投稿日:2024.4.23/更新日:2024.10.22
難治性脳腫瘍:グリオブラストーマへのCAR-T療法の治験論文です。
こうした難治癌に対する新治療開発も世界中で活発に行われています。
開発スピードの速さには驚くばかりです。
『Intrathecal bivalent CAR T cells targeting EGFR and IL13Rα2 in recurrent glioblastoma: phase 1 trial interim results』
Nature Medicine 13 March 2024
再発性グリオブラストーマ(rGBM)は、いまだ未解決の重要な医学的ニーズであり、中央値全体生存率は1年未満です。
今回、表皮成長因子受容体(EGFR)とインターロイキン-13受容体アルファ2(IL13Rα2)を標的とする2重キメラ抗原受容体(CAR)T細胞を
脳脊髄液内投与する第1相試験におけるrGBMの6人の患者症例を報告です。
本研究の主要評価項目は安全性と最大許容量決定です。
中間解析で報告された2次評価項目には、製造失敗頻度と修正神経腫瘍学的評価基準に従った放射線画像学的応答(ORR)が含まれます。
6人患者全員が治療時に進行性多発性疾患を有していました。
投与量レベル1(1×10^7細胞;n=3)および投与量レベル2(2.5×10^7細胞;n=3)の両方で、CART-EGFR-IL13Rα2細胞の投与は、早期発症神経毒性と関連しており、免疫効果細胞関連神経毒性症候群(ICANS)は、高用量デキサメタゾンとアナキンラ(抗IL1R)で管理されました。
投与量レベル2の1人の患者が投与限界毒性(グレード3の食欲不振、全身筋力低下、疲労)を経験しました。
初期MRI検査時間点での造影増強と腫瘍サイズ減少は、6人全員で観察されましたが、いずれもORR基準を満たしませんでした。
探索的評価項目分析で、6人全員の脳脊髄液中でCART細胞の多さ、サイトカイン放出が検出されました。
この初のヒトデータを総合すると、CART-EGFR-IL13Rα2細胞がrGBMにおける安全性と生物活性を示していることが明らかになりました。
早期有効性も検出され、追加患者と長期のフォローアップでの確認が必要です。
NCT05168423
プレシジョンクリニック名古屋院長
岡崎監修
大阪大学医学部を卒業後、同大学院の修士課程を終了したのち、関西地方を中心に医療に従事、現在はプレシジョンクリニック名古屋院長として活躍中。専門は内視鏡診断および治療・研究開発。日本内科学会認定医や日本消化器病学会専門医、日本医師会認定産業医などの認定医を保有。
略歴:
2001/3
大阪大学医学部卒業
2001/6
大阪大学医学部附属病院内科研修医
2002/6
大阪厚生年金病院 内科 研修医