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免疫療法

投稿日:2020.3.10/更新日:2026.9.24

トリプルネガティブ乳がんには免疫療法が有効?!治療方法を詳しく解説

この記事でわかること

  • トリプルネガティブ乳がん(TNBC)とは:ホルモン受容体もHER2も陰性で、ホルモン療法・抗HER2薬が効かないタイプ。
  • なりやすい人の特徴(40歳未満、BRCA1変異など)と、放射線・抗がん剤・免疫療法という治療の柱。
  • 抗がん剤に免疫チェックポイント阻害薬を加えた臨床試験の成績(KEYNOTE-522)。
  • 当院でトリプルネガティブ乳がん術後に樹状細胞ワクチン療法を続け、12年間再発なく経過している実例。

トリプルネガティブ乳がんとは

トリプルネガティブ乳がん(TNBC)は、ホルモン受容体(エストロゲン受容体・プロゲステロン受容体)およびHER2タンパク質のいずれも発現しないタイプの乳がんです。これにより、ホルモン療法やHER2に対する標的治療が効果を示さず、治療が難しいとされています。

トリプルネガティブ乳がんは他のタイプの乳がんに比べて進行が速く、再発リスクが高い傾向があります。そのため、より効果的な治療法の開発が求められています。

トリプルネガティブ乳がんの原因

現時点では、トリプルネガティブ乳がんの正確な原因は解明されていません。しかし、特定の要因により発症リスクが高まることが分かっています。

なりやすいとされている人の特徴

以下の特徴を持つ人は、トリプルネガティブ乳がんを発症しやすいとされています。

  • 40歳未満の女性
  • アフリカ系、ラテン系の女性
  • BRCA遺伝子(主にBRCA1遺伝子)に変異を持つ女性

参考URL:東京ブレストクリニック

トリプルネガティブ乳がんの治療方法

トリプルネガティブ乳がんの治療には、以下の方法があります。

放射線治療

手術後に再発リスクを低減するため、放射線を照射して残存するがん細胞を破壊します。放射線治療は、がんの局所制御を目的とし、術後補助療法として頻繁に用いられます。特に腋窩リンパ節転移がある場合や、腫瘍が大きい場合には放射線の追加治療が推奨されます。

抗がん剤治療

トリプルネガティブ乳がんは化学療法に対する感受性が高いため、抗がん剤が主要な治療法となります。特に、プラチナ製剤(シスプラチンやカルボプラチン)が有効とされています。これらの薬剤は、DNAを損傷させることでがん細胞を死滅させる働きがあります。また、ドセタキセルやアントラサイクリン系薬剤も使用されることが多く、手術前後において組み合わせ治療が行われるケースもあります。

免疫療法

近年、免疫チェックポイント阻害剤がトリプルネガティブ乳がん治療において注目されています。これらの薬剤は、がん細胞が免疫からの攻撃を回避するメカニズムを阻害し、免疫系ががん細胞を効果的に攻撃できるようにします。特に、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)などが使用されています。免疫療法は、PD-L1陽性の患者において特に有効とされ、化学療法との併用でより高い効果が期待されています。

当院の実例

トリプルネガティブ乳がんステージ2Aの術後に樹状細胞ワクチン療法を続け、12年間再発なく経過している69歳女性

左乳がん(トリプルネガティブ・ステージ2A)で乳房切除と腋窩リンパ節郭清を受け、抗がん剤(FEC+タキソール)を終えた方です。他院での樹状細胞ワクチン療法を経て当院で継続し、投与間隔を段階的に延ばしながら長く続けています。術後12年間再発はなく、腫瘍マーカーも正常値を保ち、元気に過ごされています。再発しやすいとされるトリプルネガティブ乳がんで、抗がん剤のあとに「免疫の見張り」を続けた一例です。

症例の詳細を見る →

※個別の症例であり、治療効果には個人差があります。同じ結果をお約束するものではありません。

抗がん剤治療+免疫療法を組み合わせた治療成績が良好

抗がん剤と免疫療法を併用することで、治療成績が向上することが報告されています。例えば、ペムブロリズマブと化学療法を併用することで、生存期間の延長や病理学的完全奏効率(手術時にがん細胞が検出されない状態)の向上が期待されています。また、最新の臨床試験では、化学療法単独と比較し、併用療法のほうが無病生存率が高いことが示唆されています。

この報告では、治療歴のないステージ2・3のトリプルネガティブ乳がん患者さまの術前の治療として、免疫チェックポイント阻害剤+抗がん剤群と、抗がん剤の単独群とに分け、手術を受けて、術後も免疫チェックポイント阻害剤を受ける群と受けない群に分けて解析しています。

内容は「抗がん剤に免疫療法を加える方が、有意に治療成績がいい」という結果でした。ホルモン受容体陽性の乳がんよりも、トリプルネガティブ乳がんの方が、免疫療法の効果が高いことが報告されていますが、一般的にトリプルネガティブ乳がんの方が、遺伝子異常数が多く、免疫療法の効果が高いことが考えられます。

この臨床試験結果:

中間解析で手術で取り出した乳がん組織を調べ、乳がん細胞が残っているかどうか、また再発を抑える割合を比較しています。

乳がん細胞が見つからなかった患者の割合)

免疫チェックポイント阻害剤+抗がん剤群:64.8%

抗がん剤の単独群:51.2%

(P<0.001)

平均15.5ヶ月の観察期間での再発率)

免疫チェックポイント阻害剤+抗がん剤群:7.4%

抗がん剤の単独群:11.8%

 免疫チェックポイント阻害剤は、乳がんによって抑え込まれていた、がんと戦うリンパ球を強化する治療であり、また樹状細胞ワクチン療法は、その戦うリンパ球を活性化させ、増やしてあげる治療法です。 この両輪である二つを組み合わせる治療が当院の免疫療法(樹状細胞ワクチン療法+免疫チェックポイント阻害剤)であり、トリプルネガティブ乳がんに対して良い治療選択肢になると考えられます。Peter Schmid et al.Pembrolizumab for Early Triple-Negative Breast Cancer. N Engl J Med 2020; 382:810-821

プレシジョンクリニック東京院長 矢﨑監修

よくある質問

トリプルネガティブ乳がんに免疫療法は保険で受けられますか?

受けられます。転移・再発のトリプルネガティブ乳がんでPD-L1陽性(CPS10以上)の方には、キイトルーダ(ペムブロリズマブ)と抗がん剤の併用が保険適用です。早期のトリプルネガティブ乳がんでも、手術前後にキイトルーダを抗がん剤に加える治療(KEYNOTE-522)が承認されています。当院の樹状細胞ワクチン療法は自由診療で、これらと役割を分けて組み合わせます。

BRCA遺伝子に変異があると治療は変わりますか?

変わります。BRCA1/2の生殖細胞系列変異がある転移・再発乳がんでは、PARP阻害薬(オラパリブ)が選択肢になります。また、プラチナ製剤(カルボプラチン)が効きやすいことも知られています。トリプルネガティブ乳がんではBRCA変異の割合が高いため、若い方や家族歴のある方は遺伝学的検査を主治医に相談してください。

抗がん剤が終わったあと、再発予防に何ができますか?

標準治療では経過観察が基本ですが、トリプルネガティブ乳がんは術後2〜3年の再発が多いタイプです。当院では、抗がん剤で減った腫瘍に対して免疫の側から見張りを続ける目的で、樹状細胞ワクチン療法を術後に組み合わせています(樹状細胞ワクチン療法の案内)。肺転移のあと抗がん剤を使わずワクチン単独で4年以上再発のない別の実例もあります。免疫チェックポイント阻害薬の仕組みはこちらで解説しています。

トリプルネガティブ乳がんと診断された方へ
抗がん剤+免疫療法の組み合わせを、当院に相談してみませんか?

トリプルネガティブ乳がんはホルモン療法や抗HER2療法が使えず、抗がん剤が中心になります。
当院では抗がん剤に樹状細胞ワクチンや免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせた症例があります。
これまでの治療歴と検査結果をうかがったうえで、ひとつずつご説明します。ご相談は無料です。

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    監修医師:矢﨑 雄一郎医師

    監修医師

    矢﨑 雄一郎医師

    免疫療法・研究開発

    東海大学医学部を卒業後、消化器外科医として医療機関に従事したのち、東京大学医科学研究所で免疫療法(樹状細胞ワクチン療法)の開発に従事。現在はプレシジョンメディカルケア理事長として活躍中。専門分野は免疫療法及び消化器外科。著書『免疫力をあなどるな!』をはじめ、医学書の執筆も手がけ、医療知識の普及にも貢献。免疫療法の開発企業であるテラ株式会社の創業者。

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