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原発性肺がんに抗がん剤を用いず、手術と樹状細胞ワクチン療法で再発予防を行いながら出産に至ったAYA世代の症例|プレシジョンクリニック

この症例のポイント


軟骨肉腫の肺転移で肺の手術を受けたのち、新たに現れた肺の影が別の「原発性肺がん」だったAYA世代(15〜39歳)の女性。肺の影=転移とは限らないことを示す一例。


主治医から「抗がん剤は効果の割に副作用が強い」と説明を受け、抗がん剤を用いず、手術と免疫療法(樹状細胞ワクチン療法)で再発予防を行った。


肺がん・肉腫とも再発なく安定。のちの治療の際は妊孕性温存(受精卵の保存)を経て、2019年に出産。現在も元気に子育て中。

肺がんで「抗がん剤以外の選択肢」をお探しの方へ

この症例では——
原発性肺がんに対し抗がん剤を用いず、手術と樹状細胞ワクチン療法で再発なく安定し、のちに出産という願いも叶えられました。

「肺がんで抗がん剤の副作用が心配」「手術後の再発予防を相談したい」「若くしてがんになり将来も考えたい」という方は、まずご相談ください。

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原発性肺がんとは

原発性肺がんは、肺そのものの細胞から発生するがんで、組織型により非小細胞肺がん(腺がん・扁平上皮がんなど)と小細胞肺がんに大きく分けられます。早期であれば手術(切除)が治療の中心となり、進行度に応じて薬物療法(抗がん剤・分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬)や放射線治療が組み合わされます。

手術で切除できる早期肺がんでは、術後に再発を減らす目的で補助化学療法(抗がん剤)を行うことがありますが、その適応は病期・リスク・全身状態・ご本人の希望をふまえて判断されます。

「肺の影」は転移とは限らない ― 転移性肺腫瘍と原発性肺がん

肺に影(結節)が見つかったとき、それが何かによって治療方針は大きく変わります。ほかの臓器のがんが肺に転移した転移性肺腫瘍と、肺そのものから発生した原発性肺がんとでは、治療の考え方が異なるためです。

本症例は、まず軟骨肉腫の肺転移で肺の手術を受けましたが、その後に現れた肺の影は転移ではなく、別に発生した原発性肺がんでした。過去にがんの既往がある方でも、新たな肺の影が「転移」とは限らず「新しい原発性肺がん」のことがあります。影の性質を見極めるために、画像検査に加え、必要に応じて生検や手術で確認します。

肺の影の種類 特徴
転移性肺腫瘍 ほかの臓器のがんが肺に転移したもの。もとのがんの性質に応じて治療する。
原発性肺がん(本症例で新たに発生) 肺そのものから発生したがん。早期なら手術が中心。転移とは別に治療方針を立てる。

抗がん剤を使わない選択と、免疫療法による再発予防

手術で切除できた肺がんでも、再発予防が課題になります。抗がん剤(補助化学療法)は再発リスクを下げる一方、副作用を伴うため、効果とのバランスで実施を判断します。本症例では、主治医から「抗がん剤は効果の割に副作用が強い」との説明を受け、抗がん剤を行わない方針となりました。その再発予防手段として、当グループでは樹状細胞ワクチン療法(SynerTri®のアクセル)を検討することがあります。ただし標準治療を行わない選択にはリスクもあるため、病状を十分に評価したうえで個別に判断します。

AYA世代(思春期・若年成人)のがんについて

AYA世代とは、Adolescent and Young Adult(思春期・若年成人)の略で、日本ではおおむね15〜39歳を指します。就学・就職・結婚・妊娠出産・子育てといった人生の大きな節目と治療の時期が重なりやすいため、病気だけでなく、将来の生活設計まで見据えた治療選択が大切になります。本症例の患者さまも、20代でがんを発症したAYA世代であり、のちに「出産」という願いと治療を両立されました。

がん治療と「妊孕性温存」という選択

抗がん剤治療は、妊娠する力(妊孕性)に影響を与えることがあります。そのため、将来の妊娠・出産を希望される方、とくにAYA世代では、治療を始める前に受精卵や卵子を凍結保存しておく「妊孕性温存」が検討されます。本症例でも、のちの骨肉腫に対する抗がん剤治療を始める前に受精卵を保存し、治療後に体外受精を経て出産に至りました。ご希望がある場合は、早い段階で主治医に伝えることが重要です。

よくある質問(FAQ)

Q. 肺に影が見つかりました。転移と原発性肺がんはどう違うのですか?
肺の影には、ほかの臓器のがんが肺に転移した「転移性肺腫瘍」と、肺そのものから発生した「原発性肺がん」があり、治療方針が異なります。本症例では、はじめは軟骨肉腫の肺転移でしたが、のちに出現した影は別の原発性肺がんでした。肺の影は種類の見極めが重要で、必要に応じて生検や手術で確認します。
Q. 早期の肺がんで、抗がん剤を使わない選択はありますか?
手術で切除できる早期の肺がんでは、手術が治療の中心となり、術後の抗がん剤(補助化学療法)を行うかは病期やリスクにより判断されます。本症例では、主治医から「抗がん剤は効果の割に副作用が強い」との説明を受け、抗がん剤を行わず、再発予防を目的に樹状細胞ワクチン療法を実施しました。ただし標準治療を行わない選択にはリスクもあり、個別の検討が必要です。
Q. 肺がんの治療後に妊娠・出産はできますか?
抗がん剤治療は妊娠する力(妊孕性)に影響することがあるため、将来の妊娠を希望される場合は治療前に受精卵や卵子を保存する「妊孕性温存」が検討されます。本症例では、のちの骨肉腫に対する抗がん剤治療の前に受精卵を保存し、治療後に体外受精を経て出産に至っています。

原発性肺がんに抗がん剤を用いず、手術と樹状細胞ワクチン療法で再発予防を行いながら出産に至った症例

以下は、軟骨肉腫の肺転移に続いて原発性肺がんが見つかった34歳(AYA世代)女性が、抗がん剤を用いず手術と樹状細胞ワクチン療法で再発予防を行い、のちに出産に至った症例です。治療効果には個人差があり、同様の結果を保証するものではありません。

原発性肺がん
転移性肺腫瘍
軟骨肉腫
AYA世代・34歳 女性
再発なく安定
出産

患者情報

項目 内容
診断名 原発性肺がん(軟骨肉腫の肺転移に続いて発生)、軟骨肉腫、骨肉腫(第五頸椎)
既往歴 2歳時に良性骨腫瘍
紹介元 T大学 整形外科
年齢・性別 34歳 女性(AYA世代)
治療法 肺の複数回の外科的切除+樹状細胞ワクチン療法(抗がん剤を用いない再発予防)/のちに骨肉腫に対して抗がん剤治療
治療期間・回数 樹状細胞ワクチン療法は、1セット(7回)を1つのクール(治療単位)として実施します。本療法は、最初のクールを終えたあとも治療を継続される方が多くいらっしゃいます。
治療費 当院の治療はすべて自費診療(保険適用外)です。費用は改定される場合があるため、最新の金額は料金表をご確認ください。なお、クール終了後に治療を継続される場合は、別途費用がかかります。

治療経過

時期 内容
2009年 軟骨肉腫の診断で手術。右肺に影が見つかり経過観察していたが、同年、新たな肺の影が出現したため手術。軟骨肉腫の肺転移と診断された。
2010年7月 新たに右肺に影を認め手術したところ、今度は転移ではなく原発性の肺がんと診断。主治医から「抗がん剤治療はあまり効果がない割に副作用が強い」との説明を受け、抗がん剤治療は行わなかった
2011年6月 再発予防を目的に、樹状細胞ワクチン療法を開始。
2012年 手術2年後も再発がないため、投与を1か月間隔から2か月間隔に変更。
2014年 その後も経過良好のため、樹状細胞ワクチン療法は中止となった。
2017年2月 治療終了3年後、第五頸椎に骨肉腫が発覚。抗がん剤治療を勧められたが、妊娠を希望されていたため、受精卵を保存したうえで抗がん剤治療を行うことになった。
2018年 その後の経過は良好であったため、体外受精を実施。
2019年7月 無事に第一子を出産
現在 原発性肺がん・軟骨肉腫とも再発なく安定。全身状態は変わらず良好で、元気に子育て中。樹状細胞ワクチン療法の再開に向けて当グループへ再来院された。

治療の考え方(SynerTri®)

当グループでは、標準治療(抗がん剤)を土台としつつ、プラスアルファで免疫の働きで後押ししていきます。進行がんでも免疫の働きを強化するために、患者さまの状況に応じて複合的に免疫を改善させる独自のプロトコルSynerTri®(シナトリ/学術名 iCCI)で個別に免疫治療を設計します。

本症例では、原発性肺がん・肺転移巣を局所療法〈スイッチ〉として手術で切除したうえで、抗がん剤を用いない方針となったため、免疫を活性化する〈アクセル〉である樹状細胞ワクチン療法で再発予防を行いました。経過が良好であったことから投与間隔を延ばし、約3年で中止としています。その後の骨肉腫に対しては、妊孕性温存(受精卵の保存)を経て抗がん剤治療が行われました。

副作用・リスク

樹状細胞ワクチン療法の副作用は基本的にほとんど認められませんが、以下の可能性があります。なお、未知の副作用が起こる可能性は否定できません。

  • 成分採血時:めまい・吐き気(迷走神経反射)、口の周り・手足のしびれ等
  • 細胞培養時:細菌等による培養汚染リスク
  • ワクチン接種時:注射部位の発赤・皮疹・発熱

治療効果には個人差があります。同様の効果を保証するものではありません。

肺がんで「抗がん剤以外の選択肢」をお探しの方へ

肺がんの手術後の再発予防や、抗がん剤以外の選択肢について、現在の治療歴・体力・検査結果をもとに個別に治療を設計します。将来の妊娠・出産のご希望も含め、まずはご相談ください。

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矢﨑雄一郎 プレシジョンクリニック東京院長
監修:矢﨑 雄一郎 医師
プレシジョンクリニック 東京院長 / 医療法人社団プレシジョンメディカルケア理事長
東海大学医学部を卒業後、消化器外科医として医療機関に従事したのち、東京大学医科学研究所で免疫療法(樹状細胞ワクチン療法)の開発に従事。現在はプレシジョンメディカルケア理事長として活躍中。専門分野は免疫療法及び消化器外科。約6,000症例の免疫療法を主導し、進行がんにおける個別化免疫治療(SynerTri®)プロトコルを確立。著書『免疫力をあなどるな!』をはじめ、医学書の執筆も手がけ、医療知識の普及にも貢献。免疫療法(樹状細胞ワクチン)の開発企業であるテラ株式会社の創業者。

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