この症例のポイント
肺がん ステージⅣ(手術不能)。鎖骨上リンパ節転移・縦隔リンパ節転移・対側肺転移を伴っていました。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 診断・抗がん剤導入 | 20XX年9月、ステージⅣの肺がんと診断。抗がん剤(パラプラチン+S-1)を開始。 |
| 免疫療法の併用 | 20XX+1年9月、樹状細胞ワクチン療法を開始。抗がん剤はアリムタへ変更。 |
| 抗がん剤の切り替え | 20XX+2年、ジェムザール→タキソテール→ナベルビンへ順次変更。 |
| 免疫チェックポイント阻害薬 | 20XX+3年7月、オプジーボを開始(樹状細胞ワクチン療法はいったん中断)。20XX+5年8月にテセントリクへ変更。 |
| 併用の再開 | 20XX+6年7月、オプジーボを再開し、樹状細胞ワクチン療法との併用を再開。抗がん剤はTS-1。 |
| 現在 | 副作用なく併用を継続中。樹状細胞ワクチンは29回目を投与中。 |
| 画像 | 原発巣は26mm(初回診断時)→60×40mm。6年かけてゆっくりと大きくなっている状況。 |
| QOL | 仕事を休むことなく、生活の質(QOL)は保たれたまま、初回診断から6年経過。 |
当グループでは、標準治療(抗がん剤)を土台としつつ、プラスアルファで免疫の働きで後押していきます。進行がんでも免疫の働きを強化するために、患者さまの状況に応じて複合的に免疫を改善させる独自のプロトコルSynerTri®(シナトリ/学術名 iCCI)で個別に免疫治療を設計します。
本症例では、標準治療としての抗がん剤(パラプラチン+S-1、のちにアリムタ・ジェムザール・タキソテール・ナベルビン・TS-1)に、免疫を活性化する〈アクセル〉として樹状細胞ワクチン療法を、免疫の〈ブレーキ解除〉として免疫チェックポイント阻害薬(オプジーボ・テセントリク)を組み合わせています。
がんが消えることを目標にするのではなく、進行を緩やかにして仕事と生活を保つことを治療の軸に置いた症例です。抗がん剤を切り替えながら免疫を底支えする設計は、長期の治療継続に向いています。
樹状細胞ワクチン療法は、1セット(7回)を1つのクール(治療単位)として実施します。本療法は、最初のクールを終えたあとも治療を継続される方が多くいらっしゃいます。本症例での実施回数:樹状細胞ワクチン療法 29回目を投与中(継続)/免疫チェックポイント阻害薬(オプジーボ・テセントリク)は主治医の治療として継続。
当院の治療はすべて自費診療(保険適用外)です。費用は改定される場合があるため、最新の金額は料金表をご確認ください。なお、クール終了後に治療を継続される場合は、別途費用がかかります。
免疫療法のうち、樹状細胞ワクチン療法では重い副作用が認められることはほとんどありません。一方、免疫チェックポイント阻害薬では免疫が過剰に働くことによる副作用(免疫関連有害事象)に注意が必要です。主な副作用は以下のとおりです。
樹状細胞ワクチン療法は通院で行い、副作用がほとんどないため、仕事や日常生活を続けながら受けられます。この症例は初回診断から6年間、仕事を休むことなく治療を続けています。抗がん剤の種類や体調に合わせて通院日を調整します。
併用できます。樹状細胞ワクチン療法はがんを攻撃するT細胞を増やすアクセル、免疫チェックポイント阻害薬はT細胞のブレーキを外す役割で、当院ではこの組み合わせを基本に設計します。保険診療の免疫チェックポイント阻害薬は主治医の治療として続け、当院で樹状細胞ワクチン療法を並行して行います。
あります。この症例は原発巣が6年かけてゆっくり大きくなっていますが、転移の急速な進行はなく、生活の質を保ったまま経過しています。がんの消失だけが目標ではなく、進行を緩やかにして生活を守ることも治療の目的のひとつです。
※治療効果には個人差があり、すべての患者さまに同様の結果が得られるとは限りません。また、本症例で用いた治療には、国内の保険適応や大規模臨床試験で標準治療として確立されていないものも含まれます。実際の治療は、リスクとベネフィットを評価し、ご本人の同意のもとで設計します。
監修:矢﨑 雄一郎 医師
プレシジョンクリニック 東京院長/医療法人社団プレシジョンメディカルケア 理事長 | 専門分野:一般外科・消化器外科
がんゲノム情報に基づく個別化医療と免疫療法を専門とし、標準治療と組み合わせた治療設計に取り組んでいます。著書『免疫力をあなどるな!』。
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