投稿日:2024.12.8/更新日:2024.12.11
大腸癌の一部では、遺伝子パネル検査によりMSI-HまたはdMMRが確認されます。このタイプのがんは、従来の化学療法に対する反応性が低いことが知られており、新たな治療法の必要性が高まっています。
『Nivolumab plus Ipilimumab in Microsatellite-Instability-High Metastatic Colorectal Cancer』NEJM NOV 28, 2024CME として発表された第3相非盲検試験では、MSI-H/dMMRを有する転移性大腸癌患者に対して、免疫チェックポイント阻害薬であるニボルマブ(オプジーボ)とイピリムマブ(ヤーボイ)の併用療法が評価されました。
高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはミスマッチ修復機構欠損(dMMR)を有する転移性大腸癌患者を対象にした第3相非盲検試験です。治療効果を比較するために、以下の3群に無作為に割り付けられました。
転移性大腸癌患者303例が無作為に割り付けられ、255例がMSI-H/dMMRと確認されました。追跡期間中央値31.5ヵ月において、以下のような結果が得られました。
無増悪生存期間(PFS)は以下の通りです。
MSI-H/dMMRを有する転移性大腸癌患者において、ニボルマブ+イピリムマブは化学療法よりも無増悪生存期間が長く、治療選択肢として有望です。この治療法は、特に化学療法に対して耐性を示す患者に対する新たな希望となる可能性があります。
監修医師
岡崎 能久医師
内視鏡診断/治療・研究開発
大阪大学医学部を卒業後、同大学院の修士課程を終了したのち、関西地方を中心に医療に従事、現在はプレシジョンクリニック名古屋院長として活躍中。専門は内視鏡診断および治療・研究開発。日本内科学会認定医や日本消化器病学会専門医、日本医師会認定産業医などの認定医を保有。