肛門管がんステージ4の患者さまの治療経過

症例

3年以上通院されている、肛門管がん(ステージ4)の患者さまが来院されました。

当初肛門管がんのステージ3の診断で来院され、手術・抗がん剤治療(ご本人さまの強い意思があり)は受けられず、当グループの免疫療法+放射線治療(連携医療機関)+温熱療法(連携医療機関)を開始し、なんと完全寛解し、経過観察をしていました。

症例1)肛門管がんステージⅢ、手術・抗がん剤治療は行わず、免疫療法+放射線治療のみで長期安定

何よりも人工肛門になることなく、また抗がん剤の副作用(特に脱毛)に悩まされることなく生活できていたため、大変喜ばれていました。

治療後約3年間安定していましたが、新たに大動脈周囲のリンパ節と左鎖骨上のリンパ節に転移が発覚(ステージ4)。当院で治療を再開することになりました。

前回当院で受けられた自分のがん組織を用いた免疫療法(樹状細胞ワクチン療法)+放射線療法に加えて、今回は免疫チェックポイント阻害剤(オプジーボ)を併用しました。放射線療法については大動脈周囲のリンパ節のみを照射することになりました。

約半年間による再治療結果ですが、放射線を当てた大動脈周囲リンパ節転移のみならず、遠隔転移である鎖骨上のリンパ節も綺麗に消失し、完全寛解することができました。

これは放射線療法の先生と取り組んできた、免疫療法の組み合わせによるアブスコパル効果※ではないかと考えられ、今回の経過は放射線療法の先生もびっくりされていました。

免疫を目覚めさせる、アブスコパル効果をご存知ですか?①
免疫を目覚めさせる、アブスコパル効果をご存知ですか?②

この患者さまは、免疫細胞注射をするたびに免疫反応が強く出る方ですが、抗がん剤を受けられなかった分、免疫がよく維持されていた可能性があります。

再発のステージ4という状況ですので、気を抜かず、引き続き3ヶ月に一度のペースでプレシジョン免疫療法を継続していきます。

なお、この患者さまはご本人さまの意向で抗がん剤治療は行っていませんが、当グループは基本的に標準治療である抗がん剤治療はするように説明しております。

プレシジョン免疫療法の治療期間・回数:
樹状細胞ワクチン療法(2セット目を継続)
免疫チェックポイント阻害剤(3回投与)
放射線療法(他院で実施)
温熱療法(他院で実施)

費用:
樹状細胞ワクチン療法(約280万円/セット(7回))
免疫チェックポイント阻害剤(約25万円/回)
放射線療法(他院にて実施)
温熱療法(他院で実施)
※費用は患者様の治療計画によって異なります。詳しくはご相談ください。

プレシジョンクリニックグループ
医師 矢﨑