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ホルモン受容体陽性の乳がんと診断された50代女性|標準治療と並行して樹状細胞ワクチン療法を続けた経過

この症例のポイント

  • 相談時の状況:左の乳房のしこりに気づいて受診し、乳がん(ホルモン受容体陽性)と診断された50代の女性です。主治医から手術・ホルモン療法・抗がん剤を提案されていた、診断直後の時期に当院へ相談がありました。
  • 検討した課題:主治医のもとで進める標準治療と並行して、再発予防を目的に加えられる治療があるかを検討しました。
  • 行った治療と経過:手術と術後の放射線治療のあと、抗がん剤(AC療法)を始めた翌月から、樹状細胞ワクチン療法を併用しました。その後、抗がん剤はドセタキセルに変わり、ホルモン療法(タモキシフェン)と TS-1 の内服に移りました。診断から3年以上の時点で、検査で再発は認められていません。樹状細胞ワクチン療法は、現在は半年ごとに続けています。

乳がんと診断され、
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    Case Report ─ 当院で治療を行った乳がんの症例

    乳がん50代ホルモン受容体陽性乳房部分切除・放射線治療抗がん剤 AC療法・ドセタキセルホルモン療法 タモキシフェンTS-1樹状細胞ワクチン療法診断から3年以上 再発なし

    乳がん(ホルモン受容体陽性)の診断直後から、標準治療と並行して樹状細胞ワクチン療法を続けた経過

    乳がん(ホルモン受容体陽性)と診断された直後に、当院へ相談があった患者さまの経過をご紹介します。手術・放射線治療・抗がん剤・ホルモン療法と並行して、樹状細胞ワクチン療法を続けてこられました。乳がんのタイプと標準治療の解説は、症例のあとにまとめています。

    患者情報

    項目 内容
    診断名 左乳がん(ホルモン受容体陽性)
    年齢・性別 50代 女性
    発見の契機 左乳房のしこりを自覚
    実施された手術・薬物療法 左乳房部分切除術、術後の放射線治療(合計20回)、抗がん剤(AC療法、ドセタキセル)、ホルモン療法(タモキシフェン)、TS-1(1年間)
    当院での治療 樹状細胞ワクチン療法(現在は半年ごと)

    相談時の状況と、検討した課題

    左の乳房のしこりに気づいて病院を受診し、左乳がん(ホルモン受容体陽性)と診断されました。主治医からは、手術・ホルモン療法・抗がん剤による治療が提案されていました。

    当院へのご相談は、その診断の時期でした。検討の課題は、主治医のもとで進める標準治療と並行して、再発予防を目的に加えられる治療があるかどうかでした。当院では、標準治療を続けていただきながら、樹状細胞ワクチン療法を併用しました。

    同年12月に左乳房の部分切除術を受けられ、翌年1月から術後の放射線治療(合計20回)、2月から抗がん剤のAC療法が始まりました。AC療法は、ドキソルビシン(商品名:アドリアシン®)とシクロホスファミド(商品名:エンドキサン®)を併用する治療です。樹状細胞ワクチン療法は、その翌月(3月)から始めています。

    その後、抗がん剤はドセタキセル(商品名:タキソテール®)に変わりました。8月からは、ホルモン療法のタモキシフェン(商品名:ノルバデックス®)に切り替わりました。9月からの1年間は、TS-1(一般名:テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム)の内服が加わっています。

    治療経過

    時期 内容
    20XX年9月 左乳房のしこりを自覚して受診。左乳がん(ホルモン受容体陽性)と診断。この時期に当院へ相談。
    同年12月 左乳房部分切除術。
    翌年1月〜 術後の補助療法として放射線治療(合計20回)。
    同年2月〜 抗がん剤(AC療法)を開始。
    同年3月〜 再発予防を目的に、当院で樹状細胞ワクチン療法を開始。
    同年5月〜 抗がん剤をドセタキセルに変更。
    同年8月〜 ホルモン療法(タモキシフェン)に切り替え。
    同年9月〜翌年8月 TS-1を内服(1年間)。その後はタモキシフェンのみ継続。
    診断から3年以上 検査で再発は認められていない。樹状細胞ワクチン療法は半年ごとに継続。
    乳がん(ホルモン受容体陽性)の診断のあと、手術・放射線治療・抗がん剤(AC療法・ドセタキセル)・ホルモン療法(タモキシフェン)・TS-1 と並行して樹状細胞ワクチン療法を続け、診断から3年以上の時点で再発が認められていない経過

    治療の考え方(SynerTri®)

    当グループでは、標準治療(抗がん剤)を土台としつつ、プラスアルファで免疫の働きで後押ししていきます。進行がんでも免疫の働きを強化するために、患者さまの状況に応じて複合的に免疫を改善させる独自のプロトコルSynerTri®(シナトリ/学術名 iCCI)で個別に免疫治療を設計します。

    本症例では、手術・放射線治療・抗がん剤・ホルモン療法という標準治療に、免疫を活性化することをねらう〈アクセル〉として、樹状細胞ワクチン療法を組み合わせました。手術のあとに体内に残っている可能性がある小さながん細胞に対して、免疫の面からも備えることを目的とした組み立てです。診断から3年以上の時点で再発が認められておらず、再発予防に寄与できた可能性はあると考えています。

    治療期間・回数/費用

    樹状細胞ワクチン療法は、1セット(7回)を1つのクール(治療単位)として実施します。本症例では、最初のクールのあとも投与を続け、現在は半年ごとに投与しています。本療法は、最初のクールを終えたあとも治療を継続される方が多くいらっしゃいます。

    当院の治療はすべて自費診療(保険適用外)です。費用は改定される場合があるため、最新の金額は料金表をご確認ください。なお、クール終了後に治療を継続される場合は、別途費用がかかります。

    副作用・リスク

    樹状細胞ワクチン療法の副作用は基本的にほとんど認められませんが、以下の可能性があります。

    • 成分採血時:口の周り・手足のしびれ、倦怠感、吐き気(迷走神経反射)等
    • 細胞培養時:細菌等による培養汚染リスク
    • ワクチン接種時:注射部位の発赤・皮疹・発熱

    本症例では、注射した部位に30〜100mmほどの発赤がみられました。

    また、併用した抗がん剤(AC療法・ドセタキセル)では、脱毛、吐き気、白血球の減少、手足のしびれなどがみられることがあります。ホルモン療法(タモキシフェン)では、ほてりや月経の変化などのほか、頻度は高くありませんが、血栓症や子宮内膜の変化が起こることがあります。本症例では、タモキシフェンによる副作用はみられていません。TS-1 では、白血球の減少、下痢、口内炎、色素沈着などが起こることがあります。

    ※治療効果には個人差があり、すべての患者さまに同様の結果が得られるとは限りません。また、本症例で用いた治療には、国内の保険適応や大規模臨床試験で標準治療として確立されていないものも含まれます。実際の治療は、リスクとベネフィットを評価し、ご本人の同意のもとで設計します。

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    【ご相談の流れ】

    ① お電話(医師または看護師が対応)またはフォームで、現在の状況をうかがいます
    ② 初診で、医師が検査結果などの資料を確認し、標準治療を含む選択肢と当院での治療の適否をご説明します
    ③ 費用とリスクをご説明します
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      ホルモン受容体陽性の乳がんとは ― 乳がんのタイプと治療の考え方

      乳がんは、がん細胞の性質によっていくつかのタイプに分けられます。ホルモン受容体(エストロゲン受容体・プロゲステロン受容体)をもつかどうか、HER2というたんぱく質が多いかどうかで、使う薬が変わります。

      ホルモン受容体陽性の乳がんは、女性ホルモンの働きで増えやすい性質をもちます。そのため、ホルモンの働きを抑えるホルモン療法が、治療の大きな柱になります。乳がんの中で最も多いタイプです。

      手術のあとの治療 ― 放射線治療・抗がん剤・ホルモン療法

      乳房の一部を切除する手術(乳房部分切除術)のあとは、残した乳房からの再発を防ぐため、放射線治療を行うのが一般的です。

      再発のリスクに応じて、抗がん剤を行うこともあります。AC療法のあとに、ドセタキセルなどのタキサン系の薬を続ける方法がよく用いられます。

      ホルモン療法は、タモキシフェンなどの薬を年単位の長い期間続けます。エストロゲン受容体陽性・HER2陰性で、再発のリスクが中程度以上の場合には、ホルモン療法に TS-1 を1年間加える方法もあります。国内の臨床試験で、この条件の方の再発のリスクを下げることが示された方法です(Toi ほか, Lancet Oncol 2021)。

      当グループの考え方 ― 標準治療と並行して、再発予防を考える

      当グループでは、主治医のもとで進める標準治療を土台にしています。そのうえで、免疫の働きを後押しする樹状細胞ワクチン療法(SynerTri®のアクセル)を組み合わせる設計を検討することがあります。樹状細胞ワクチン療法は、患者さまご自身の樹状細胞を体外で培養してがんの目印を覚えさせ、体内に戻すことで、キラーT細胞にがんを攻撃させることを目指す治療です。

      標準治療に加えた場合の上乗せの効果は、大規模な臨床試験で確立されたものではありません。適するかどうかは、病状と体の状態をみて個別に判断します。

      よくある質問(FAQ)

      Q. 乳がんと診断されたばかりです。手術の前から相談できますか?
      ご相談いただけます。本症例でも、診断の時期に当院へ相談がありました。手術と術後の放射線治療のあと、抗がん剤を始めた翌月から樹状細胞ワクチン療法を始めています。始める時期は、標準治療の予定と体の状態をみて決めます。主治医のもとでの標準治療を続けていただくことが前提です。
      Q. 抗がん剤やホルモン療法の最中でも、樹状細胞ワクチン療法を受けられますか?
      併用することはあります。樹状細胞ワクチン療法では、はじめに成分採血でご本人の血液から細胞を集めます。そのため、抗がん剤の日程や血液検査の結果をみながら時期を決めます。本症例では、抗がん剤・ホルモン療法と並行して続け、現在は半年ごとに投与しています。併用による上乗せの効果は、大規模な臨床試験で確立されたものではありません。
      Q. 樹状細胞ワクチン療法で、注射したところが赤くなることはありますか?
      注射した部位の発赤は、樹状細胞ワクチン療法でみられる主な反応の一つです。本症例でも、投与後、注射部位に30〜100mmほどの発赤が認められました。発赤の有無や大きさだけで、治療効果を判断することはできません。ただし、抗がん剤と樹状細胞ワクチン療法を併用した膵臓がんの患者さまを当グループを含む国内7施設で調べた研究では、接種後に発赤がみられた方で生存期間が長い傾向が、統計的な解析で報告されています(Kobayashi ほか, Cancer Immunol Immunother 2014)。強い痛みや腫れ、発熱が続くときは、ご連絡ください。

      乳がんの治療について、
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      診断名やこれまでの治療が曖昧でも構いません。まずは現在の状況をお聞かせください。
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        矢﨑雄一郎 プレシジョンクリニック東京院長
        監修:矢﨑 雄一郎 医師
        プレシジョンクリニック 東京院長 / 医療法人社団プレシジョンメディカルケア理事長
        東海大学医学部を卒業後、消化器外科医として医療機関に従事したのち、東京大学医科学研究所で免疫療法(樹状細胞ワクチン療法)の開発に従事。現在はプレシジョンメディカルケア理事長として活躍中。専門分野は免疫療法及び消化器外科。約6,000症例の免疫療法を主導し、進行がんにおける個別化免疫治療(SynerTri®)プロトコルを確立。著書『免疫力をあなどるな!』をはじめ、医学書の執筆も手がけ、医療知識の普及にも貢献。免疫療法(樹状細胞ワクチン)の開発企業であるテラ株式会社の創業者。

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