投稿日:2024.12.8/更新日:2026.9.21
この記事でわかること
大腸癌の一部では、遺伝子パネル検査によりMSI-HまたはdMMRが確認されます。このタイプのがんは、従来の化学療法に対する反応性が低いことが知られており、新たな治療法の必要性が高まっています。
『Nivolumab plus Ipilimumab in Microsatellite-Instability-High Metastatic Colorectal Cancer』NEJM NOV 28, 2024CME として発表された第3相非盲検試験では、MSI-H/dMMRを有する転移性大腸癌患者に対して、免疫チェックポイント阻害薬であるニボルマブ(オプジーボ)とイピリムマブ(ヤーボイ)の併用療法が評価されました。
高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはミスマッチ修復機構欠損(dMMR)を有する転移性大腸癌患者を対象にした第3相非盲検試験です。治療効果を比較するために、以下の3群に無作為に割り付けられました。
転移性大腸癌患者303例が無作為に割り付けられ、255例がMSI-H/dMMRと確認されました。追跡期間中央値31.5ヵ月において、以下のような結果が得られました。
無増悪生存期間(PFS)は以下の通りです。
MSI-H/dMMRを有する転移性大腸癌患者において、ニボルマブ+イピリムマブは化学療法よりも無増悪生存期間が長く、治療選択肢として有望です。この治療法は、特に化学療法に対して耐性を示す患者に対する新たな希望となる可能性があります。
当院の実例
手術適応外の大腸がんステージ4(多発肝転移)に抗がん剤(XELOX)と樹状細胞ワクチン療法を併用し、原発巣と肝転移が画像上消失して病理でも完全寛解を確認した症例
多発肝転移のため手術適応外と判定され、抗がん剤(ゼローダ+オキサリプラチン)を開始。当院で樹状細胞ワクチン療法(7回・1クール)を並行して行いました。ワクチン終了後の免疫評価では、大腸がん細胞だけを狙うキラーT細胞が治療前の30倍に増加。大腸の原発がんと多発肝転移はともに画像上消失し、病理検査で完全寛解(CR)が確認されました。免疫チェックポイント阻害薬の対象にならない大腸がんでも、「がん特異的な免疫を作る」道があることを示す一例です。
※個別の症例であり、治療効果には個人差があります。同じ結果をお約束するものではありません。
手術や生検の組織でミスマッチ修復たんぱく(MLH1・MSH2・MSH6・PMS2)の免疫染色を行うか、MSI検査・遺伝子パネル検査で判定します。転移のある大腸がんでは保険で検査できます。結果の解釈と次の治療の相談は当院でも承ります。
免疫チェックポイント阻害薬単独では効果が乏しいと報告されていますが、当院では抗がん剤や放射線でがん抗原を放出させ、樹状細胞ワクチン療法でがん特異的な免疫を誘導する設計を行っています。症例ページに大腸がんの経過を公開しています。
MSI-Hの切除不能・転移性大腸がんに対しては、2026年時点で日本でも保険適用があります。主治医の施設で受けられる治療なので、まずは検査結果を主治医にご確認ください。
監修医師
岡崎 能久医師
内視鏡診断/治療・研究開発
大阪大学医学部を卒業後、同大学院の修士課程を終了したのち、関西地方を中心に医療に従事、現在はプレシジョンクリニック名古屋院長として活躍中。専門は内視鏡診断および治療・研究開発。日本内科学会認定医や日本消化器病学会専門医、日本医師会認定産業医などの認定医を保有。