PD-L1の評価には、腫瘍組織におけるPD-L1発現量を測定するいくつかの指標が使われています。代表的なものが**CPS(Combined Positive Score)とTPS(Tumor Proportion Score)**です。それぞれの概要は以下の通りです。
1. CPS(Combined Positive Score)
CPSは、腫瘍細胞だけでなく、免疫細胞にもPD-L1が発現しているかを評価する指標です。具体的には、腫瘍細胞、リンパ球、マクロファージにおけるPD-L1陽性細胞の数を合計し、それを腫瘍細胞の総数で割って算出されます。
- CPS = (PD-L1陽性腫瘍細胞 + PD-L1陽性免疫細胞の数) ÷ 腫瘍細胞の総数 × 100
- スコアの範囲は0から100までで、1以上でPD-L1陽性と見なされることが多いです。
CPSは、特に免疫チェックポイント阻害薬の有効性を評価する際に使われることが多く、胃がんや頭頸部がんなどのいくつかのがんで用いられています。
2. TPS(Tumor Proportion Score)
TPSは、腫瘍細胞におけるPD-L1発現の割合を評価する指標です。PD-L1陽性の腫瘍細胞数を、腫瘍全体の腫瘍細胞数で割ってパーセンテージで表します。
- TPS = PD-L1陽性腫瘍細胞の数 ÷ 腫瘍細胞の総数 × 100
- スコアは0から100%までの範囲で、がんの種類によってPD-L1陽性の基準値が異なります。例えば、TPSが50%以上でPD-L1陽性とする基準が使われることが多いです。
TPSは、主に非小細胞肺がん(NSCLC)の治療における免疫療法の適応を判断するために広く使用されています。
違いと適用
- CPSは、腫瘍細胞だけでなく免疫細胞にもPD-L1発現を考慮するため、より広い範囲の評価が可能です。
- TPSは、腫瘍細胞に限定してPD-L1発現を評価するため、特定のがんにおける免疫チェックポイント阻害薬の効果を見極める際に使われます。