この症例のポイント
乳がん細胞の表面にあるHER2タンパクが過剰に発現しているタイプをHER2陽性乳がんと呼びます。かつては進行が速く予後不良とされていましたが、トラスツズマブ(ハーセプチン)やペルツズマブ(パージェタ)といった抗HER2療法の登場により、転移のある進行期でも長期の病勢コントロールが期待できるようになってきました。本症例のようにER・PgRも陽性の場合は、ホルモン療法も治療の選択肢に加わります。
転移性HER2陽性乳がんでは、肝転移・肺転移・骨転移などを来すことがあり、多発肝転移は進行度の高さを示す所見のひとつです。
抗HER2療法は治療効果が期待できる一方、長期にわたる継続が必要になる場合があります。当グループでは、標準治療である抗HER2療法を土台としつつ、免疫を活性化する樹状細胞ワクチン療法(SynerTri®のアクセル)を組み合わせる設計を検討することがあります。
| SynerTri®の役割 | 本症例での対応 |
|---|---|
| 標準治療(抗HER2療法) | ハーセプチン+パージェタで開始し、縮小確認後にハーセプチン単剤へ、その後ホルモン治療へ段階的に移行 |
| アクセル(免疫活性化) | 樹状細胞ワクチン療法を併用し、がん特異的免疫を誘導 |
Case Report ─ 当院の乳がん改善症例
重要症例
ここまでHER2陽性乳がんの治療の考え方をご紹介しました。肝臓に多発転移がある場合でも、抗HER2療法に免疫の働きを後押しする方法を重ねる設計を検討できます。実際に併用された患者さまの経過をご紹介します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 診断名 | 乳がん、腋窩リンパ節転移、多発肝転移(ステージⅣ) |
| 病理学的特性 | ER(陽性)、PgR(陽性)、HER2(3+) |
| 年齢・性別 | 43歳 女性 |
| 治療法 | 抗HER2療法(ハーセプチン+パージェタ→ハーセプチン単剤→ホルモン治療)+樹状細胞ワクチン療法 |
| 治療期間・回数 | 樹状細胞ワクチン療法は、1セット(7回)を1つのクール(治療単位)として実施します。本療法は、最初のクールを終えたあとも治療を継続される方が多くいらっしゃいます。 |
| 治療費 | 当院の治療はすべて自費診療(保険適用外)です。費用は改定される場合があるため、最新の金額は料金表をご確認ください。なお、クール終了後に治療を継続される場合は、別途費用がかかります。 |
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 20XX年1月 | 乳がん、腋窩リンパ節転移、多発肝転移と診断。主治医から「予後は6か月程度」と大変厳しい状況と説明された。 |
| 20XX年3月 | 抗HER2療法(ハーセプチン+パージェタ)を開始。 |
| 20XX年4月 | 樹状細胞ワクチン療法を開始し、抗HER2療法と併用。 |
| 20XX年5月 | CT検査で腫瘍が著明に縮小していることを確認。抗HER2療法をハーセプチン単剤へ変更。 |
| 20XX+3年7月 | 抗HER2療法(抗がん剤)を終了し、ホルモン治療へ変更。 |
| 20XX+5年10月(診断から4年9か月) | CT・PET-CTで原発巣・肝転移が著明に縮小した状態を維持。元気に生活を継続中。 |

当グループでは、標準治療(抗がん剤)を土台としつつ、プラスアルファで免疫の働きで後押ししていきます。進行がんでも免疫の働きを強化するために、患者さまの状況に応じて複合的に免疫を改善させる独自のプロトコルSynerTri®(シナトリ/学術名 iCCI)で個別に免疫治療を設計します。
本症例では、標準治療としての抗HER2療法(ハーセプチン+パージェタ)に、免疫を活性化する〈アクセル〉である樹状細胞ワクチン療法を併用しました。開始から間もなく原発巣・肝転移の著明な縮小が確認され、その後は抗HER2療法を1剤へ、さらにホルモン治療へと段階的に治療を減らしながら、診断から5年にわたり良好な経過を維持しています。
樹状細胞ワクチン療法の副作用は基本的にほとんど認められませんが、以下の可能性があります。
治療効果には個人差があります。同様の効果を保証するものではありません。

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