2024.11.12
HLAクラスI分子であるHLA-A、HLA-B、HLA-Cは、それぞれ抗原呈示の役割を担い、免疫細胞、特にCD8+ T細胞に抗原を提示して免疫応答を引き起こしますが、必ずしも同等に抗原提示を行っているわけではありません。
発現量の違い:HLAクラスI分子の中でも、HLA-AとHLA-Bは通常、HLA-Cに比べて発現量が高いことが知られています。これは、抗原提示や免疫応答の刺激において、HLA-AやHLA-Bの方が主に機能していると考えられる理由の一つです。
抗原結合性の違い:HLA-A、HLA-B、HLA-Cはそれぞれ異なる抗原結合ポケットを持ち、異なる抗原ペプチドと結合しやすい性質があります。このため、感染病原体や腫瘍関連抗原に対して、各HLAクラスI分子が結合するペプチドの種類が異なることがあり、それによって異なる免疫応答が引き起こされることがあります。
免疫監視と免疫逃避:HLA-CはNK細胞による免疫監視において重要な役割を果たすことが知られています。HLA-Cの一部のアロタイプは、NK細胞のKIR(キラー細胞免疫グロブリン様受容体)と結合してNK細胞の活性化を抑制する役割があり、他のHLAクラスI分子と異なる機能を持つ点で、抗原提示の仕組みも少し異なる役割を担っていると考えられます。
免疫応答の強度:研究によれば、HLA-B分子はHLA-AやHLA-Cに比べ、ウイルス感染などに対する免疫応答において強い役割を果たすことが多く、特にHIVなどの慢性感染において、HLA-Bは疾患進行に関与することが示されています。
したがって、HLA-A、HLA-B、HLA-Cはそれぞれ抗原提示機能を持ちますが、発現量や結合する抗原、免疫細胞との相互作用の点で違いがあり、それが免疫応答に与える影響も異なっています。