部分を標的としたお薬(分子標的薬)や免疫療法を処方する治療法です。このように、がん発症の原因を「患者様の遺伝子の変異」として特定し、日々診療を行っています。

では、がんは「遺伝する病気」なのでしょうか?今回は、がんと遺伝の関係について詳しくご紹介します。

遺伝が原因となるがんは全体の約5%

「がんの発生は遺伝するのか」という問いに対し、NEWSポストセブンの記事によると、遺伝が直接の原因となるがんは全体の約5%であることがわかりました。

がんの発生は遺伝するのか「日本人10万人調査」でわかった最新の研究結果|NEWSポストセブン


これは、多くのがんが遺伝だけでなく、環境や生活習慣、年齢などの要因が複雑に絡み合って発症することを示しています。

環境や生活習慣が原因となる要因

たとえば、以下の要因ががんリスクを高めることが知られています。

  • 喫煙:肺がん、口腔がんなど多くのがんのリスク要因となる。
  • 過度の飲酒:肝臓がん、食道がんのリスクが上昇。
  • 不健康な食生活:加工食品や脂肪分の多い食事はがんのリスクを高める。
  • 運動不足や肥満:特に大腸がんや乳がんに影響。
  • 紫外線への過剰暴露:皮膚がん(特に悪性黒色腫)のリスク要因。

 

遺伝が原因となるがんについて

遺伝が原因となるがんについても、適切な知識を持つことが重要です。遺伝性のがんは、特定の家族歴や遺伝子の変異が関与しており、早期発見や予防のための検査や対策が有効とされています。

代表的な遺伝性がんと関連遺伝子

  • 乳がん・卵巣がん:BRCA1、BRCA2の遺伝子変異が関与。これらの変異がある場合、がんの発症リスクが大幅に上昇します。
  • 大腸がん:Lynch症候群に関連するMLH1やMSH2といった遺伝子の異常が関係。
  • 膵臓がん:家族歴や特定の遺伝子(例:BRCA2、CDKN2A)の異常がリスク要因。

遺伝性がんの対策

家族歴がある場合には、遺伝カウンセリングや遺伝子検査を受けることで、がんリスクを早期に把握し、予防的手段(定期検診、予防的手術など)を検討できます。

 

遺伝子変異のタイプ:生殖細胞変異と体細胞変異

一方、遺伝とは関係なく、後天的に遺伝子の異常(変異)を来すことで発生するがんのタイプもあります。がんの原因となる遺伝子変異は、大きく分けて以下の2種類があります。

1. 生殖細胞変異

  • 特徴
    精子や卵子などの生殖細胞に生じる変異で、次世代に引き継がれる可能性があります。これが原因となる場合、家族性のがんが発生します。
  • 影響
    家族単位で同じ種類のがんが発生しやすく、乳がんや大腸がん、卵巣がんなどに見られます。

  • BRCA1/BRCA2変異を持つ場合、乳がんや卵巣がんのリスクが通常よりも大幅に上昇します。

2. 体細胞変異

  • 特徴
    体を構成する細胞に加齢や環境要因(喫煙、紫外線など)で後天的に発生する変異。これは遺伝せず、個人の健康にのみ影響します。
  • 影響
    肺がんや皮膚がん、胃がんなど、生活習慣や環境因子が原因で発生するがんに多く見られます。

  • 喫煙による肺がん、紫外線暴露による皮膚がん。

生活習慣の改善によるがん予防

環境要因や生活習慣は、がんの発生リスクに大きく関与しています。健康的な生活を心がけることで、がんの発症を予防できる可能性があります。

予防策の例:

  • 禁煙:肺がんだけでなく、口腔がんや膀胱がんのリスクも減少します。
  • 飲酒量の制限:節度ある飲酒により肝臓や食道がんのリスクを低下。
  • 健康的な食生活:野菜や果物を多く摂り、塩分や加工食品を控える。
  • 適度な運動:体重管理とともにがんリスクの低下が期待されます。
  • 定期的な検診:早期発見と治療が可能になります。

 

まとめ

がんの発生には遺伝と環境要因が密接に関係しています。遺伝性がんは全体の約5%に過ぎませんが、家族歴がある場合は遺伝子検査やカウンセリングが重要です。また、大多数のがんは環境や生活習慣に起因するため、日常生活の改善が予防に大きく寄与します。プレシジョンクリニックでは、遺伝子検査と最新の治療法を通じて、患者様一人ひとりに合わせた治療を提供しています。早期発見と予防を重視し、がんリスクを下げる取り組みをサポートしています。

監修医師

岡崎 能久医師

内視鏡診断/治療・研究開発

大阪大学医学部を卒業後、同大学院の修士課程を終了したのち、関西地方を中心に医療に従事、現在はプレシジョンクリニック名古屋院長として活躍中。専門は内視鏡診断および治療・研究開発。日本内科学会認定医や日本消化器病学会専門医、日本医師会認定産業医などの認定医を保有。