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免疫療法

投稿日:2026.6.20/更新日:2026.9.27

MAGE-A4は「細胞の中」にある目印 — 表面抗原を持たないがんを、免疫はどう捕まえるのか

この記事でわかること
MAGE-A4/MAGE-A8が、抗体でもCAR-Tでも届かない「細胞の中の抗原」であること
抗原を選ぶ基準が「遺伝子の発現量」ではなく「HLAの上に何個載っているか」に移っていること
IMA401第1相試験(61例)の実数値と、その数字をどこまで信じてよいか
当グループがMAGE-Aを樹状細胞ワクチン療法の抗原としてどう扱っているか
MAGE-A4という抗原が繰り返し標的に選ばれるのは、がん細胞にたくさんあるからではありません。理由は提示の側にあります。細胞の中で分解されたMAGE-A4の断片が、HLAクラスIという受け皿に載って細胞表面に差し出される。その受け皿の上の密度が、他の候補より桁違いに高い。だから狙える。2026年5月にNature Medicine誌へ掲載されたIMA401の第1相試験(Wermke M, et al. Nat Med 2026;32:2878-2887. DOI: 10.1038/s41591-026-04455-x/ClinicalTrials.gov NCT05359445)は、この「提示量で抗原を選ぶ」という考え方を、61人の患者さんで臨床的に検証した最初のまとまった報告です。
当グループにとってMAGE-Aは、論文の中の話ではありません。実際に使用している抗原のひとつです。だからこの論文は、外から眺める新薬ニュースではなく、自分たちが日々やっていることの根拠が一段はっきりした報告として読んでいます。以下、原著の数値をそのまま示しながら、どこが新しく、どこがまだ言えないのかを整理します。

MAGE-Aが標的になるのは「量」ではなく「差し出され方」による

がん免疫療法の標的には、大きく分けて二種類あります。ひとつは細胞の表面に突き出しているタンパク質。CD19やHER2がこれにあたり、抗体もCAR-Tも、この「外に出ている取っ手」をつかむ設計になっています。もうひとつは細胞の内側にしか存在しないタンパク質です。取っ手がない。抗体は近づくことすらできません。
固形がんで長く行き詰まってきたのは、この一点でした。原著の著者らも、既存のT細胞エンゲージャーが抱える制約として、血中からの速い消失、標的特異性の低さによる治療域の狭さ、標的密度の不足、オフターゲット毒性、そして標的とは無関係なT細胞活性化によるサイトカイン放出症候群を挙げています。血液がんでは7剤、固形がんでは小細胞肺がんとぶどう膜黒色腫の2剤が承認されているのに、固形がん全体には広がらない。表面に出ている、がんだけの目印が、そもそも少ないからです。
ところが細胞の中を見れば、がん特有のタンパク質はいくらでもあります。問題は届け方だけでした。そしてヒトの細胞は、その届け方をもともと備えています。HLAクラスIです。
がん精巣抗原(cancer/testis antigen)とは:
本来は精巣など限られた組織でしか働かない遺伝子が、がん細胞で異常に再稼働したもの。正常な体細胞ではほぼ沈黙しているため、免疫が攻撃しても正常組織への巻き添えが起きにくい。MAGEファミリー、NY-ESO-1、PRAMEなどが含まれます。
MAGE-A4/MAGE-A8とは:
MAGEファミリーに属するがん精巣抗原。細胞内に存在し、細胞表面には出ません。原著によれば、標的遺伝子の発現は扁平上皮型の非小細胞肺がんで65%、頭頸部扁平上皮がんで45%に認められ、ほかにメラノーマ、食道がん、膀胱がん、卵巣がん、滑膜肉腫などにも広く分布します(Wermke M, et al. Nat Med 2026;32:2878-2887)。
MAGE-A4とMAGE-A8は配列がよく似ており、両者から共通のペプチド断片が生じます。IMA401はその共通ペプチドを狙う設計です。片方が失われても、もう片方が残っていれば標的は残る。これは抗原逃避への保険としても働きます。

抗原選びの基準が変わった — 遺伝子発現から「HLA上のコピー数」へ

ここが、この論文でいちばん実務的に効く部分です。従来、がん抗原の候補選びは遺伝子やタンパク質の発現量で行われてきました。しかしT細胞が実際に見ているのは、タンパク質そのものではなく、分解されてHLAに載った短いペプチドです。発現が高くても、HLAに載らなければ見えません。逆に発現がほどほどでも、載り方が良ければ標的になる。
ペプチド-HLA(pHLA)とは:
細胞内のタンパク質がプロテアソームで断片化され、8〜11アミノ酸ほどのペプチドとしてHLAクラスI分子に結合し、細胞表面に提示された状態。T細胞受容体(TCR)が認識する実体はタンパク質ではなくこのpHLA複合体です。
IMA401の開発では、質量分析による免疫ペプチドーム解析とRNAシークエンスを組み合わせ、「実際に提示されている量」を直接測って標的を決めました。選ばれたのはHLA-A*02:01に提示されるKVLEHVVRVというペプチドです。従来よく使われてきたMAGE-A4由来ペプチド(GVYDGREHTV)と比べ、腫瘍細胞上の提示量が平均で5倍以上。腫瘍組織では1細胞あたり最大10,000コピーに達し、正常組織にはほぼ検出されませんでした。
もうひとつ見逃せない所見があります。培養した腫瘍細胞にIFN-γを加えて腫瘍微小環境での免疫活性化を模したところ、このペプチドの提示量が無刺激対照のおよそ70倍に跳ね上がりました。免疫が動き始めると標的が濃くなる、という関係です。これは細胞療法や免疫チェックポイント阻害薬との併用を考えるうえで、機序的に無視できない性質だと考えています(推論です。原著は併用効果そのものを検証していません)。
表1 同じMAGE-A4由来でも、提示量は同じではない
項目 KVLEHVVRV(IMA401の標的) GVYDGREHTV(従来型)
由来 MAGE-A4とMAGE-A8に共通 MAGE-A4
HLA拘束性 HLA-A*02:01 HLA-A*02:01
腫瘍細胞上の提示量 平均で5倍以上/最大10,000コピー/細胞 基準
IFN-γ刺激時 約70倍に増加 原著に記載なし
正常組織 ほぼ検出されず 原著に記載なし
出典:Wermke M, et al. Nat Med 2026;32:2878-2887. DOI: 10.1038/s41591-026-04455-x/表:プレシジョンクリニック作成
図1 細胞の中の抗原が、T細胞に見えるようになるまで
がん細胞の中でMAGE-A4/MAGE-A8タンパク質がつくられる
▼
プロテアソームが短いペプチドに分解する
▼
HLAクラスI(A*02:01)に載り、細胞表面へ運ばれる
▼
ペプチド-HLA複合体として提示される(ここが標的)
▼
TCR型二重特異性分子(IMA401)が橋渡しし、そばのT細胞を働かせる
樹状細胞ワクチン療法は、同じペプチドを樹状細胞に載せてT細胞を教育する
図:プレシジョンクリニック作成(模式図)。機序の概念図であり、細胞内輸送経路の詳細は省略しています。

IMA401の設計 — 強くつかむ側と、あえて弱くつかむ側

IMA401は3つの部品からなる融合タンパク質です。ひとつ目が、MAGE-A4/A8由来pHLAに高親和性で結合するTCR由来ドメイン(解離定数Kd = 1.7 nM)。ふたつ目が、T細胞側のTCRαβ-CD3複合体にあえて弱く結合するドメイン(結合EC50 ≥ 200 nM、抗体BMA031のヒト化由来)。3つ目が、エフェクター機能を消したIgG1 Fc領域で、半減期を延ばす役割を担います。
T細胞側を弱く設計したのは、意図的なトレードオフです。腫瘍側を強く、T細胞側を弱くすれば、分子はリンパ組織にたまらず腫瘍へ分布しやすくなり、標的と無関係なT細胞活性化も抑えられる。著者らはこの設計がCRSの軽さに寄与した可能性を述べています。実際の数値は後述しますが、血液がん領域で承認済みのT細胞エンゲージャーでCRSが全グレード約60%、ぶどう膜黒色腫のテベンタフスプで89%と報告されているのに対し、IMA401は38%でグレード3以上はゼロでした。
表2 既存T細胞エンゲージャーの課題と、IMA401の設計上の対応
課題 IMA401での対応 臨床で観察された結果
細胞表面抗原しか狙えない TCR由来ドメインでpHLAを認識 15超のがん腫で投与可能
血中から速く消える 改変IgG1 Fcで半減期延長 半減期15.4日(全用量)/17.5日(1mg以上・隔週)
標的非依存のT細胞活性化とCRS CD3側を低親和性に CRS 38%・すべてグレード1〜2
標的密度の不足 提示量を実測して標的を選定 最大10,000コピー/細胞
神経毒性(ICANS) 同上の設計方針 単剤・併用とも報告ゼロ
出典:Wermke M, et al. Nat Med 2026;32:2878-2887. DOI: 10.1038/s41591-026-04455-x/表:プレシジョンクリニック作成
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第1相試験が出した数字 — 61例、奏効率20%、頭頸部で29%

IMA401-101試験は、ドイツ23施設で行われた非盲検の第1相バスケット試験です。2022年5月19日から2025年11月3日にかけて、HLA-A*02:01陽性かつMAGE-A4/A8陽性の患者さん124名が組み入れられ、2026年3月2日のデータカットオフ時点で61名がIMA401の投与を受けました。うち49名が単剤、12名がペムブロリズマブとの併用です。年齢中央値62歳(19〜82歳)、女性22名(36%)。前治療は単剤コホートで中央値4ライン(1〜8)と、極めて治療歴の重い集団でした。
用量は0.0066 mgから2.5 mgまで漸増されました。最大耐用量には到達していません。それでも推奨第2相用量(RP2D)は1〜2 mg隔週と定められました。理由は有効性ではなく、2 mgを超えると休薬・中止が頻発したことにあります。2.5 mgを投与された7名に客観的奏効はゼロでした。用量を上げれば効く、という話ではなかったわけです。
表3 有効性の主要成績(RECIST v1.1)
集団 奏効率(ORR) 病勢制御率(DCR) 奏効期間中央値
全用量・有効性評価可能例(n=56) 14%(8/56) 50%(28/56) 8.8か月
RP2D 1〜2 mg(n=41・事後解析) 20%(8/41) 51%(21/41) 8.8か月
頭頸部がん・RP2D(n=14) 29%(4/14) 64%(9/14) 8.8か月(4例中3例が継続中)
メラノーマ・RP2D(n=6) 33%(2/6) 67%(4/6) 2例とも6か月超・1例は2.5年超継続
出典:Wermke M, et al. Nat Med 2026;32:2878-2887. DOI: 10.1038/s41591-026-04455-x/ClinicalTrials.gov NCT05359445/表:プレシジョンクリニック作成

安全性 — CRSは全例がグレード1〜2、ICANSはゼロ

61名中89%に治療関連有害事象が生じ、グレード3以上は51%でした。内訳で最も多かったのがサイトカイン放出症候群で38%。ただしすべてグレード1〜2であり、多くは初回のステップ投与時に起きて1〜3日で消えています。次いでリンパ球減少33%(グレード3以上26%)、好中球減少31%(同18%)。リンパ球減少は機序に伴う一過性のものと解釈されています。
用量制限毒性は5例で、主に好中球減少でした。2.5 mg投与の7名のうち3名にグレード4の好中球減少が発生しています。初回4回の投与前にデキサメタゾン8 mgを前投与したところ、RP2D域での用量制限毒性はゼロになりました。前投与による副作用や感染合併も認められていません。死亡は1例。2.5 mgを前投与なしで受け、肺転移が急速進行していた患者さんの肺炎で、治療関連の可能性は否定されていませんが、担当医は死因を病勢進行と判断しています。
ペムブロリズマブ併用(12名)でも毒性の上乗せは観察されませんでした。CRS 42%、リンパ球減少33%、発熱25%で、大腸炎・肺臓炎・腎炎といった免疫チェックポイント阻害薬に典型的な有害事象は出ていません。併用群の奏効例3名は全員、前治療の免疫チェックポイント阻害薬で進行していた患者さんでした。

この数字を大きく読みすぎないために

奏効率29%という頭頸部がんの数字は目を引きます。だからこそ、著者ら自身が置いた留保を先に読むべきです。
第一に、これは第1相です。症例数も観察期間も限られ、有効性・持続性・長期安全性について結論を出せる設計ではありません。第二に、RP2Dでの奏効率20%は事後解析です。試験開始時にあらかじめ決めた解析ではありません。第三に、頭頸部がんコホートはわずか14名です。著者らは、この集団が選ばれた理由を「10名を超える唯一の比較的均一なサブグループだったから」と明記し、頭頸部がんに優先的な活性があると推測することを戒めています。しかもPD-L1発現やHPV状態が多くの症例で不明で、何が奏効を決めたのかは読み取れません。
第四に、プロトコル逸脱が1,063件報告されています。うち投与例で888件、重要な逸脱は38件。著者らは96.4%が非重要で解釈に影響しないとしていますが、件数そのものは早期試験の運用負荷を示す数字として記録しておくべきです。第五に、この治療はHLA-A*02:01に限定されます。しかも他のHLA-A*02亜型を持つ患者さんは除外されています。適格となる人は最初から絞られる。
日本人でHLA-A*02:01を持つ方がどれくらいの割合かについては、本稿では確定した出典を提示できないため数値を示しません。欧米集団より低いことが知られていますが、正確な頻度は査読論文で確認したうえで別途お示しします。わからないものを、それらしく書くことはしません。
最後に、IMA401は日本で承認された薬ではありません。当院で提供している治療でもありません。この記事は、MAGE-Aという抗原の性質を理解するための材料として原著を読み解いたものです。

当グループにとってのMAGE-A

当グループにとってMAGE-Aは、実際に使用している重要な抗原のひとつです。IMA401は分子でT細胞を橋渡しする薬剤であり、当グループの樹状細胞ワクチン療法は樹状細胞にペプチドを載せてT細胞を教育する治療です。手段は違いますが、「HLAに提示されたペプチドを標的にする」という土台は同じものを共有しています。この論文で示された提示量のデータは、その土台の解像度を上げてくれました。
当グループはWT1を標的とする樹状細胞ワクチン療法を2007年に世界で初めて実用化し、1グループで累計約6,500症例の細胞治療を提供してきました。MAGE-Aのようながん精巣抗原、そして患者さまごとのゲノム情報に基づくネオアンチゲンは、いずれもこの樹状細胞ワクチン療法という枠組みの中で扱う抗原です。
臨床現場から
発現の確認:MAGE-Aの発現は、腫瘍組織の免疫組織化学染色(IHC)で確認しています。
使用するペプチド:HLA-A*24:02とHLA-A*02:01に提示されるMAGE-A由来ペプチドを、樹状細胞ワクチン療法の抗原として使用しています。
IMA401の試験が対象にしたのはHLA-A*02:01だけでした。HLA-A*24:02は日本人で最も頻度の高いHLA-Aアレルとして知られています。A*02:01に限った本試験と、A*24:02も含めてペプチドを用意している当グループとでは、対象となりうる患者さまの範囲がそもそも違います。
ここからは推測です。IHCで見えるのは、MAGE-Aタンパク質が腫瘍細胞の中にあるかどうかまでです。そこから切り出されたペプチドがHLAの上に何コピー載っているかは、IHCの守備範囲の外にあります。本論文では、同じMAGE-A4由来でもペプチドの種類によって提示量が5倍以上違いました。IFN-γで提示量が約70倍に増えた所見を合わせると、実際の提示量は腫瘍の中の免疫環境にも左右されると推測しています。IHCでの発現確認を出発点に、提示を後押しする環境づくりを組み合わせる。当グループが免疫の環境まで含めて治療を設計しているのは、この考え方とつながっています。

院長の見解

進行がんの免疫療法は、免疫側とがん側の両輪がそろってはじめて完結すると考えています。IMA401の試験でも、単剤で奏効しなかった患者さんについて、著者らは腫瘍微小環境の免疫抑制と細胞傷害性T細胞の流入不足を理由の候補に挙げていました。標的をどれだけ精密に選んでも、T細胞が腫瘍の中に入れなければ結果は変わりません。線維性の城壁を薄くすることが攻略の第一歩だ、という当グループの立場は、この論文を読んだあとも変わっていません。
むしろ補強されたと考えているのは、IFN-γで提示量が約70倍に増えたという所見です。免疫が動いた場所ほど標的が濃くなる。だとすれば、抗原を狙う治療と、免疫の環境を整える治療は、順番と組み合わせで効き方が変わりうる。これは当グループが革新的複合がん免疫療法(iCCI/SynerTri®)で組み立ててきた考え方と同じ方向を向いています。ただし、これは機序からの推論であって、原著が証明した事実ではありません。そこは分けて書いておきます。
CAR-T細胞療法のような遺伝子改変T細胞は、細胞表面の抗原を対象とする以上、細胞内抗原には原理的に届きません。そこに体への負担という課題も加わります。細胞内抗原をHLA提示ペプチドとして捕まえる道筋は、固形がんの選択肢を広げる方向にあると考えています。(矢﨑 雄一郎/プレシジョンクリニック東京 院長)

よくあるご質問

MAGE-A4はどのがんで発現していますか

原著では、標的遺伝子の発現頻度が扁平上皮型の非小細胞肺がんで65%、頭頸部扁平上皮がんで45%と報告されています。ほかにメラノーマ、食道がん、膀胱がん、卵巣がん、滑膜肉腫、トリプルネガティブ乳がん、胃がんなどでも認められます。ただし発現の有無は個々の腫瘍で異なるため、検査で確認する必要があります。

HLA-A*02:01でなければMAGE-Aは狙えないのですか

IMA401という薬剤についてはHLA-A*02:01に限定されます。TCR型の治療は特定のHLAに提示されたペプチドを認識するため、HLAが違えば同じ分子は使えません。著者ら自身、他のHLA型に対応する標的の開発が必要だと限界として述べています。当グループの樹状細胞ワクチン療法では、HLA-A*02:01に加えてHLA-A*24:02に提示されるMAGE-A由来ペプチドを使用しています。いずれの場合も、HLA型が合うことと、腫瘍にMAGE-Aが発現していること(当グループではIHCで確認)の両方が前提です。

IMA401は日本で受けられますか

受けられません。本試験はドイツ23施設で実施された第1相試験で、IMA401は日本で承認されていません。当院で提供している治療でもありません。今後の開発段階が進むかどうかは、後続試験の結果次第です。

CAR-T細胞療法とはどう違うのですか

CAR-Tは抗体由来の認識部位を使うため、細胞表面に出ている抗原しか標的にできません。MAGE-A4は細胞内タンパク質なので、CAR-Tの原理では届かない対象です。IMA401はTCR由来の認識部位でHLA提示ペプチドを見るため、細胞の中の抗原に手が届きます。また、患者さまの細胞を取り出して改変する工程が不要で、点滴で投与する薬剤である点も異なります。

サイトカイン放出症候群は危険ではないのですか

本試験でのサイトカイン放出症候群は38%に発生しましたが、すべてグレード1〜2で、グレード3以上はありませんでした。多くは初回のステップ投与時に起き、1〜3日で軽快しています。免疫細胞関連神経毒性症候群(ICANS)は単剤・併用のいずれでも報告されていません。ただし第1相の限られた症例数での観察であり、より多くの患者さんでの確認が必要です。

ご相談の流れ

1. 相談フォームの送信 無料医療相談フォームから、現在のご病状をお知らせください。
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※治療効果には個人差があり、すべての患者さまに同様の結果が得られるとは限りません。また、がん抗原を標的とした免疫療法には、国内の保険適応や大規模臨床試験で標準治療として確立されていないものも含まれます。本記事で取り上げたIMA401は日本国内で承認された薬剤ではなく、当院で提供している治療でもありません。実際の治療は、リスクとベネフィットを評価し、ご本人の同意のもとで設計します。当グループの治療はすべて自費診療(保険適用外)です。費用は料金表をご確認ください。

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出典

1. Wermke M, Ochsenreither S, Jaeger D, et al. MAGE-A4/MAGE-A8-targeted TCR-based bispecific T cell engager in recurrent and/or refractory solid tumors: a phase 1 trial. Nature Medicine. 2026;32:2878-2887. DOI: 10.1038/s41591-026-04455-x
2. Author Correction: MAGE-A4/MAGE-A8-targeted TCR-based bispecific T cell engager in recurrent and/or refractory solid tumors: a phase 1 trial. Nature Medicine. Published online 19 June 2026. DOI: 10.1038/s41591-026-04519-y
3. ClinicalTrials.gov. A Study of IMA401 in Recurrent and/or Refractory Solid Tumors. Identifier: NCT05359445(EU Clinical Trials Register: 2023-506854-19-00)

監修医師:矢﨑 雄一郎医師

監修医師

矢﨑 雄一郎医師

免疫療法・研究開発

東海大学医学部を卒業後、消化器外科医として医療機関に従事したのち、東京大学医科学研究所で免疫療法(樹状細胞ワクチン療法)の開発に従事。現在はプレシジョンメディカルケア理事長として活躍中。専門分野は免疫療法及び消化器外科。著書『免疫力をあなどるな!』をはじめ、医学書の執筆も手がけ、医療知識の普及にも貢献。免疫療法の開発企業であるテラ株式会社の創業者。

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